■ コストパフォーマンスの高いマイホームが欲しい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
はい!頑張ります。
設計打合せが始まる前に知っておいた方が有利ですもんね。
コストダウンも事前に知っておかないと役に立ちません
こんにちは!建築士のしみゆうです。
家づくりの失敗に「事前に知っておけば、こんなことにならなかったのに・・」といったものが数多くあります。
今回紹介する「設計」や「間取り」の打合せで出来るコストダウンもその一つです。
「そんなの当たり前じゃん。」感じるかもしれませんが、知らないと出来ませんし、意外と肝心な時に気付かずに後悔してしまうことも多いんです。
マイホームが完成してから「失敗」や「後悔」を感じ無いためにも、どんなことがコストダウンに繋がるかを見直して下さいね。
設計打合せで役立つ建物のコストダウンの方法
建物は様々な要因が価格に反映するので、「設計」や「間取り」の打合せ段階で行えるコストダウンもたくさんあります。
その中でも代表的な物を、具体例を交えながら紹介したいと思います。
建物の延べ床面積を減らす
どの住宅会社でも建物の延べ床面積が建築費の基準になっています。
なので、建物全体のボリュームを減らす事はコストダウンに繋がります。
しかし、単に延べ床面積を減らしてしまうと「狭い」や「窮屈」といった不満に繋がりやすく、家づくりの満足度を下げてしまうことになってしまいます。
例えば、「和室を客室と兼用できるようにする」などの、使用頻度の少ない部屋に複数の用途持たせれば、満足度を下げること無くコストダウンが出来る可能性がアップします。
凸凹の無い外観にする
延べ床面積を減らすことだけでなく、建物の外壁などの表面積を減らすことも、コストダウンに繋がります。
例えば、建物の「出隅」や「入隅」といった凸凹が増えると、表面積が大幅に増加しますし、接合部も増加してしまいます。
特に、建物の接合部には専用の部材が必要なこともありますし、なにかと不具合が発生しやすい部分にもなるので、「資材のコストアップ」や「メンテナンスのコストアップ」にも繋がるんです。
なので、建物の凸凹を減らして、四角形に近づけることで全体の建築費を圧縮することが出来ます。
建物の形を正方形に近づける
先程も申し上げましたが、建物の表面積を減らすことはコストダウンに繋がります。
例えば、面積が64㎡の建物の場合は、
※少し極端ですが、分かりやすく表記します
正方形の建物:64㎡=8m(長辺)×8m(短辺)
壁の長さ:8m+8m+8m+8m=32m
長方形の建物:64㎡=16m(長辺)×4m(短辺)
壁の長さ:16m+4m+16m+4m=40m
といった様に、建物を正方形に近づけると壁の長さが短くなるので、建物全体の表面積が減少します。
もちろん、土地の形状によって完全に正方形にするのは困難ですが、建物の形は生活動線にも大きく関わるので、頭の片隅に残しておいて下さい。
下屋の少なくして総2階に近づける
下屋を作ると、建物の凸凹が増えるので表面積が増加しますし、屋根が必要になるのでコストアップに繋がります。
それに、建物と屋根の接合部は雨漏りの原因となりやすいので、長期的にみるとメンテナンス費用が増加する可能性も高くなります。
下屋を完全に無くしてしまうと、総2階(1階と2階が同じ大きさ)の建物になるので、外観がのっぺりとした印象になりがちです。
しかし、「窓周りに装飾を付ける」や「道路面側だけを下屋有りにする」といった工夫をすれば、満足度とコストダウンの両立が出来るかもしれません。
3階建てよりロフトよりも屋根裏収納がお得
現在では、木造3階建ても普通に建てることが出来ますが、同じ延べ床面積でも2階建てに比べて割高になってしまいます。
なので、建物全体の面積を減らさずに、「ロフト」や「屋根裏収納」を利用する間取りプランにすることで、大幅にコストダウンが可能になります。
(私の友人にも、少しでも広い家が欲しかったらしく3階建てを建てたのですが、「階段を上がるのが面倒臭い」や「そんなに広くなくても良かった」と感じているらしく、
「もう少し、使い勝手やライフスタイルを考えておけば良かった・・」と言っていました。)
「周りの家が三階建てだから・・」や「何となく広い方が良いから・・」といった理由であれば、本当に3階建てでなければダメかを、見直してみてはいかがですか。
