■ 家づくりの外壁材選びで困っている人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
注文住宅では、外壁材一つとっても様々な種類の建材から選べるので、どうしても迷ってしまわれる方は多いと思うのですが、
マイホームが完成してから後悔しないためにも、自分達にとって最大のメリットが得られ、デメリットを感じにくい外壁材を選びたいですよね。
今回は、注文住宅の外壁材選びで失敗しないための「コツ」や、「メリット」「デメリット」についてご紹介します。
窯業系サイディングの特徴とは
窯業系サイディングは、「厚さ」や「表面処理」などの違いによって価格差が大きく、ニーズに合わせやすいのが利点的な特徴になります。
導入コストの割に総合的な性能が高く、コストパフォーマンスにも優れているため、現在の注文住宅では、最も普及率の高い外壁材です。
更に、「デザイン」や「カラー」も多種多様で、様々な表現に対応できるようになったのも普及率が高くなった要因の一つと言えます。
メリット
- 耐久性・耐震性・耐火性・防音性に優れている
- 色や模様のバリエーションが多く、デザイン性が高い
- 工場で生産されるため、品質が安定している
- 「表面の仕上げ」や「厚さ」を変えることで、「費用」や「性能」を調整できる
- 施工性がよいので、仕上がりのムラが少ない
- モルタル塗り壁に比べて工期が短い
デメリット
- グレードによっては安っぽい印象を与えてしまう
- 表面処理が劣化すると、水を吸収しやすくなる
- 日光の熱を吸収しやすく、表面温度が上がりやすい
- サイディング自体が劣化していなくても、目地(継ぎ目)のシーリング材だけが劣化している場合もある
- 生産時には色彩に凝った商品も発売されているが、メンテナンス時は現場塗装になるため、凝ったデザインの再現が非常に難しい
「窯業系サイディング」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
モルタル塗り壁の特徴とは
窯業系サイディングに押されて、注文住宅での採用が減少しているモルタル塗り壁ですが、
他の外壁材では、左官職人の技による「デザイン性の高さ」や「特有の質感・味」を再現することができないため、まだまだ根強いファンが多く、憧れている人も少なくありません。
メリット
- 左官職人の技によるデザインの自由度が高く、意匠性に優れる
- 火に強く、防火性能が高い
- シーリング材などによる継目がない
- サイディングでは難しい曲面の壁にも施工可能
- 独特の質感が醸し出す風合いが味わい深い
- 蓄熱性が低いので、表面温度が上がりにくい
デメリット
- 工程が多く、乾燥に時間がかかるため、工期が長い
- 一般的なサイディングと比較して、コストが高い
- モルタルは乾燥に伴い収縮するため、へアークラックなどのヒビ割れが起こりやすい
- 現場施工のため、職人の技術力による差が現れやすく、品質にムラが生じる可能性がある
- 吸水性が高く、モルタル塗り壁だけでは防水性が低いので、表面塗装が必要
「モルタル塗り壁」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
金属系サイディングの特徴とは
金属系サイディングは、メタリックな質感を好む人からの人気が高く、他の外壁材にはない個性的な意匠が表現できるので、建築家からの引き合いも多い外壁材です。
少し前までは、取り扱っているメーカーが少なかったこともあり、導入コストが高く、種類もそれほど豊富ではありませんでしたが、
金属サイディングを取り扱うメーカーが増えた現在では、比較的安価な製品も開発されるようになりました。
メリット
- 金属特有の質感でしか表現できない、唯一無二の風合いが得られる
- 高性能な断熱材を使用していることが多く、断熱性に優れる
- 他の外壁材に比べて軽量で、施工性がよい
- 耐凍害性(凍結が原因で受ける被害に対する耐性)が優れている
- 導入コストが比較的安価なものが多い
デメリット
- 切り口や傷から錆が発生しやすく、塩害に弱い
- 窯業系サイディングに比べて、デザインやカラーの種類が少ない
- 「凹み」や「傷」が発生した場合、部分補修が非常に難しい
- 錆による著しい劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせない
「金属系サイディング」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
ALCパネルの特徴とは
以前は鉄骨構造の建物に採用されることの多かった外壁材ですが、厚みの薄いALCパネルが開発されたことで、木造造の建物に採用されることも増えてきました。
外壁材としての性能は非常に高いのですが、まだまだ表現できるデザインの幅が狭く、意匠性に欠けるところがあります。
メリット
- 耐久性が高い
- 断熱性が高い
- 防火性が高い
- 遮音性が高い
- 火災保険が安くなる
デメリット
- デザインの種類が少ない
- 現場塗装が必要なので、見た目が単調になりやすい
- 導入コストが高い
