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トラブル回避のためにも契約書は大切です
こんばんは!しみゆうです。
もめごとの中に「言った、言わない」というトラブルがありますよね。
人間関係でも多いトラブルですが、建築業界でもかなり多いトラブルなんです。
小さいもので言えば「洗面所のタオルハンガーは付いていると言っていたのに付いていない。」や「収納の棚を1枚サービスしてくれると聞いていた。」なんてことがありますし、大きなもので言えば「太陽光発電が付いていると言っていた。」なんてこともあります。
こんなことがあるのも、建築業界は「担当者が細分化しているので、担当者間の連携が取れていなかった」や「契約書の記載・確認ミス」「そもそも契約書を交わしていない」などといったことが多いからなんです。
と言うのも、建築業界はまだまだ未成熟で、契約書の決め事や内容が浸透していないことも多いんです。
9年位前、私が勤めていたハウスメーカーでこんなお客さんがいました。
「設計監理業務委託契約を交わさないなら、他の住宅会社と契約する。」とおっしゃるんです。
この時は驚きました。
何故かというと、この頃はまだ建築業界で設計監理業務委託契約は、契約として浸透していませんでしたし、契約書として交わさない住宅会社も多かったからなんです。
後で聞くと、そのお客さんは弁護士さんでした。
どうりで法律関係に詳しく、契約書の内容を重視していたはずです。
「契約書の必要性」や「トラブルがあった時のためのリスク回避」の大切さを十分に理解していたのでしょうね。
家の設計依頼をする時にしておきたい契約とは
ところで、設計監理委託業務契約書って知っていますか?
設計事務所などに家の設計や監理を依頼する際に交わす契約書なんですが、あまり聞いたことが無いかもしれませんね。
どんな契約かと言うと、小難しい漢字がいっぱい並んでいますが意味は文字の通りで、家づくりの「設計」や「監理」に関する「業務」を「委託」する「契約書」なんです。
では、それぞれの文字の意味ですが、
設計・・家の製作に関する図面や仕様などを具体的に紙などに書き起こすこと
監理・・家が設計図通りに作られているか確認し、技術的な指導を行うこと
業務・・日々、仕事として行うこと
委託・・ある行動を他者に依頼し行ってもらうこと
契約書・・一定の効果を目的として、他者との約束を法律行為として文章にしたもの
となります。
簡単に言うと「家づくりの設計と設計図通りになるように指導と確認することをこの金額でお願いするので、この約束を破らずに行って下さいね、もし約束を破ったら法律に則ってペナルティを受けてもらいますよ。」と言うことなんです。
とても大切な契約書なんですが、住宅会社によっては「口頭で説明はするが、契約書としては交わさない」なんてこともあるので注意して下さい。
今回は、あまり知られていない設計・現場監理に関する契約のことをご紹介します。
豆知識ー監理と管理の違いは?
ここで勘違いしやすいのが、「監理」と「管理」の違いです。
管理・・工事の内容が基準から外れないで、問題無く出来上がるように全体をまとめること
となるので、「管理」は「監理」と読み方は同じなのですが意味は違います。
(日本語って難しいですよね~)
主に「現場管理」は、工事現場の手配や段取りを組む、現場の担当者が行います。
それに対して、「現場監理」は、家を設計した建築士が行うのが一般的です。
勘違いしがちですが、家づくりに関する「仕事内容」も「責任区分」も違うので全く違う分野なのです。
設計監理業務委託契約書の内容
では、設計監理業務委託契約書の内容ですが、
- 建物の建設地や規模・用途などの建築物の概要
- 委託する業務の種類や内容・実施方法・実施期間
- 設計業務で作成する図面や資料などの種類
- 監理業務での、照合方法や報告方法
- 設計や監理を行う、建築士の氏名と登録番号
- 協力者がいる場合は、委託先の名称など
- それぞれの業務の報酬金額と支払時期
- 契約の解除に関する事項
- 契約から適用を除外する事項
- 特約の内容
- 委託者と受託者の氏名と所在地・押印
以上の事が記載されています。
これらが記入された書類を、契約に係わる双方が一部ずつ保有することで契約が完了したことになります。
※それぞれの事項を詳しく説明すると長くなってしまうので、気になる場合は自信で調べていただくか、お問い合わせをいただければ答えさせていただきます。
設計監理業務委託契約書とはーまとめ
設計監理業務委託契約の重要事項説明は、2008年より建築士が書面(契約書で無くてもよい)で行うことが義務化されました。
※2015年より、法律で延べ床面積が300㎡を超える建物については契約書として行うことが義務化されています。
一般的な戸建ての大きさは200㎡以下なので、厳密に言うと設計監理業務委託契約を交わす必要はありませんが、建築士による重要事項説明は義務づけられているので、後で「言った言わない」というトラブルを避けるためにも契約書にして交わしておいた方が良いでしょう。
しかし、まだまだ業界全体にいきわたった訳ではなく、契約の存在自体を知らない住宅会社もありますし、知っていても行わない住宅会社もあります。
しかし、契約書の本来の目的は、消費者契約法というものがあるように、不利な立場になりがちな消費者を守るために締結するものだと言えます。
中には、住宅会社が自分の身を守るために悪用することが無いわけではありませんが、契約を交わす前に契約書の中身を理解し、「気になる部分」や「不利な部分」の削除や変更を行うことであなたを守ってくれる武器になります。
面倒くさがらずに、契約書の内容や約款の確認を行って下さいね。