単純で勾配の緩い屋根にする
建物の屋根に必要なコストも、屋根の「大きさ」や「形状」「勾配」によって変わるので、「片流れ」や「切妻」などの単純な屋根の方がコストダウンに繋がりますし、特別な足場が必要無い屋根勾配の方が建築費は抑えられます。
※真っ平の陸屋根のコストは、他の屋根に比べて高くなります。
特に、屋根の勾配については、屋根の施工業者によって追加足場が必要な勾配(5寸・6寸勾配など)が違うので、住宅会社に相談すると良いでしょう。
それに、複雑な形の屋根は接合部も増えてしまうので、将来的には雨漏りの心配もありますし、メンテナンス費用も増加する傾向があります。
部屋や間仕切壁を減らす
建物の外壁の面積を減らすことでコストダウンが出来る様に、建物の内壁(間仕切壁)を減らすこともコストダウンに繋がります。
建物の内壁を減らすことは壁だけで無く、扉などの建具の数も減りますし、「壁クロス」や「巾木」といった仕上げ材も減るので大幅なコストダウンに繋がることもあります。
例えば、子供部屋を1つにして「本棚」や「アコーディオンカーテン」などを使って間仕切りを作ったり、
リビングと和室の境界の壁を「ロールカーテン」や「ブラインド」を利用すれば、開放的な広いスペースを作りことも出来ますし、将来的なリフォームが必要無くなるかもしれません。
もちろん、人によっては好みは様々なので、自分なりの工夫をしたり、住宅会社の担当者に相談するのも良いですね。
廊下の面積を減少させる
建物の延べ床面積を減らすことにも繋がるのですが、廊下を減らすことは満足度を下げずに出来る、効果の高いコストダウンです。
廊下は部屋と部屋を結ぶ移動手段でしかないことが多いので、廊下を減らす事は動線が良くなる効果もあります。
廊下を減らす方法としては幾つかありますが、2階の廊下を減らすために階段を建物の中心に近づけたり、1階の廊下を短くするために「リビングの中に階段を作る」や「洗面所や浴室をリビングに隣接させる」などといった方法があります。
しかし、廊下は「プライバシーを守る」や「音の伝わりを弱める」などといった役目もするので、ライフスタイルなどにより使い分けると良いですね。
和室を工夫する
ご存知の方は少ないかもしれませんが、建物の部屋の中で一番コストが高いのは和室であることが多いんです。
建材の中でも、和室で使われる「造作材」や「襖」「障子」「畳」は値段が張りますし、「床の間」や「化粧柱」を採用することもコストアップに繋がります。
意外かもしれませんが、「日本人は畳が無いと・・」とおっしゃる方でも、和室を作ってみたら「リビングなどの他の部屋とのデザインバランスが難しい」「意外と畳に寝っ転がずに、ソファの上で寝ている」ということが多いようです。
(実は、我家も和室を作ったのですが使用頻度が少なかったので、洋風にDIYを行って寝室として利用しています。)
もし、ライフスタイル的にも和室を使用する可能性が低いようであれば、和室を作らずにリビングなどに畳だけを敷く「畳コーナー」にすれば、将来的にも汎用性が高い部屋になりますし、コストダウンも出来るので一石二鳥かもしれませんよ。
トイレを1ヶ所にする
最近の一戸建ては当たり前の様にトイレが2つ付いていますが、トイレを1つにすれば設備機器の費用だけでなく「給排水工事」や「建物の延べ床面積」を減らすことも出来るので、かなりのコストダウンになります。
もちろん、ライフスタイルが大きく関係するので、「大家族」や「使用時間が重なる」などの場合はトイレが2つあった方が便利ですが、
私が担当したお施主さんの中にも、「2階のトイレはほとんど使わない」や「2階のトイレは物置にしている」という方もいらっしゃるので、検討してみる価値はあると思います。
階段に凝り過ぎない
一般的な注文住宅では箱階段と呼ばれる、「壁」と「造作材」で出来た「システム階段」を使うことが多いのですが、
中には、壁を使わずに鉄骨などを利用して見通しが利き、見栄えの良い、「スケルトン階段」と呼ばれる階段を設置する建物もあります。
しかし、「スケルトン階段」や「らせん階段」は高価ですし、普段の建築工事では使わない工種の職人さんも必要になるので、100万円単位のコストアップになることも珍しくありません。
