■ 注文住宅を建てるか建売住宅を購入するか迷っている人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
私は注文住宅を専門に扱っている工務店に勤めているので、知人からマイホームに関する相談を受けることが多いのですが、
家づくりの話をすると、「注文住宅はもっとバカ高いと思っていた。」や「土地の購入に気を付ければ、注文住宅が建てられそう。」といった感想をいただくことが多いんです。
その度に、人の生活に衣食住は欠かせないと言うわりには、家づくりに関することはあまり身近ではなく、住宅の購入を意識し始めた人にとっても情報が少ないことを改めて感じます。
特に、注文住宅の費用については、住宅会社の思惑が絡んでいるので、基準がはっきりしていませんし、
肝心な「住宅取得に必要な全ての費用の相場」となると霧がかかったようにベールに包まれていて、一般の方々は知る術を持っていないのが現状と言えるでしょう。
「注文住宅の坪単価」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
ですが、家づくりの相場が分からなければ、自分達に相応しいマイホームがどんなものか知ることもできませんし、住宅購入にあたって何から始めればよいのかも分かりません。
今回は、地域別に「注文住宅」と「建売住宅」の相場を比較できるように表にまとめたので、
これから始める家づくりの「方向性」や「資金計画」の参考になれば嬉しいです。
【都道府県別】注文住宅と建売住宅の購入費用の相場を比較
まず最初に、土地の取得費用を含めた「注文住宅」と「建売住宅」の購入費用の相場を地域別に見てみましょう。
※2015年度 住宅金融支援機構フラット35利用者調査より作成(単位:万円)
注文住宅(土地費用込み) | 建売住宅(土地費用込み) | 差額 | |||
---|---|---|---|---|---|
都道府県 | 購入費 | 坪単価 | 購入費 | 坪単価 | 購入費差額 |
北海道 | 3226 | 92.3 | 2761 | 80.9 | 465 |
青森県 | 3156 | 90.3 | 2817 | 86.6 | 339 |
岩手県 | 3154 | 90.6 | 2462 | 75.1 | 692 |
宮城県 | 3781 | 104.2 | 3090 | 94.6 | 691 |
秋田県 | 2903 | 87.3 | 2477 | 78.4 | 426 |
山形県 | 3456 | 93.8 | 2784 | 86.3 | 672 |
福島県 | 3852 | 103.6 | 2423 | 72.2 | 1429 |
茨城県 | 3480 | 98.5 | 2658 | 80.3 | 822 |
栃木県 | 3472 | 99.1 | 2279 | 70.1 | 1193 |
群馬県 | 3356 | 95.6 | 2267 | 70.7 | 1089 |
埼玉県 | 4154 | 124.0 | 2990 | 98.6 | 1164 |
千葉県 | 4056 | 117.5 | 3022 | 96.7 | 1034 |
東京都 | 5541 | 185.4 | 4247 | 150.4 | 1294 |
神奈川県 | 4764 | 149.5 | 3536 | 120.8 | 1228 |
新潟県 | 3329 | 94.5 | 2678 | 80.6 | 651 |
富山県 | 3329 | 87.5 | 2828 | 81.2 | 501 |
石川県 | 3576 | 95.4 | 3225 | 85.3 | 351 |
福井県 | 3211 | 87.6 | 2817 | 80.3 | 394 |
山梨県 | 3352 | 95.2 | 2803 | 82.2 | 549 |
長野県 | 3533 | 100.8 | 2879 | 90.7 | 654 |
岐阜県 | 3560 | 101.1 | 2446 | 70.9 | 1114 |
静岡県 | 3975 | 115.0 | 2907 | 92.8 | 1068 |
愛知県 | 4434 | 125.1 | 3139 | 94.8 | 1295 |
三重県 | 3657 | 100.7 | 2725 | 81.6 | 318 |
滋賀県 | 3689 | 106.6 | 2522 | 78.6 | 1167 |
京都府 | 3957 | 117.7 | 3339 | 108.7 | 618 |
大阪府 | 4222 | 126.5 | 3420 | 110.2 | 802 |
兵庫県 | 4045 | 118.1 | 3295 | 104.1 | 750 |
奈良県 | 3953 | 111.6 | 2987 | 92.5 | 966 |
和歌山県 | 3505 | 100.5 | 2683 | 88.6 | 822 |
鳥取県 | 3173 | 92.0 | 2828 | 90.3 | 345 |
島根県 | 3165 | 95.7 | 2949 | 93.1 | 216 |
岡山県 | 3703 | 105.4 | 2977 | 91.4 | 726 |
広島県 | 3877 | 112.0 | 3153 | 97.5 | 724 |
山口県 | 3416 | 99.7 | 3044 | 92.8 | 372 |
徳島県 | 3391 | 97.9 | 3177 | 93.2 | 214 |
