※この記事では、注文住宅の家づくりで生じやすい予算オーバーを防ぐコストダウンのポイントを紹介しています。
こんにちは!建築士&FP技能士の清水裕一(しみゆう)です。
家づくりは順調に進んでいますか?
それが・・住宅会社との打合せが進むにつれ、新居で叶えたいことがドンドン増えちゃって・・
でも、予算に限りがあるし・・どうしましょう。
プランの進捗にともない知識が深まるため、新たな要望が増えるのは誰しも同じです。
家づくりとお金の悩みは、切っても切れない関係ですからね。
せっかく注文住宅を建てるんだから後悔したくないし・・
主人は『何とかなるだろう。』って言うんですけど、将来のことを考えたら少しでも節約しておかないと・・
家づくりの最中に、「理想の暮らし」と「将来の不安」の狭間で思い悩むのは当然です。
とはいえ、何か打開策が必要そうですね。
では、注文住宅のコストダウンのポイントを紹介しましょう。
工夫次第で予算と要望を両立できるかもしれませんよ。
■ 家づくり資金計画の予算オーバーを解消したい
■ 住宅会社の見積もりが予算を超えてしまいそう
予算オーバーを防ぐコストダウン
家づくりでは、たいてい大きな壁に突き当たります。
それは、お金の悩み・・どのように予算をやりくりするか。
というのは、家づくりを始めた当初は誰しもわずかな知識しかありませんが、計画が進むにつれ徐々に増えていきます。
たとえば、「快適に暮らしたいなら性能の高い断熱材を選ぶべき」「外壁をタイル張りにするとメンテナンス費用を抑えられる」といった、メリットを感じる情報を耳にすると、気にせずにいられません。
『一生に一度のマイホームかもしれないし、できる限りのことをしておかないと後悔するかも・・』という気持ちが強くなり、身の丈を超えることもしばしば。
プロの説明付きで勧められればなおさらです。
もちろん、家づくりの知識が増えるのは悪いことではありませんし、新居の住み心地を優先すべきなのですが・・
必ずと言ってよいほど、当初の予算をオーバーすることに。
もし、予算オーバーのまま家づくりを進めてしまっては大変。
無理な住宅ローンにより家計が破たんしては、何のためにマイホームを建てたのかわかりません。
将来の家計破たんを防ぐために、コストダウンは非常に有効です。
家づくりの早い段階でコスト意識を高めておけば、予算を最大限に活かすコストダウンも夢ではありません。
土地購入時に有効なコストダウンのポイント13
購入時は気が付きにくいのですが、後で発覚してしまうと大きく予算を圧迫するのが、建物を建てる土地の条件に起因する費用です。
なかには、莫大な費用がかかってしまう土地が存在します。
気を付けないと、『建物を建てる予算が残らなかった・・』なんてことも。
そうなる前に、大きな費用が予想される土地の条件を覚えておきましょう。
下記の条件を避けることは、家づくり総予算のコストダウンにつながります。
■建築時の費用負担が大きい土地条件
- 防火・準防火地域
- 地盤改良工事が必要
- 擁壁・造成工事が必要
- 既存建物の解体工事が必要
- 上下水道が引き込まれていない
- 上水道メーターの口径が小さい
- 浄化槽の設置が必要
- 電柱から25m以上離れている
- 建築資材の搬入が困難
- 土地境界が不確定
ですが、事前に概算費用が分かっていれば、後で慌てることはありません。
予算オーバー必至であれば、そもそも土地の購入を踏み切る決断をしないはずです。
土地の価格は、交渉次第で下がることも珍しくありません。
あきらめられない理由があるなら、ダメ元でも試してみる価値あり。
- 仲介手数料の値引き交渉をする
- 土地の売主に値引き交渉をしてもらう
- 売価よりも低い価格で指し値を入れる
土地の購入時に有効なコストダウンは、主に土地探しから家づくりを始める人が対象です。
ですが、建て替えであっても事前に必要な費用が分かっていれば、予算調整に役立ちます。
土地探しにも注意事項がたくさんあるんですね。
後で大きな出費が分かっても、手遅れじゃすまされませんよ・・
売買契約を交わした後では、誰も責任をとってくれません。
土地探しの際は、家づくりに詳しい人からアドバイスが貰えるといいですね。
私は、土地探しも住宅会社に手伝ってもらう予定なので、アドバイスを貰えそうなんですが・・
でも、気に入った土地とコストダウンの条件が合わなかったらどうしたらいいですか?
