■ 住宅会社の実力を見極める基準を知りたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
いよいよ、マイホームを建てる住宅会社選びの始まりですね。
ところで、あなたは住宅会社選びの秘訣や注意点をご存知ですか?
私は建築士をしてるので、家づくりを始める知人から「住宅会社の良し悪しって何?」といった質問を受けることがあります。
しかし、いつも返答に困ってしまいうんですよね。
何故かというと、「家づくりで叶えたい要望」は人によって違うので、一概に住宅会社の良し悪しを判断することは出来ないんです。
しかし、細かく分析していくと「その人に会った住宅会社」が徐々に見えてきます。
今回は、あなたに合った住宅会社の見極め方について掘り下げてみましょう。
住宅会社の実力を11の項目に分けて見極める
住宅会社の実力を見極めるために、家づくりに大切な11の項目に分類してみました。
※私なりに良い住宅会社の条件を上げてみましたので、あなたのこだわりがあれば追加して下さい。
項目を一つ一つ分析すれば、どの項目があなたの要望を満たしてくれるかが分かるはずなので、自分の要望と照らし合わせて優先順位をつけてみましょう。
そうすれば、あなたにピッタリな住宅会社が浮き彫りになってきますよ。
住宅会社の信用力
◆会社の経営状態
- 一戸建てを建てるには多くの前払い費用が必要になるので、工事の進捗が遅い場合は経営状態が悪化している可能性があります
- 契約を急がせる住宅会社は受注数(仕事)が少ないことが多いので、経営状態が悪化する傾向にあります
◆会社の将来性
- 前向きで向上心の高い社員が少ない住宅会社は、生き残ることが難しいかもしれません
- 会社の商品でもある建物の工夫や進化を考えていない住宅会社は、生き残ることが難しいかもしれません
- 建築関係のトラブルは大きな損害を招くことが多いので、大きなトラブルを抱えている場合は将来が危うい傾向があります
◆会社の雰囲気
- 社員同士の連携が取れていない住宅会社は、仕事の許容量を超えていたり、仲が悪くギスギスしていることが多いので注意しましょう
- 事務所や打合せ室などの雰囲気が暗い場合は、仕事が上手くいってなかったり、社員同士の関係が良くないことが多い傾向があります
◆会社の清潔感
- やる気のある社員の多い住宅会社は、事務所や打合せ室などの掃除が行き届いており、清潔感が高い傾向があります
- お客さんのことを考えてくれる住宅会社は、建材の見本や展示品を数多く揃えています
◆建築現場の数
- 腕の良い住宅会社でマイホームを建てたい人はたくさんいるので、常にたくさんの現場で建物を建てています
- 建築中の建物の見学を渋る住宅会社は、建築現場の数が少ないか、出来栄えが悪いので見せられない可能性が高いと言えます
◆社長の理念・人柄
- 中小の工務店やハウスメーカーは社長の考え方や人柄が会社のカラーに出やすく、社長の経験してきた仕事内容(営業・設計・現場など)に力を入れている傾向があります
- 中には社長の考え方で急に路線変更する住宅会社もあるので注意が必要です
◆仕様書などの書類
- お客さんのことを考えている住宅会社は、分かりやすい書式の図面や仕様書・見積書を作成する傾向があります
- トラブルの少ない住宅会社は、設計監理業務委託契約書などの各種契約書がしっかりしている傾向があります
◆決定事項の書面化
- トラブルの少ない住宅会社は、打合せや決定事項ごとに書類や覚書を作成し双方が保管する傾向があります
◆会社のうわさ
- 住宅会社の悪いうわさは、社員や職人さん達に広がりやすく、インターネットなどにも書き込まれる傾向があります
- 過去のお客さんに不満が多い住宅会社は、話のタネになるので、悪いうわさほど耳に入りやすい傾向があります
住宅会社の社員力
◆担当者との相性
- 言葉遣いや態度が悪いと、打ち解けるまでに時間がかかってしまい家づくりが上手くいきません
- 担当者を信頼できないと、安心して家づくりを進めることが出来ません
- 誰しも、生理的に受け付けないタイプや相性が良くない人はいるので、早めの解決が大切です
◆社員の知識・経験・情熱
- 話をすることで、その人の知識や経験・情熱を感じることが出来ます
- 知識や経験が少ないと安心して家づくりを任せることが出来ません
- 情熱がないと良いものが作れません
◆社員の接客態度
- お客さんに対してだけでなく、上司や同僚・関係者などの対応で人柄を知ることが出来ます
- 何事にもYESと返答する人は信頼できませんし、後々トラブルに発展することが多い傾向にあります
◆社員の離職率
- 住宅業界や建築業界は他の業界と比べて離職率が高い傾向がありますが、知識や技術が高い人ほど転職に有利なので、離職率の高い住宅会社は能力が高い人が残らない傾向があります
◆社員のうわさ
・社員同士の会話にも、担当者の人となりが分かることがたくさんあるので注意しましょう
プラン・デザイン力
◆間取りの自由度