- 吸水性が高い
- 表面強度が弱く、欠けやすい
「ALCパネル」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
外壁タイル仕上げの特徴とは
タイル仕上げの外壁は、他の外壁材に比べて導入コストがかなり高額なため、二の足を踏みがちですが、
他の外壁材では得られない、タイル仕上げ特有の高級感に憧れを抱いている人は多く、メンテナンスフリーと言っても過言でないくらいの耐久性を併せ持つ、非常に魅力的な外壁材です。
メリット
- 焼き物独特の高級感が得られる
- メンテナンスの必要がほとんどない
- 耐久性が非常に高い
- 汚れが付きにくく、手入れがしやすい
デメリット
- 導入コストが非常に高い
- 他の外壁材に比べて重い
- 施工に必要な期間が長い
「外壁タイル仕上げ」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
木質系サイディングの特徴とは
防火性の観点から見ると、建物の外壁に無垢の木材を採用するは困難な場合も多いのですが、表面に特殊処理の施された木質系サイディングであれば、問題はありません。
まだ普及率の低い外壁材ですが、木材特有の無垢なルックスには魅力を感じている方も多く、個性的で他にはない意匠性を求めている方には特に人気があります。
メリット
- 無垢材特有の表情豊かな質感が、見栄えのするテクスチャ―を演出してくれる
- 人工物に有り勝ちな不自然さがない
- 断熱性が高い
- 熱を吸収しにくいため、表面温度が上がりにくい
- 無垢材はには、一つと言って同じ表情のものがない
デメリット
- 防火性が低い
- メンテナンスを怠ると、劣化スピードが上がる
- 表面塗料が厚くなると、見栄えが悪くなる
- 良い物はコストが高い
- 取扱店が少ない
「木質系サイディング」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
樹脂系サイディングの特徴とは
日本での普及率が非常に低い樹脂系サイディングですが、「カナダ」や「アメリカ」では戸建住宅の半数以上に採用されている、と言っても過言ではないほど普及率の高い外壁材です。
日本では取り扱っているメーカーが少なく、意匠性に欠けますが、樹脂特有の高い「耐久性」や「耐候性」が得られるため、将来的なメンテナンスによる「費用」や「手間」を大幅に省くことができます。
メリット
- 耐久性や対候性に優れている
- メンテナンスの必要がほとんどない
- 窯業系サイディングと比較して、重量が約1/10と非常に軽い
- オープンジョイント工法を用いると、目地のシーリングが不要
- 部分変色の心配がほとんどない
- 吸水性が非常に低いため、耐凍結性に優れている
デメリット
- デザインやカラーのバリエーションが非常に少ない
- 窯業系サイディングに比べると、導入コストが高額になりやすい
- 採用している建物が少ないため、実物を見ることが難しい
- 施工に慣れた技術者が少ない
- 表面に塗料が定着しにくいため、色調の変更ができない
「樹脂系サイディング」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
家づくりで選択できる外壁材ーまとめ
建築技術の進歩により、様々な建材が開発されているため、どんな住宅会社でも全ての外壁材が取り扱われていると一般的には思われがちです。
しかし、住宅会社では外壁材一つとっても「得意」「不得意」があり、採用を断られることも珍しくありませんし、仮に採用できたとしても、高額な導入コストを要求されてしまうかもしれません。
もし、憧れていたり、どうしてもマイホームに取り入れたい外壁材があるなら、住宅会社と契約を交わす前に、「導入コスト」や「選択できるメーカー」などについて、「事前の下調べ」と「確認」を怠らないで下さい。
それと、住宅会社で用意されている「小さい外壁サンプル」や「CG(コンピューターグラフィック)によるパース」では、広い壁に施工した際の「質感」や「雰囲気」のニュアンスを掴みにくく、実際の建物のイメージと大きく異なる場合も少なくありません。
マイホームの外壁材選びで「失敗」や「後悔」を防ぐためにも、住宅会社に大きいサンプルを取り寄せてもらったり、メーカーのショールームに足を運んで、実際に確認されることをおススメします。
マイホームの外壁は、外観の良し悪しを左右する重要な項目ですし、気に入らないから張り替えるとなると、多額の費用が必要です。
なので、建築時の導入コストだけに囚われず、「意匠性」や「将来的に必要となるメンテナンス費用」にも気を配ることを忘れないで下さい。
外壁材は外観に飽きたからといって、頻繁に交換できるものではありません。
じっくりと検討して、自分達家族が満足できるものを見つけて下さいね。
■ 「小さいサンプル」や「CGパース」だけで判断せずに、メーカーのショールームなどを利用する
■ 外壁材は導入コストだけでなく、将来のメンテナンス費用にも気を配ることが大切
■ 外壁材は導入コストだけでなく、将来のメンテナンス費用にも気を配ることが大切