特殊な階段は見栄えも良いですし、インパクトも大きいのですが、費用対効果を考えて選択することをおススメします。
収納の数を減らす
部屋などの収納の数を減らす事もコストダウンに繋がります。
しかし、ただ収納を減らしてしまえば荷物を片付けにくくなりますし、家具が増えては本末転倒です。
なので、「ウォークスルー・クローゼット」の様な扉の無い大きめの収納専用の部屋を、生活動線の中に組み込めば、たくさんの数の収納を作るよりも使い勝手も良く、コストを抑えることが出来るのでおススメです。
WIC(ウォークインクローゼット)の様な行き止まりの収納部屋では無く、行き来の出来る廊下の様なクローゼットのこと
一般的な収納だけでなく、パントリー(食糧庫)といった使い方もできる
水回りの設備はまとめる
「キッチン」や「お風呂」「トイレ」といった水を使用する場所を近付けることは、「給排水設備工事の縮小」や「給排水資材の節約」になるのでコストダウンに繋がります。
それに、給排水管が短くなることはトラブルの減少にも効果がありますし、将来的な給排水管のリフォーム費用も抑えることが出来ます。
特に、建物の2階に「キッチン」や「お風呂」などの大量に水を使う給排水設備を設けることは、コストアップに繋がるだけでなく、トラブル時の対処にも「時間」と「費用」が必要になることを覚えておいて下さい。
アルミサッシの種類や数を考える
アルミサッシなどの外部開口の数を増やすことはコストアップになります。
それに、家づくりをするほとんどの人は知りませんが、アルミサッシには「規格サイズ」があります。
もちろん「規格サイズ」が無い場合は、特注でアルミサッシを作成することも出来ますが、「規格サイズ」より約1.5~2倍程度のコストがかかってしまいます。
他にも、アルミサッシの種類による値段差は大きく、一般的な「引き違い窓」に比べて「上げ下げ窓」や「滑り出し窓」などはデザイン性も良いのですが高価となります。
特に、「開閉できる窓」と「FIX(開閉出来ない)窓」の価格差は大きいので、開閉しない窓はFIXにすることで大幅なコストダウンをすることが出来ます。
あまり人目につかない窓は、コストダウンの為にも「引き違い窓」や「FIX窓」を採用すると良いかもしれませんね。
闇雲なコストダウンは失敗の素ーまとめ
いやぁ~、たくさんコストダウンする方法があるんですね。
これだけコストダウン出来たら、予算が大幅に余っちゃうかも!
コストダウンも大事ですけど。
費用ばかりに気をとられて、理想のマイホームが手に入らなかったら、家を建てる意味がありませんよ。
確かにそうですね。
お得かと思ったら、嬉しくなっちゃって。
いろんな工夫をしながら、コストパフォーマンスの良いマイホームを目指して下さいね!
もちろん、住宅会社の人達の協力が必要なので、良い関係を保つことも大切ですよ。
14の「設計」や「間取り」の打合せで出来るコストダウンを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
しかし、費用のことばかりを考えていては、家づくりを楽しむことは出来ませんし、自分達の要望を叶えるために注文住宅を選んだのなら、要望を諦めてばかりでは本末転倒になってしまいます。
私個人の考えでは、闇雲なコストダウンで家づくりの満足度を下げてしまうのであれば、家づくり自体を考え直すほうが良いと思います。
しかし、コストダウンの方法を知らなければ、優先したい要望が叶えられないかもしれません。
なので、満足度を下げない様に工夫をしながら、コストダウンをすることが大切だと感じます。
それに、見積りの知識も持っている「営業マン」や「設計者」なら、満足度を下げないコストダウンの方法も知っているので、積極的に相談すれば様々な提案をしてくれるはずです。
(最近の住宅業界は、仕事の「専門化」や「分業化」が進んだため、「見積り」や「工事」の知識を持った「営業マン」や「設計者」が少なくなったのが悩みのタネですが・・)
そのためにも、住宅会社選びには細心の注意をもって挑んで下さいね。
次回は、建物の仕様で出来るコストダウンをご紹介しますね。
■ ただ費用を下げるのではなく、自分達の要望を叶えながら行うことが大切
■ 自分達の要望を諦めてばかりでは、注文住宅を建てる意味が無い
■ コストダウンに詳しい「営業マン」や「設計者」に相談すると上手くいきやすい