■ 注文住宅での外壁材選びで迷っている人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
マイホームの外壁材を検討していても、その候補の中に樹脂系サイディングを選んでいる人は少ないと思います。
他の外壁材に比べて取り扱っているメーカーが極端に少ないですし、実際に目にする機会もほとんどないので、もしかしたら存在すら知らない人が多いのかもしれません。
ですが、他の外壁材にはない樹脂系サイディングの大きなメリットを知れば、きっと魅力を感じる方も多いと思います。
今回は、そんな樹脂系サイディングの特徴やメリット・デメリットについてまとめてみました。
樹脂系サイディングの特徴とは?
樹脂系サイディングとは、主原料に塩化ビニル樹脂を使用した外壁材の相称です。
塩化ビニル樹脂と聞くと「脆い」や「紫外線に弱い」といった、頼りなさそうな印象が先行する方も多いかと思いますが、
水道パイプなどの耐久性が必要な部材の原料にもなっていますし、高級な外部サッシにも採用されているくらい丈夫な素材なんです。
メリット
- 耐久性や対候性に優れている
- メンテナンスの必要がほとんどない
- 重量が窯業系サイディングの約1/10と非常に軽い
- オープンジョイント工法なら目地のシーリングが不要
- 部分変色の心配がほとんどない
- 吸水性がほとんどないので、耐凍結性に優れている
デメリット
- デザインやカラーのバリエーションが少ない
- 導入コストが窯業系サイディングに比べると高額になりやすい
- 採用している建物が少ないので、実物を見て確認できる機会に恵まれない
- 施工に慣れた技術者が少ない
- 表面に塗料が定着しにくいので、上塗りができない
樹脂系サイディングがメンテナンスフリーって本当!?
では、樹脂系サイディングの最大のメリットとも言える、メンテナンス性について掘り下げてみましょう。
まず、本体の耐久性に関してですが、窯業系サイディングなどの他の外壁材と同程度(約30年)を問題なくクリアしているのは、過去の施工例から見ても間違いありません。
次に、将来的なメンテナンスについてですが、
驚くことに、正しく施工された樹脂系サイディングにはメンテナンスの必要がほとんどないようです。
というのも、外壁材にメンテナンスが必要になる主な原因は、「表面処理(塗装)」や「目地部分のシーリング材」の劣化なのですが、
樹脂系サイディングの原料となる塩化ビニル樹脂は耐久性や対候性に優れているので、表面処理(塗装)を施す必要がありません。
更に、オープンジョイント工法と呼ばれる施工方法を採用するため、目地にシーリング材を使う必要がなく、メンテナンスが必要になるのは破損した時くらいないんです。
(ガス管や電気配線の引き込み部にシーリング材を施工した場合は、その部分のメンテナンスは必要になります。)
そんな、メンテナンスの必要がない樹脂系サイディングですが、他の外壁材と同じように経年変化による退色は避けられません。
しかし、部分変色については30年間の保証を付けているメーカーもあるくらいなので、見栄えに関してはそれほど心配する必要もないようです。
樹脂系サイディングが普及しない理由は?ーまとめ
このように大きなメリットを感じさせてくれる樹脂系サイディングですが、何故これほどまでに普及していないのでしょうか。
戸建住宅での普及率を調べてみると、日本では1~2%程とかなり低いのですが、アメリカでは40%、カナダでは60%と明らかな普及率の高さが見て取れます。
意外かもしれませんが、北米の戸建住宅に於いて、樹脂系サイディングは当たり前と言っても過言ではない外壁材なんです。
日本で普及しない理由を私なりに考えてみたのですが、
- 住宅会社から提案されることがほとんどない
- 普及率が低いので、専門の職人さんが非常に少ない
- 取り扱っているメーカーが極わずかなので、選べるデザインが非常に少ない
- 単色でのっぺりした風合いが日本人の好みと合わない
- 普及率が低いので、情報が少ない
- 未知なものに対する抵抗感がある
- メンテナンスが減少すると困る住宅会社が多い
上記のことをまとめてみると、やはり普及率の低さが直接の原因となっているように思います。
北米での普及率が高いのは、自分達のマイホームのメンテナンスを業者に依頼するのではなく、自分達で施工してしまう傾向が強いので、
徐々にDIYが浸透している日本でも、これから樹脂系サイディングを採用される方が増えてくるかもしれませんね。
それに、建築材料は少し普及率が上がると一気に需要が拡大することも稀ではないので、樹脂サイディングの建物が当たり前、という時代は目前かもしれません。
今後の樹脂サイディングの動向には、私も注目していきたいと思います。
■ メンテナンスの必要がほとんどないことが樹脂系サイディングの最大のメリット
■ 日本での普及率は非常に低いが、北米での普及率は非常に高い
■ ひょっとすると、将来的には当たり前の外壁材になるかも