■ 住宅会社との契約トラブルを避けたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
候補の住宅会社に「間取りの変更」と「概算見積り」をお願いしたら、
「これ以上の変更をするなら、仮契約をお願いします。」と言われたんですが、仮契約をしても問題無いですか?
担当者の言う「仮契約」がどんな意味かによって変わりますね。
実は、民法には仮契約というものは無いんです。
えっ!
じゃあ、仮契約をしてしまうとどうなるんですか?
営業マンの言う「仮契約」にどんな事が書いてあるかにもよりますが、
今回の場合は、ひょっとしたら本契約したことになってしまうかもしれませんね。
えっ!
じゃあ、仮契約書と思ってサインをしていたら、契約してしまっていたかもしれないんですか?
その営業マンの話しを聞いてみないと何とも言えませんが、その可能性が無かった訳ではありません。
では、住宅会社との仮契約での注意点を説明しますね。
安易に仮契約書にサインをすると危険!
こんにちは!建築士のしみゆうです。
住宅営業マンはお客さんを逃がしたくないので、「仮契約をしてくれれば、後でいくらでも変更出来ますので、まずはこの書類にサインをお願いします。」などと申し出てくることがあります。
もし、「仮契約なら大丈夫だろう・・。」と安易にサインをしてしまうと大変なことになるかもしれません。
あなたが、「仮契約」と思ってサインした書類の内容によっては契約が成立してしまうことがあるんです。
何故かと言うと、民法には「仮契約」という定義は無く、お互いに契約の意思があったかどうかが「契約したのか」「契約していないのか」の分かれ目になります。
なので、あなたがサインした「仮契約書」に法的に契約を促す内容が含まれていれば、書面に「仮契約書」と書いていても、法的には契約を結んだことになるんです。
(ここでの契約とは「書面に記載してあることを守らなければならない」と言う意味です。)
住宅業界で良くあるトラブル
住宅業界で良くあるトラブルに、
「住宅会社と仮契約後に解約を申し出たら申込金が返ってこなかった。」や
「仮契約だと思っていたら本契約だった。」などというものがあります。
このトラブルに巻き込まれた、ほとんどの方はこう言います、
「でも、住宅営業マンは仮契約と言っていたし・・」
ここで問題になるのは「サインをした仮契約書がどんな内容だったのか」ということです。
住宅営業マンが何と言っていたかは問題ではありません。
仮に、住宅営業マンが「仮契約なので、いつでも無条件で解約できます」と言っていても、証明するものがなければ「言った、言わない」という水掛け論にしかなりません。
その人達がサインした書類に、
「プラン作成には実費が必要です」や
「キャンセルの場合は、違約金が発生します」
と記載されていれば、書面の内容が優先されてしまうので、ほぼ逆らうことが出来ません。
なので、この様な被害に遭われた方のほとんどは、住宅営業マンの言葉を鵜呑みにしてしまい、書類の内容を確認せずにサインを行ったため、
「自分の知らない間に契約を交わしてしまっていた」と言うことなんです。
しかし、全ての「仮契約」が契約を意味している訳ではありません。
住宅営業マンの言う仮契約とは?
では、なぜ住宅営業マンは仮契約を結びたがるのでしょうか?
- お客さんの本気度を試している
- お客さんを逃げにくくするため
- 上司に小言を言われないため
- 一定の作業を超えた際の人件費などの経費を補填するため
- そもそも仮契約ではなく本契約
主に以上のいずれかとなります。
住宅営業マンは、契約が取れないと給与がほとんどありませんし、何ヶ月も契約が取れていないと上司などからの圧力がかかることもあります。
なので、「何としても契約が取りたい!」という気持ちが強い住宅営業マンが多いんです。
それに、住宅会社を探しているお客さんのほとんどは1社だけを検討しているのでは無く、複数の住宅会社と同時に話を進めていることが多いので、
「少しでも早くしないと、他者に取られてしまう」と気持ちからも、契約を急ぐ傾向があります。
そのために、住宅業界では「仮契約」という曖昧な仕組みが出来てしまったようです。
契約トラブルに巻き込まれない方法ーまとめ
じゃあ、今回の仮契約書にサインをしたらダメなんですか?
ダメとは言い切れませんね。
仮契約書の意味することに、「納得出来るか」「納得出来ないか」が問題です。
分かりました。
もう一度、住宅会社の担当者に仮契約書の内容を確認してみます。
そうですね!
闇雲にサインを断るのではなく、キチンと内容を理解して担当者と話し合うことが大切ですね。
では、状況に合わせた対処法を説明しますね。
では、「仮契約に了承しなければ良いのでは?」と感じると思いますが、
一概にそうとも言えないのが悩ましいところです。
何故かというと、住宅会社は工事請負契約を行うまでに様々な「資料」や「設計図面」を作成します。
この作成には人件費などの経費が必要となりますが、契約が成立しない場合は経費倒れになってしまうので、
その経費を、契約をした他のお客さんに上乗せをするか、あなたから経費をいただかないと会社を維持することが出来なくなってしまうんです。
これは住宅会社の方針によるので、どちらかが間違っているわけではありませんので、ある程度はあなたが住宅会社の意向に合わせる必要があります。
なので、その住宅会社と話を進めたければ、住宅営業マンの「仮契約書」にサインが必要なこともあるんです。
しかし、これは「仮契約」といっても、実質は「契約」であることが多いので、書類の内容を必ず確認して下さい。
そして、「打合せの実費」や「キャンセル料」が妥当なのかを理解したうえで、サインをしなければなりません。
最後に、予期せぬトラブルに巻き込まれないために自分を守る方法ですが、
そんなに難しいことではありません。
住宅営業マンが仮契約と言っている書類に書いてある内容を確認すれば良いだけです。
住宅営業マンが「何時でもキャンセルできます。」や「費用は一切かかりません。」と言っているなら、書類に「契約」や「違約金」などを意味する事は記載されていないでしょう。
もし、気になるなら、その書類に「法的効果が無い旨」を追記してもらって下さい。
「法的効果が無い旨」が記載されていれば法的効力は無いので、住宅会社に「実費」や「キャンセル料」を支払ういわれはありませんし、
住宅営業マンが記載を断れば、実は本契約だったことが分かります。
余談ですが、
「契約書に収入印紙が無ければ契約は成立しない。」と言う人がいますが、
そんなことはありません。
収入印紙が無くても、契約を意味する文章が書かれていれば、それは契約書です。
なので、収入印紙が貼られていない契約書にサインをすれば、契約は有効になります。
(収入印紙が無い契約書は税法上では罰せられますが、契約が無効になるのでは無く、住宅会社に科料の罰が与えられるだけです。)
しかし、悪徳な住宅会社がいない訳では無いので、「多額の申込金」や「不利な契約」には注意して、書類にサインする際は細心の注意を払って下さいね。
■ 仮契約の意味は住宅営業マンによって変わる事がある
■ 「多額の申込金」や「自分に不利」な契約には注意し、行わない
■ 契約の意思が無い場合は「法的効果が無い旨」を記載してもらう