そんな時は、具体的に価格を下げて欲しい理由を説明したうえで、交渉に挑んでみましょう。
建物を建てるために欠かせない費用と同額であれば、交渉次第で値引きに応じてもらえるケースがありますよ。
家の設計・間取りに有効なコストダウンのポイント14
家の間取りや外観の変更は、大きなコストダウンにつながるケースが珍しくありません。
基本的にシンプルな形状ほど費用対効果は向上します。
間取りを確定する前は非常に有効ですが、設計の完了後は変更費用の負担を求められるため効果は限定的です。
■設計・間取りに関わるコストダウン
- 建物の延べ床面積を減らす
- 凸凹の無い外観にする
- 建物の形を正方形に近づける
- 下屋のなくし総2階にする
- 3階建てにせずロフト・屋根裏収納とする
- 勾配の緩い単純な形の屋根にする
- 部屋数・間仕切壁を減らす
- 廊下の面積を減少する
- 和室にこだわりすぎない
- トイレを1ヶ所にする
- 階段に凝り過ぎない
- 収納の数を減らす
- 水回り設備をまとめる
- 窓の数を減らす
規格住宅やローコスト住宅ではコストダウンを認められないケースが多いため、事前確認が必要です。
フルオーダー住宅は非常に有効ですが、繰り返しの設計は時間も手間も膨大になるため、早めに意思を伝えるよう配慮しましょう。
建物の設計に関わる仕様変更は、計画が進むほど追加費用が高額になり、建築確認申請後は受け付けてもらえないことも。
後悔のないよう、十分な検討を心掛けてくださいね。
分かりました。
それに、決定後の変更は、住宅会社も喜びませんよね。
あと、住宅会社は建築費が下がるよりも、上がる方が設計変更に協力的です。
始めからコストダウンを考慮した要望を伝え、予算の余裕をみて追加していくと打合せがスムーズに進みますよ。
建物の性能・仕様に有効なコストダウンのポイント18
主に建材や設備機器など、建物の性能・仕様を決定時に可能なコストダウンです。
住宅会社の「部材の仕入れ金額や経路」「価格決定の仕組み(見積り方法)」などにより、効果は大きく左右されます。
※詳しくは後述
建物の雰囲気や使い勝手にも影響が大きいため、費用対効果を考慮した決断が、家づくりの満足度を下げない秘訣です。
■性能・仕様に関わるコストダウン
- 構造材をそのまま化粧梁・化粧柱に使用
- 断熱性能や気密性能の再検討
- 玄関扉をシンプルなものにする
- 設備機器のメーカーを指定しない
- 旧モデル設備機器の在庫を確認
- 使用頻度の少ない機能の取り止め
- 収納扉を設置しない
- 天井廻り縁・壁の見切り材の取り止め
- 仕上げ材を統一し種類数を減らす
- 仕上げ材に量産品を選ぶ
- 縁なし畳を選ばない
- 天然石風のタイルを利用
- コストの低い材料を選ぶ
- 高級仕上げ材の使用箇所を限定化
- 特注品を取り止め既製品を利用
- 塗装風や左官風の壁クロスを採用
- 施主支給の許可を得る
- 安価な建材の提案を依頼
建物の性能や仕様にも様々なコストダウンがあるんですね。
でも、節約しすぎてお家がみすぼらしくなるのはチョット・・
性能を上げることで建物の維持費用を抑えられれば、総費用の減少と住み心地の向上を両立できます。
短期的な負担だけでなく、将来を含めたトータルコストを意識すると、取捨選択しやすくなりますよ。
建物の性能や仕様のコストダウンといっても、グレードダウンだけじゃないんですね!
負担を抑えたうえに満足度が上がるなら、積極的に取り入れたいです。
イニシャルコストをどんなに下げても、ランニングコストやメンテナンスコストが増加しては、賢いコストダウンとは言えませんよね。
さらに、家づくりの補助金を上手く活用できれば、予算オーバーの心配もないでしょう。
建築工事に有効なコストダウンのポイント7
建築工事にも有効なコストダウンは存在します。
ただし、様々な意味で最終手段と考えておきましょう。
住宅会社としては最も許容したくないコストダウンのため、事前に意思を伝えなければ実現が困難です。
建物の工事が始まってからでは遅すぎます。
■建築工事に関わるコストダウン
- 工種(工事の種類)を減らす
- 造作家具を大工さんに依頼
- レンタル仮囲いを使用しない
- DIY感覚で自分達で施工する
- 職人さんについで工事をお願いする
- 分離発注を採用
- 生活に支障のない工事の取り止め
建築工事に関わるコストダウンは請負会社の利益を削るため、必ず契約前に申し出ましょう。
でないと、住宅会社の協力を得られないかもしれません。
確かに、工事の最中に住宅会社と関係が悪くなったら家づくりが苦痛になっちゃいますよね。
それに、家づくりが終わっても住宅会社と良い関係を保ちたいですもんね。
素晴らしい心構えですね!
