■ 住宅会社選びに坪単価を参考にしている人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!しみゆうです。
あなたは何を目安に住宅会社を選んでいますか?
中には「坪単価」を目安にしている方がいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、本当に「坪単価」が住宅会社を選ぶ目安になるのでしょうか?
住宅会社の示す「坪単価」の本質を知らないと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうかもしれません。
今回は、「坪単価の真実」と「本当に目安にすべき基準」についてまとめてみました。
坪単価とは
「建築費」を「坪で表した床面積の合計(1坪=3.31㎡)」で割ったものを「坪単価」と呼びます。
例:床面積の合計が99.3㎡(30坪=99.3㎡÷3.31㎡)で建築費が1,500万円の建物の場合
1500万円(建物の建築費)÷30坪(建物の坪数)=50万円(坪単価)
上記の計算となり、この建物の坪単価は50万円となります。
坪単価は建物1坪当たりの建築費を示すので、
- 住宅会社が販売する建物価格の目安
- 自分の求める広さの建物のおおよその建築費の計算
- 床面積の違う建物のコスト比較
上記に有効と建築会社では説明されています。
住宅会社を坪単価で比較して大丈夫?
しかし、本当に建物のコストを「坪単価」で比べられるのでしょうか?
それを確かめるためにも、もう少し詳しく「坪単価」の計算に使われる数値にスポットを当ててみましょう。
坪単価に用いられる建物の建築費とは
まずは、坪単価の計算で重要な「建築費」の分析です。
建物の建築費は、「本体工事費」+「別途工事費」+「設計費」で算出されます。
では、「本体工事費」「別途工事費」「設計費」と聞いて、具体的にどんな費用を示しているかご存知でしょうか?
まず、建築費の約65~75%を占める「本体工事費」は、「基礎工事費」「木工事費」「屋根工事費」「外壁工事費」などの建物を建てるのに欠かせない工事に関わる費用です。
しかし、「本体工事費」の具体的な定義は決まっていないので、各住宅会社が独自の解釈で「本体工事費」の中身を決定しているのが現状です。
次に、建物総コストの約20~30%を占める「別途工事費」の分析です。
- 解体費・・現存する建物の解体工事の費用
- 地盤改良費・・土地の地盤強度を強化するための費用
- 屋外電気工事費・・建物外部の電気工事や建物に電気を引き込む工事の費用
- 屋外給水工事費・・建物外部の給排水工事や建物の給排水管に接続する費用
- 空調工事費・・床暖房やエアコンなどに関わる費用
- 特殊設備工事費・・太陽光発電システムや特殊換気システムなどに関わる費用
- 照明器具費・・取り外し出来ないダウンライトなどを除いた照明器具に係わる費用
- カーテン工事費・・カーテン工事の費用
- 外構工事費・・庭の造成や駐車場・ブロック塀などの工事に係わる費用
「別途工事費」には、主に建物で快適に住むために欠かせない上記の費用が含まれます。
しかし、全ての別途工事が全ての建物に必要となる訳では無いので、「本体工事費」と比べて更に定義が曖昧です。
なので、「本体工事費」と同じように「別途工事費」も、各住宅会社が独自の解釈で「別途工事費」の中身を決定しています。
最後に、建物コストの約0~10%を占める「設計費」ですが、「建物の設計図を作成する費用」や「建築確認申請に必要な費用」「その他の建物に関わる申請費用」などの合計となります。
しかし、「設計費」にも具体的なルールが無いので「本体工事費に含む」や「設計費はサービス」など、住宅会社の自由な解釈に任されています。
以上のことをまとめてみると、「本体工事費」や「別途工事費」「設計費」のどれにも具体的に決まった概念がありませんので、その合計である「建築費」についても、各住宅会社が独自の解釈で決定しているのが現状ということが分かります。
坪単価に用いられる建物の床面積とは
次に、坪単価の計算に重要となる「建物の床面積」とはどんなものでしょうか?
