※この記事では、国土交通省 住宅調査アンケートに基づき、マイホーム購入者がそれぞれの住居形態を選んだ理由について詳しく解説しています。
こんにちは!建築士&FP技能士の清水裕一(しみゆう)です。
暮らしに求める要望は千差万別、住む人の価値観に大きく影響されます。
将来のマイホームに迷っているなら、先人が現在の住居形態に住み替えた理由を参考にされてはいかがでしょう。
■ 住居形態の種類別の特徴を知りたい
■ 家づくりに失敗・後悔したくない
「家は生涯で最も高価な買い物」といわれるように、おいそれと住み替えるわけにもいかないので、最初の一歩に戸惑っていませんか。
やっとの思いでマイホームの購入を決断しても。
『新築と中古のどっちが得か?』
『戸建住宅とマンションのどちらが向いているのか?』
『注文住宅にするか建売住宅にするか?』
幅広い選択肢があるため、住居形態を決めるだけでも悩んでしまう人が多いようです。
現在の住居形態に住み替えた理由は?
とはいっても感覚的なデータでは参考になりません。
2016年にマイホームを購入した方々を対象に作成された国土交通省の住宅調査アンケートを基に、「現在の住居形態に住み替えた理由」を読み解いてみましょう。
戸建住宅購入世帯が注文住宅を選んだ理由
まず始めに注文住宅の建築を決断した人達ですが、注文住宅に決めた理由の中で最も多いのは、『信頼できる住宅メーカーだったから。』というものです。
ですが、信頼できない住宅メーカーをパートナーに選ぶことなんてあり得ません。
ということは、『住宅メーカーの営業マンが信頼できたから。』『その住宅メーカーの提案が気に入ったから。』というニュアンスで捉えるのが正しいのかもしれません。
ほかにも、『一戸建てだから。』『新築住宅だから。』といった理由も多いということは、注文住宅を選択した世帯は、初めから「新築一戸建住宅を前提にマイホームを探している」人達が多いと考えられます。
戸建住宅取得世帯が建売住宅を選んだ理由
「分譲戸建住宅」とは、いわゆる建売住宅のこと。
建売住宅の購入を決断した理由には、『一戸建てだから。』『新築住宅だから。』『住宅の立地条件がよかったから。』『価格が適切だったから。』といった意見が大半を占めています。
やはり、注文住宅取得世帯と同じように分譲戸建住宅取得世帯の人達も、最初から「新築一戸建住宅」を前提にしている方々が多いようです。
しかし、立地条件のよい敷地は個人だけでなく、デベロッパーなどの住宅会社の介入が激しく、一般の方の目に触れる前に取引されてしまうケースが多いため、個人の力だけでは入手が非常に困難。
もし見つかったとしても、かなり高額になるケースが多く、なかなか手が出せないのが現実。
マイホームの「立地条件」「購入価格」を重視するなら、「建売住宅」も視野に入れてマイホームを探さないと、お眼鏡にかなうものが簡単には見付からず、「時間」も「お金」も必要以上に浪費してしまうことになりかねません。
集合住宅取得世帯がマンションを選んだ理由
次は、分譲マンションを選んだ理由を見てみましょう。
『住宅の立地条件がよかったから。』といった理由が最も多いのは、近年の住宅事情が大きく反映されているといえます。
先程と同様、「駅が近い」「近隣の環境がよい」「治安がよい」といった環境には誰しも憧れが強く、そのような土地は必ずといってよいほど「希少」なうえに「高額」。
なにより、「条件のよい土地は一般の方の目に触れる前に業者間で取引されるのが通例」となれば、立地条件を重視するなら、分譲マンションを視野に入れるべきかもしれません。
そうでなければ、理想のマイホームを見つけるのは非常に困難が伴うことを覚えておきましょう。
意外と分譲マンションは高額な物件が多く、新築一戸建住宅と比較しても、価格差が小さい傾向。
その証拠に、『価格が適切だったから。』という理由は、それほど多くを占めていません。
戸建住宅取得世帯が中古戸建住宅を選んだ理由
新築住宅ではなく、中古住宅を取得した世帯のデータも見てみましょう。
『価格が適切だったから。』『住宅の立地環境がよかったから。』という意見が多いように、マイホームで重視したい条件の違いが、「新築住宅」にするか「中古住宅」にするかの分かれ目になるようです。
中古戸建住宅を選んだ人達の中には、『一戸建てだから。』という理由が多いは、「マイホームといえば一戸建て」というイメージを持った方々が多いのかもしれません。
集合住宅取得世帯が中古マンションを選んだ理由
その反面、中古マンションを取得した世帯の方々は、『マンションだったから。』という理由が少なく、『価格が適切だったから。』という理由が大多数を占めています。
ということは、中古マンションを選んだ方々は、「戸建住宅」や「マンション」といった住居のカタチではなく、「マイホームを持つ」こと自体に魅力を感じている人達が多いのかもしれません。
民間住宅入居世帯が賃貸住宅を選んだ理由
最後に、「持ち家」ではなく、「賃貸住宅」を選んだ方々の理由を見てみましょう。
『住宅の立地環境がよかったから。』『家賃が適切だったから。』といった理由が多いのですが、どちらも「賃貸住宅」特有のメリットではありません。
なぜ特有のメリットではないといえるのかについては、過去に「持ち家」と「賃貸住宅」の生涯収支を比べたことがあるので、よければ参考にしてください。
住み替えで損をしないためには情報収集が肝心ーまとめ
「土地価格」や「建物の相場」については、その時期の経済状況に影響されやすいため、古いデータを見ていても参考にならないことが多いのはご存じのとおりです。
現在ではインターネットなどで情報が簡単に手に入るので、「知っていると得」よりも、「知らないと損」という状況に変化してきました。
私達の生活から、「衣・食・住」は切り離すことができません。
「衣」や「食」のように、日々の生活で購入する機会が多く、比較的安価でリピート率の高いものなら、少しくらい失敗しても人生に大きな影響はありませんが・・
「住」となると、必要な費用が比べものにならないので、失敗した時の経済的ダメージは計り知れませんし、将来の人生を左右する事態へと発展しかねません。
自分達家族の将来のライフスタイルを決める際に、身近な人達が「賃貸に住んでいるから」や「マイホームを買い始めたから」と、周りの行動を参考にする方も多いようですが、
しっかり「情報収集」や「取捨選択」を行い、将来の人生設計を家族で話し合う機会を積極的に設けることが「家づくりで失敗しないコツ」ではないでしょうか。
■ 以前は「知っていると得」する情報が多かったが、現在では「知らないと損」する情報が多い
■ 周りの雰囲気に流されず、きちんと自分達家族のライフスタイルを見直そう
■ 住まいで失敗しないためには、「情報収集」や「取捨選択」が大切