香川県 | 3446 | 95.1 | 3020 | 88.7 | 426 |
愛媛県 | 3360 | 100.6 | 2989 | 92.6 | 371 |
高知県 | 3489 | 105.0 | 3153 | 96.5 | 336 |
福岡県 | 3758 | 108.2 | 3092 | 94.6 | 666 |
佐賀県 | 3431 | 97.0 | 2424 | 75.0 | 1007 |
長崎県 | 3525 | 100.9 | 3297 | 95.7 | 228 |
熊本県 | 3434 | 99.4 | 2998 | 93.8 | 436 |
大分県 | 3500 | 100.4 | 2673 | 87.0 | 827 |
宮崎県 | 3166 | 95.9 | 2537 | 85.6 | 629 |
鹿児島県 | 3230 | 98.9 | 2977 | 96.8 | 253 |
沖縄県 | 3963 | 121.9 | 3557 | 109.2 | 406 |
北海道 | 3226 | 92.3 | 2760 | 80.9 | 466 |
東北 | 3428 | 96.4 | 2834 | 86.9 | 594 |
信越 | 3421 | 97.5 | 2340 | 72.5 | 1081 |
関東 | 4347 | 131.1 | 3513 | 118.3 | 834 |
東海 | 4075 | 114.4 | 3014 | 90.5 | 1061 |
北陸 | 3390 | 90.5 | 2938 | 82.1 | 452 |
近畿 | 4030 | 118.4 | 3294 | 105.2 | 736 |
中国 | 3706 | 106.7 | 3098 | 95.6 | 608 |
四国 | 3430 | 99.3 | 3059 | 92.0 | 371 |
北九州 | 3686 | 105.8 | 3026 | 92.5 | 660 |
南九州 | 3411 | 100.7 | 2935 | 93.9 | 476 |
全国平均 | 3898 | 113.7 | 3320 | 108.1 | 578 |
表の「購入費」については、住宅会社がテレビCMやチラシで発表している販売価格とは違って、
「別途工事費」や「諸経費」「消費税」なども含んでいるので、最終的な資金計画(住宅取得に必要な総費用)と大きく変わりません。
※「固定資産税」や「保証料」などの誤差が生じることがあります
「坪単価」については、「購入費」を「建物面積(坪)」で除しているので、建物の延べ床面積1坪当たりの購入費用となっています。
なので、建物の延べ床面積を知りたい場合は、下記のように計算して下さい。
注文住宅の全国平均の例:購入費 3898(万円)÷坪単価 113.7(万円)≒34.283(坪)
坪を㎡で換算する場合:建物面積 34.283(坪)×3.31(㎡)≒113.476(㎡)
「購入費差額」については、注文住宅の購入費から建売住宅の購入費を引いているのですが、
予想通りと言うか、どの都道府県を見ても購入費は建売住宅に比べて注文住宅の方が高額なのが分かります。
それと、「購入費差額」を地域別に比較すると、地域によって大きなバラツキが生じているのですが、
更に注意深く比較してみると、都市部に近い程、「注文住宅」と「建売住宅」の金額差が大きいことが分かります。
しかし、私は大阪に住んでいるので、近畿圏の住宅事情にはそれなりに詳しいつもりなのですが、「注文住宅」と「建売住宅」の建物費用にこれほど大きな差があるとは思えません。
少し調べてみると、どうやらこの金額の差には、「敷地」や「建物」の大きさが強く影響していることが分かりました。
【地域別】注文住宅と建売住宅の面積の相場を比較
では次に、「注文住宅」と「建売住宅」の「敷地」や「建物」の面積について比較してみましょう。
都道府県別ではデータが多すぎるので、地域別にまとめてみました。
※都道府県別の詳細を知りたい方は住宅金融支援機構のHPを参照して下さい
※2015年度 住宅金融支援機構フラット35利用者調査より作成(単位:坪)
注文住宅(土地費用込み) | 建売住宅(土地費用込み) | |||
---|---|---|---|---|
都道府県 | 建物面積 | 敷地面積 | 建物面積 | 敷地面積 |
北海道 | 35.0 | 79.1 | 34.1 | 55.6 |
東北 | 35.6 | 82.4 | 32.6 | 57.9 |
信越 | 35.1 | 82.1 | 32.3 | 61.4 |
関東 | 33.2 | 57.1 | 29.7 | 37.4 |
東海 | 35.6 | 64.5 | 33.3 | 48.1 |
北陸 | 37.5 | 67.4 | 35.8 | 53.6 |
近畿 | 34.0 | 50.8 | 31.3 | 37.3 |
中国 | 34.7 | 67.3 | 32.4 | 47.9 |
四国 | 34.5 | 66.6 | 33.2 | 52.7 |
北九州 | 34.8 | 71.6 | 32.7 | 56.6 |
南九州 | 33.9 | 88.9 | 31.2 | 98.9 |
全国平均 | 34.3 | 65.1 | 30.7 | 42.1 |
この表を比較すると、建売住宅に比べて注文住宅の方が「敷地」や「建物」の面積が広いことにお気付きでしょうか。