「建物の床面積なんて変わる訳ない。」と思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
何故かというと、「建築基準法の延べ床面積」には決まった基準はあるのですが、「建築費を算出する床面積」にも決まった基準がないんです。
建築基準法では、法定内のバルコニーや玄関ポーチなどの床面積を建物全体の延べ床面積に算入しなくて良いという決まりがあります。
なので、「建築基準法の延べ床面積」は建物全体の工事面積を示すのではありません。
しかし、建築基準法で面積を算入しないバルコニーや玄関ポーチの工事にも工事費が必要となるので、住宅会社は建築費の算出の際に「建築基準法の延べ床面積」ではなく「施工面積」と呼ばれる各住宅会社が独自で設定している「工事を行う床面積」を用います。
そのうえ。「施工面積」の算出の仕方にも規定がないので、各住宅会社が自由に床面積を決定しています。
以上をまとめてみると、坪単価を算出する際の「建物の床面積」も「建築費」と同じように具体的な概念が無いので、各建築会社が独自の解釈で決定していることが分かります。
坪単価に用いられる建物の仕様とは
最後に、坪単価の計算には直接関係しませんが、意外と建物の評価に使われていない「建物の仕様」に触れてみましょう。
「建物の仕様」とは、「建物の骨組みになる構造材」や「フローリングなどの建築資材」「キッチンなどの設備資材」「建物の性能に関わる様々な内容」などの相称として使われている言葉です。
しかし、「建物の仕様」にも比べる基準が無いんです。
どういうことかと言うと、建物の構造材には木もありますし、鉄もありますし、鉄筋コンクリートもあります。
建築資材のフローリングにも合板フローリングや無垢フローリング、プラスチック系フローリングなどがありますし、キッチンなどの設備資材にも様々なグレードがあります。
建物はこういった様々な要因を組み合わせて作られているので、一概に建物のグレードを示すことが出来ません。
なので、違う住宅会社の建物を比べること自体がとても難しいのです。
坪単価での住宅会社の比較は無意味!ーまとめ
かなり突っ込んだ内容なので、最後にまとめてみましょう。
「建物の坪単価」の計算には「建物の建築費」と「建物の床面積」が必要です。
しかし、「建物の建築費」や「建物の床面積」には決まった基準はありません。
各住宅会社が独自の解釈で数値を決定しているだけなんです。
なので、各住宅会社が建物の目安として発表している「坪単価」になんの根拠もありません。
「基準がないもの」で算出した数値を比較しても意味がありません。
しかも、「建物の仕様」は各住宅会社によって様々なので、一概に比べることも出来ないんです。
大切なので繰り返すと、一概に比べられないもの(建物の仕様)を住宅会社独自の解釈の数値(建物の総コスト、床面積)で算出した根拠のない数値(坪単価)で比べることが出来るでしょうか?
答は簡単ですよね。
そうです、「坪単価」で建物の比較は出来ないんです。
では、どうやって住宅会社の建物を比べたら良いでしょうか?
それは「建物を比べる規準」を持つことです。
ざっくりとした答えなので、具体的に例をあげてみましょう。
「坪単価」を計算する際に「住宅会社が独自で決定した建築費」を使うのではなく、あなたがマイホームを持つために必要な「土地に関わる全ての費用」や「建物に関わる全ての費用」「税金や諸経費などの費用」である「資金計画の総合計」を目安とし、
「建物の面積」に「住宅会社が独自で決定した施工面積」を使うのではなく、「あなた独自の建物の床面積」を目安に計算し、
「建物の仕様」に「住宅会社によってそれぞれ違う建物の仕様」を使うのではなく、「あなた独自の建物の仕様グレード」を目安に各住宅会社の建物を比較するのはいかがでしょうか。
家づくりに関する知識が少ない間は難しいかもしれませんが、様々な知識や情報を集めたり、整理しているうちに「あなた独自の家づくりに関する基準」が出来てきます。
もし、「あなた独自の基準」が出来ない様なら、まだ知識や情報が集め足りなかったり、整理が足りない可能性がありますので、一度見直してみましょう。
少し大変かもしれませんが、家づくりに「住宅会社選び」は非常に大切です。
後々、失敗や後悔をしないためにも「あなたのマイホームの規準」を考えてみましょう。