住宅会社と良い関係を築いておけば、新居の暮らしが始まってからも安心ですよ。
家づくりの諸費用に有効なコストダウンのポイント8
家づくりの諸費用もコストダウンが可能です。
ただし、自身で積極的に行動しないと実現が難しく、それなりの手間と時間を覚悟しなければなりません。
ですが、建物への影響はもちろん、満足度も維持されます。
純粋にコストだけを下げられるため、是非挑戦してください。
■家づくりの諸費用に関わるコストダウン
- 必要経費の少ない住宅会社を選ぶ
- 同じ工種で相見積もりを行う
- 構造現場見学会や完成現場見学会を開催
- 諸経費の値引き交渉をする
- 金利などが有利な住宅ローンを選ぶ
- 生命保険を見直す
- 登記や住所登録を自分で行う
- 利用可能な補助金・助成金を探す
労力さえ惜しまなければ、デメリットは全くありません。
しかし、かなりの時間や手間はもちろん、それなりの知識や情報収集が欠かせないので、覚悟が必要なのを忘れないでくださいね。
もちろん!
家族の理想を叶えるために、頑張ります。
まあ、補助金については、手数料を払えば手伝ってくれる住宅会社もいますし・・
無理をしないよう頑張ってください。
住宅会社の形態や仕組みによりコストダウンの効果が変動
様々なシチュエーションのコストダウン方法を紹介しましたが、全ての住宅会社で同様の結果は期待できません。
残念ながら、家づくりに関わるコストダウンは個別性が高いんです。
「住宅会社の形態・ビジネスモデル」や「工事や部材の仕入れ・価格決定(見積もり方法)の仕組み」により、コストダウンの効果が変動するのは否めません。
そのため、費用対効果の最大化はもちろん、時間や手間を最小限に抑えるには、契約候補の住宅会社の内情理解が必須となります。
とはいえ、住宅会社の内情理解は容易でなく、初めての家づくりとなればなおさら。
できれば、利害関係のない専門家の協力が望ましいのですが・・
ですが、住宅会社の内情は見積リ明細からある程度読み取れます。
- 見積書で部材や工事を1つ1つ拾い上げている住宅会社は、建物の設計や間取り・仕様・工事を数値化し積み上げて価格を算出しているため、変更による数値変動が如実なため、コストダウン効果が現れやすい。
- 標準仕様を準備するなど、一式見積もり(一定の基準を設けることで設計や使用を簡素化した見積もり)を採用している住宅会社は、変更による数値変動の影響を受けにくいため、コストダウン効果が現れにくい。
上記のような傾向が見積書にあるため、住宅会社を選ぶ際はコストダウンの効果を見越しておくとミスマッチが起きにくくなります。
契約前に、住宅営業マンへコストダウンの協力を打診しておくと、さらに安心です。
注文住宅のコストダウンは事前準備で激変!ーまとめ
家づくりって、大詰めに気が付いても『時すでに遅し・・』ってことが多いんです。
注文住宅はなおさらで、計画が進めば進むほど制約が増えるため、後で取り返しの付かないケースがほとんど。
例えば、土地購入後は敷地状況に左右されますし、契約後は住宅会社のルールから逃れられません。
事前知識や情報収集が足りない人ほど、家づくりに失敗・後悔する可能性が高まるんです。
わたしは、事前に家づくりのことを勉強できてよかったです。
きっと、理想の暮らしを実現させてみせます!
頼もしい、その意気です!
まだまだ家づくりはこれからですが、しっかりサポートするので、共に学びましょう。
もちろん、家づくりを成功させるためには、住宅会社を中心とした様々な人達の協力が欠かせません。
お互いに良い関係を保ち、気持ちよく家づくりが進められるよう心掛けることは非常に大切です。
ですが、相手も商売、利益の確保が最優先。
待っていたところで、コストダウンの提案は期待できません。
予算オーバーするか否かは、どれだけ早くコストを意識し始めるかにかかっています。
それに、土地購入や住宅会社の契約後はコストダウンの効果が限定的なため、叶えたい要望を削ることでしか対処不能です。
それでは本末転倒・・
「家づくりの成否は事前準備の程度によって激変する」といっても過言ではありません。
少しずつでかまわないので、家づくりを学びましょう。
理想の暮らし実現には事前準備が不可欠。
手軽で効率的な注文住宅の情報収集法について紹介しています^^
■ 住宅会社の形態や仕組みによりコストダウンの効果性は変動
■ 土地購入や住宅会社の契約後ではコストダウンの効果は限定的
■ 早い時期にコスト意識を高めておけば、予算オーバーは対処可能
もしまだなら、手始めに「家づくりノート」を作ってみましょう。理想の暮らしへの近道になること受け合いです。
家づくりノートの作り方・書き方は、この記事で紹介しています^^