全国平均で見ても建売住宅に比べて注文住宅の方がかなり広く、「建物の面積が3.6坪(約12㎡)」「敷地の面積が23坪(約76㎡)」も差があるので、
面積が広くなった分の「建物」や「敷地」の購入費用が含まれているため、建物の建築費用以上に大きな差が生じているようです。
ということは、注文住宅の「敷地」や「建物」の面積を建売住宅と同じような面積にすれば、購入費用を抑えることが十分可能ということも分かりました。
それに、専門的な知識のない一般の方々が「注文住宅は高額」というイメージを持っているのには、このような「建物」や「敷地」の広さの違いも大きく影響しているようです。
【地域別】注文住宅と建売住宅の様々な費用の相場を比較
では最後に、気になるマイホームを購入された方々の「年収」や「頭金」「借入金」について見てみましょう。
※2015年度 住宅金融支援機構フラット35利用者調査より作成(単位:万円)
注文住宅(土地費用込み) | 建売住宅(土地費用込み) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
都道府県 | 年収 | 頭金 | 借入金 | 年収 | 頭金 | 借入金 |
北海道 | 523 | 364 | 2862 | 503 | 292 | 2469 |
東北 | 569 | 404 | 3024 | 525 | 350 | 2484 |
信越 | 571 | 389 | 3032 | 465 | 211 | 2129 |
関東 | 664 | 579 | 3768 | 590 | 438 | 3076 |
東海 | 618 | 532 | 3543 | 545 | 353 | 2662 |
北陸 | 570 | 483 | 2907 | 564 | 515 | 2423 |
近畿 | 618 | 543 | 3487 | 546 | 406 | 2888 |
中国 | 587 | 482 | 3223 | 568 | 526 | 2573 |
四国 | 569 | 486 | 2944 | 562 | 439 | 2621 |
北九州 | 579 | 386 | 3300 | 557 | 334 | 2692 |
南九州 | 560 | 369 | 3042 | 527 | 283 | 2653 |
全国平均 | 611 | 497 | 3401 | 569 | 409 | 2910 |
全国平均を比較してみると、建売住宅に比べて注文住宅の方が「約100万円の頭金」と「約500万円の借入金」が多いので、注文住宅を購入するには合計で約600万円の追加費用が必要なことが分かります。
ということは、住宅ローン(35年)に換算すると、月々の支払いが1.8万円増加することになるので、おいそれと支払いを増やせる金額ではありません。
※35年固定金利1.35%(ボーナス払い無)では借入金100万円毎に月々3000円の返済が必要です。
こういったお金に関することは、注文住宅を諦める原因の一つになりやすいのですが、
先程の表でも分かるように、注文住宅の「建物」や「敷地」の広さを調整すれば、購入費用を圧縮することが可能ですし、マイホームを取得することで節約できる日々の支出もあります。
少し工夫をすれば、理想のマイホームを手に入れるまでのハードルもグッと下がるのではないでしょうか。
「家づくりの資金計画の計算」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
「家づくりの資金を増やす方法」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
マイホームの購入を考え始めたら最初にすることは?ーまとめ
では、マイホームの購入を検討し始めた際、最初にするべきことは何でしょうか?
「注文住宅」と「建売住宅」の購入費用の相場を見れば分かるように、マイホームを購入する地域によって必要となる費用が大きく違いますし、「建物」や「敷地」の広さによっても激しく変動します。
それに、「住宅会社のHP」や「住宅情報誌」などで調べても、自分達の条件とピッタリでないと実際の購入費用とは大きな隔たりが生じてしまうので、あまり参考になりません。
なので、具体的な自分達の理想のマイホーム像を比較対象の基準にする必要があります。
具体的な基準があれば、住宅会社に「実際の購入費用と隔たりのない見積り」をしてもらうことが可能なんです。
そうすれば、金銭面に不安を抱くことなくマイホームの計画を進められるので、家づくりの「失敗」や「後悔」を防ぐことにも繋がりますよ。
「家づくりに失敗しない方法」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
たくさんの住宅会社から見積りを集めるには、「時間」や「手間」がかかりますし、住宅営業マンからの営業攻撃をかわすのにも骨が折れます。
ですが、手軽にインターネットで複数の見積りを集める方法もあるので、一例をご紹介しておきますね。
【無料】一度で複数の住宅会社を比較! ➤【無料】入力簡単!一括資料請求はコチラ 全国600社以上の注文住宅会社から厳選! 資料だけでなく、間取りプランや資金計画も作成! |
■ 「建物」や「敷地」の広さを工夫すれば、注文住宅の購入費用を抑えることができる
■ 家づくりを上手く進めるには、金銭面に対する不安を解消することが大切
■ 具体的な基準で作成した見積りを比べないと、実際の費用と大きな隔たりが生じてしまう