
■ 住居形態の違いによる特徴を知りたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
「家は生涯で最も高価な買い物」と言われるように、おいそれと買い替えるわけにもいかないので、最初の一歩を踏み出すのに躊躇してしまう方も多いと思います。
それに、やっとの思いでマイホームの購入を決断しても、
「戸建住宅とマンションのどちらがよいか?」や「新築と中古のどっちが得か?」「注文住宅にするか建売住宅にするか?」というように幅広い選択肢があるので、住居の形態を決めるだけでも悩んでしまうのではないでしょうか?
今回は、「既にマイホームを購入した人達が住居形態を選んだ理由」を国土交通省のアンケートを利用しながらご紹介したいと思います。
◆ このページの目次
マイホームの住居形態を選んだ理由は?
とは言っても、古いデータではあまり参考にならないので、
2016年にマイホームを購入した方々を対象に作成した、国土交通省の住宅調査アンケートを基にして、「住居形態を選んだ理由」を見てみましょう。
注文住宅取得世帯が注文住宅を選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
まず始めに注文住宅の建築を決断した人達ですが、
注文住宅に決めた理由の中で最も多いのは、「信頼できる住宅メーカーだったから」というものです。
ですが、信頼できない住宅メーカーをパートナーに選ぶことなんて、まずあり得ませんよね。
なので、「住宅メーカーの営業マンが信頼できたから」や「その住宅メーカーの提案が気に入ったから」というニュアンスで捉えるのが正しいのかもしれません。
それに、「一戸建てだから」や「新築住宅だから」といった理由も多いので、
注文住宅を選択した世帯は、初めから「新築一戸建住宅」を前提にマイホームを探している人達が多いような気がします。
分譲戸建住宅取得世帯が建売住宅を選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
「分譲戸建住宅」とは、いわゆる「建売住宅」のことです。
建売住宅の購入を決断した理由には、「一戸建てだから」や「新築住宅だから」「住宅の立地条件が良かったから」「価格が適切だったから」といった意見が大半を占めています。
やはり、注文住宅取得世帯と同じように分譲戸建住宅取得世帯の人達も、最初から「新築一戸建住宅」を前提にしていることが多いようです。
しかし、立地条件のよい敷地は個人だけでなく、デベロッパーなどの住宅会社も探しており、一般の方の目に触れる前に取引されてしまうので、個人の力だけでは手に入れることが非常に困難です。
それに、もし見つかったとしても、かなり高額になるケースが多いので、なかなか手が出せないのではないでしょうか。
マイホームの「立地条件」や「購入価格」を重視するなら、「建売住宅」も視野に入れてマイホームを探さないと、お眼鏡にかなうものが簡単には見付からず、「時間」も「お金」も必要以上に浪費してしまうことになりかねません。
分譲マンション取得世帯がマンションを選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
では次に、分譲マンションを選んだ理由を見てみましょう。
「住宅の立地条件が良かったから」という理由が最も多いのは、近年の住宅事情が大きく反映されていると言えるのではないでしょうか。
先程も申し上げましたが、「駅が近い」や「近隣の環境がよい」「治安がよい」といった土地は誰もが憧れますし、そのような土地は必ずと言ってよいほど「希少」で「高額」です。
しかし、建築技術の向上により、高層化が可能になった現在なら、土地の広さに対してより多くの戸数を供給することが可能ですし、工期もそれほど長くありません。
それに、条件のよい土地は、一般の方の目に触れる前に業者間で取引されるのが通例です。
なので、マイホームの立地条件を重視するなら、分譲マンションを視野に入れなければ、なかなか理想のマイホームが見付からないかもしれません。
以前も記事にしましたが、意外と分譲マンションは高額な物件が多く、新築一戸建住宅と比較して、あまり価格差が大きくないことも多いんです。
その証拠に、「価格が適切だったから」といった理由は、それほど多くを占めていません。
中古戸建住宅取得世帯が中古戸建住宅を選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
次に、新築住宅ではなく、中古住宅を取得した世帯のデータを見てみましょう。
「価格が適切だったから」や「住宅の立地環境が良かったから」という意見が多いように、マイホームで重視したい条件の違いが、「新築住宅」にするか「中古住宅」にするかの分かれ目になるようですね。
中古戸建住宅を選んだ人達の中には、「一戸建てだから」という理由も多いので、「マイホームといえば一戸建て」というイメージが強い人にも人気があるようです。
中古マンション取得世帯が中古マンションを選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
しかし、中古マンションを取得した世帯の人達は、「マンションだったから」という理由が少なく、「価格が適切だったから」という理由が大多数を占めています。
ということは、中古マンションを選んだ人達は、「戸建住宅」や「マンション」といった住居のカタチではなく、「マイホームを持つ」こと自体に魅力を感じている人達が多いのかもしれません。
民間賃貸住宅入居世帯が賃貸住宅を選んだ理由

引用:http://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000116.html
では最後に、「持ち家」ではなく、「賃貸住宅」を選んだ人達の理由を見てみましょう。
「住宅の立地環境が良かったから」や「家賃が適切だったから」といった理由が多いのですが、どちらも「賃貸住宅」特有のメリットではありません。
なぜ特有のメリットではないと言えるのか、過去に「持ち家」と「賃貸住宅」の生涯収支を比べたことがあるので、よかったら参考にしてください。
損をしないためには情報収集が肝心ーまとめ
いかがでしたでしょうか。
「土地価格」や「建物の相場」などは、その時期の経済状況に影響されやすいので、古いデータを見ていても参考にならないことが多く、
現在ではインターネットなどで情報が簡単に手に入るようになったので、「知っていると得」よりも、「知らないと損」が多くなってきました。
それに私達の生活から、「衣・食・住」は切り離すことができません。
「衣」や「食」のように、日々の生活で購入する機会が多く、比較的安価でリピート率の高いものなら、少しくらい失敗しても人生に大きな影響はありませんが、
「住」となると、必要な費用が比べものにならないので、失敗した時の経済的ダメージは計り知れませんし、将来の人生を左右する事態へと発展しかねません。
自分達家族の将来のライフスタイルを決める際に、身近な人達が「賃貸に住んでいるから」や「マイホームを買い始めたから」と、周りの行動を参考にする方も多いようですが、
しっかり「情報収集」や「取捨選択」を行い、将来の人生設計を家族で話し合う機会を積極的に設けることが「家づくりで失敗しないコツ」だと思います。
■ 以前は「知っていると得」する情報が多かったが、現在では「知らないと損」する情報が多い
■ 周りの雰囲気に流されず、きちんと自分達家族のライフスタイルを見直そう
■ 住まいで失敗しないためには、「情報収集」や「取捨選択」が大切