※この記事では、住宅会社や金融機関の営業マンから金利タイプについて受けるアドバイスを例に、住宅ローンの注意点について詳しく解説しています。
家族との相談結果は、固定金利だったんですが・・
住宅会社の営業マンには変動金利を勧められているんです。
プロの目から見ると、私達家族には変動金利が向いているのでしょうか?
もしかしたら・・
その営業マンが変動金利を勧めるのは、初家さんに向いているからではないかもしれませんよ。
エッ、どういうことですか?
てっきり、将来の金利動向なんかの予測から、お得な住宅ローンを勧めてくれていると思っていたんですが・・
残念ですが、プロからのアドバイスであっても、必ずしもユーザーの利益を考えているとは限らないんです。
では、今回は「営業マンが変動金利を勧める理由」について解説しましょう。
■ 住宅会社や金融機関の営業マンが変動金利を勧める理由を知りたい
■ マイホームの資金計画で失敗しない方法を知りたい
不動産会社や住宅会社の営業マンが変動金利を勧める理由とは
家づくりを始め、不動産会社や住宅会社の営業マンと話す機会が増えると、「変動金利を勧める担当者が多い」と感じませんか?
史上空前の低金利時代と呼ばれるほどの、住宅ローン金利の下落が理由とお思いかもしれませんが・・
実は、非常に金利が高い時代でも、彼ら営業マンは変動金利を勧めていました。
それには、2つの大きな理由があるんです。
「買えない人」を「買える人」にするため
営業マンにとって、最大の役目とは何でしょうか?
(「お客さんに得をしてもらい、喜んでもらうこと」だとイイんですが・・)
悲しいかな、サラリーマンである彼らに課せられている最大の役目は「契約を取ること」です。
そのため、営業マンは「その商品が欲しくなるような魅力を伝えること」に注力し、「どうしたら買ってもらえるか」を常に考えています。
実は、お客様に「自分のことを気に入ってもらうこと」や「商品のメリットを知ってもらうこと」も大切なのですが、それ以上に「商品の価格を安く感じてもらうこと」が重要なんです。
なぜかというと、土地や注文住宅などの高額商品では、「買う・買わない」という意思決定だけでなく、「買える・買えない」が問題になるケースがほとんど。
いくら自分や商品を気に入ってもらえても、その人が買えなければ契約を取れないんです。
「買える・買えない」で悩んでいる人は、営業マンにとって客ではありません。
『このくらいなら払っていける!』と思える価格にする必要があります。
もちろん、「価格を下げる」といった企業努力も効果的なのですが・・
企業としては少しでも高く売りたい、利益をたくさん得たい。
ローンで購入する商品では、同じ価格でも安く感じてもらう簡単な方法があります。
それは、より低い金利でローンをシミュレーションしてあげること。
とくに、初めての経験が多い家づくりでは、「情報収集が進んでいない人」「業者任せにする人」が多いため。
金利の高い固定金利でなく、月々の支払い額が少なく見える変動金利で月々の支払いを提示してあげることで、
「買えない人」を「買える人にできる」かもしれません。
1円でもたくさんのお金を使って欲しいから
営業マンが変動金利を勧めてくる、もう一つの理由は、お客様に少しでも多くお金を払って欲しいからです。
というのは、不動産会社や住宅会社の営業マンの多くは、歩合制(売上高によって支給額が変化する給与形態)ですし、会社からの評価を上げるためにも1円でも多く売上が欲しいんです。
もちろん、「商品の魅力を高めるセールストーク」「利便性・危険性を訴える説明」など、購入意欲を引き出すのも営業マンの手法なのですが・・
土地や注文住宅といった高額な買い物では、「買う・買わない」という意思決定だけでなく、「買える・買えない」が重要となります。
いくらお客様の購入意欲を高めても、予算が許さなければ購入に至りません。
では、お客様に「予算に余裕がある」と簡単に思ってもらえる、効果的な方法はなんでしょうか?
答えは簡単。
月々の支払い額を少なく感じるよう思い込ませればイイんです。
金利の高い固定金利ではなく、月々の支払い額が少なく見える変動金利を勧めれば、『一生に一度の家づくりだし予算が許すなら思い切って・・』と行動してもらえる可能性が高まります。
銀行(金融機関)の営業マンが変動金利を勧める理由とは
たしかに、銀行の人も『変動金利がお得ですよ。』って言ってた気がします。
利害関係のある不動産会社や住宅会社の営業マンと違って、ローンの専門家が勧めるってことは、やっぱり変動金利の方がお得なんですか?
「専門家のアドバイスだし・・」と参考にされる方も多いようですが、そうでないこともあるんです。
では、金融機関の営業マンが変動金利を勧める理由も簡単に説明しましょう。
過去の記事でも触れましたが、金融機関の営業マンが変動金利を勧める大きな理由の一つに、「自社のリスクを軽減するため」というものがあります。
では、おさらいをかねて金利タイプ別に「金利上昇リスクを請け負うのは誰か?」を考えてみましょう。
それどころか市中金利の上昇具合によって、金融機関の利益が増加することもあるようです。
ですが、金融機関もボランティアでお金を貸しているわけではないので、リスク(危険性)を減らそうとするのは当然のことかもしれませんね。
特に、不動産会社や住宅会社とタイアップした「住宅ローン相談会」では、タイアップ先から変動金利を勧めるようにお願いされることが多いのか、
変動金利のメリットを中心に説明を行う「金融機関の営業マン」や「ファイナンシャルプランナー」がほとんどのようです。
住宅ローンは業者の都合に振り回されないよう注意!-まとめ
上記以外にも、『手続きが比較的簡単だから。』や『住宅ローンの詳しい説明をするのが面倒だから。』といった理由から、
変動金利を勧める営業マンもいるようです。
こっちは経験のない初心者ですし、専門家の意見は信頼性が高いと思ってるんですから・・
ちゃんと私達の身になってもらわないと困りますよね!
もちろん、全ての営業マンがそうだとは言いません。
しかし、将来の金利がどうなるかなんて誰にも分かりませんし、
彼らの多くはサラリーマンなのですから、「お客様の利益」より「会社の利益」を優先するのは、ある意味仕方がないことかもしれませんね。
しかし、ここで消費者を悩ませるのが、「変動金利と固定金利のどちらが得」と一概に言い切れないところです。
仮に現在の低金利が長期間続けば、『固定金利ではなく変動金利を選んでおいた方が得だった・・』ですが・・
すぐに高金利の時代がやって来ないとは限りません。
住宅ローンを組む人のライフスタイルや経済状況などにより、向いている金利タイプは異なります。
中には『固定金利より変動金利の方が得!』と断言できる人だっているんです。
(固定金利が向いている人・変動金利が向いている人については、機会があれば記事にしたいと思います)
でも、業者の都合に振り回されて住宅ローンを組んでしまったら、後々大変なんじゃ・・
「プロのアドバイスだから・・」とか「TVで専門家が勧めていたから・・」と、安易に住宅ローンの金利タイプを決めてしまうのは非常に危険なんですね。
支払い期間の長い住宅ローンでは、ちょっとしたことで支払い総額が何百万円も変わることだって珍しくありません。
まずは、ご自身のライフスタイルや経済状況をもとに、将来の暮らしを見越して資金計画や住宅ローンを見直してみましょう。
家づくりノートを作って資金計画の記録を残しておくと、迷ったときの振り返りに役立ちますよ!
■ 業者の都合に振り回されず家族とって有利な金利タイプの選定が大切
■ 住宅ローン選びは将来の暮らしを見越して計画しよう
■ 家づくりの資金計画を記録しておくと迷ったときに役立つ