- 経験や実力の無い会社は努力や工夫をしないで、簡単に「出来ない」と断る傾向があります
◆あなたの好みとの合致度
- 経験のない工事や資材の使用はミスを招きやすいので、外観や内観のデザインなどがあなたの好みと合っているかは大切です
◆外観資材の自由度
- あなたが使いたいメーカーや資材(材料や設備)があれば利用可能か確認しましょう、会社によっては取り扱いが無いこともあります
建物の性能(構造)
◆基本構造
- 住宅会社によって得意な構造(木造・鉄骨造・RC造)は様々なので、得意な構造は何かを確認しましょう
◆接合部などの工夫
- 建物は様々な材料で出来ているので、取り合い部(接合部)での不具合が発生しやすいので、腕の良い住宅会社は過去の経験から不具合の出にくい施工方法を工夫しています
◆耐震等級
- 末永く安心して暮らすためには、耐震等級2は欲しいところです
- 耐震等級に感心の無い住宅会社は、良い建物を作る気持ちが弱い傾向があります
◆省エネ等級
- 近年、関心や力を入れられるようになった事柄なので、こういったことを一早く取り入れる会社は伸びる傾向があります
- 省エネ等級を満たしていると様々なメリットがありますし、これからも重要視される傾向があります
耐震性能を数値化したもの、1~3で表される
建築基準法の数値を1とし、2等級は1.25倍、3等級は1.5倍
平成25年から導入された、建物全体でエネルギー消費量を減らすための規準
この基準をクリアすると、減税や住宅ローン(フラット35)などの優遇制度がある
建物の性能(断熱・気密など)
◆断熱性能
- 冷暖房効率や住み心地などに大きく影響しますので、断熱性能(Q値)は1.5以下は欲しいところです
- 建物を良く研究している住宅会社は、Q値にも精通してる傾向があります
◆機密性能
- 冷暖房効率や住み心地などに大きく影響しますので、機密性能(C値)は3.0以下は欲しいところです
- Q値は完成した建物でしか計測できないので、普段からQ値を計測している会社は良い建物を作る気持ちが強いと言えますし、知らないようなら勉強不足とも言えます
◆遮音性
- 2階振動やトイレの音は住みだしてから気になるものなので、遮音性に工夫しているかも良い建物に対する関心度に影響します
建物の断熱性を表す数値、低い程良いとされる
基準は2.7以下だが、力を入れている施工の場合は1.0(窓の仕様による)以下も可能
建物の気密性を表す数値、低い程良いとされる
基準は5.0以下だが、力を入れている施工の場合は2.0以下も可能
建物の仕様(設備機器など)
◆設備機器の好みの合致度
- キッチンやユニットバスなどの設備機器や太陽光発電やセキュリティシステムなどで、自分達が取り入れたい仕様があれば、取り扱っているかを確認しましょう
※住宅会社によって、扱えるメーカーや資材が違うことがあります
◆建材や材料の好みの合致度
- アルミサッシや建具(ドアや襖など)・カウンターなどの建材や材料で、自分達が取り入れたい仕様があれば、取り扱っているかを確認しましょう
※住宅会社によって、扱えるメーカーや資材が違うことがあります
◆その他の好みの合致度
- 自然派材料(漆喰・塗料など)や内装資材などの自分達の取り入れたい仕様があれば、取り扱っているかを確認しましょう
※住宅会社によって、扱えるメーカーや資材が違うことがあります
◆扱っていない資材の自由度
- 仕様に好みの建材や材料が無い場合の対応方法や持ち込みなどの施主支給を受け入れてくれるかを確認しましょう
※施主支給などに対応しない住宅会社もありますし、別途費用が必要なこともあります
建物のコスト(費用)
◆建物全体のコスト
- 自分達の資金計画や予算との剥離が大きくないか(予算内で建築可能か)を確認しましょう
- 仕様に比べて割高でないかを確認しましょう
◆設備機器などのグレードアップ時のコスト
- 基本仕様からのグレードアップを行った場合のコストが割高でないかを確認しましょう
- 基本仕様以外を利用する際の費用はどうなるのかを確認しましょう
◆見積りの詳細度
- 一式見積り(どんぶり勘定)ではなく、詳細が分かる見積り形式を採用しているか確認しましょう
- こちらからの質問に的確に答えられるかも非常に大切です
建物の設計士・インテリアコーディネーター
◆相性
- 住宅会社との契約が完了すると、設計士やインテリアコーディネーターと打合せや連絡を取りあうことが多くなるので、相性が悪いと家づくりを進めにくくなってしまいます
◆提案力
- 建物の間取りや使い勝手・センスなどは設計士やインテリアコーディネーターの力によるものが大きいので、「自分の要望に的確に答えられるか」や「黙っていても提案してくれるか」は家づくりに重要です
◆対応の早さ
- 住宅会社との契約が終わると、家づくりはどんどん進行しますので、自分の要望への対応が遅い場合は「要望を実現出来なくなってしまったり」「施工のやり直し」などが起こってしまいますので注意しましょう
建築現場の現場監督
◆相性
- 住宅会社との契約前には現場監督が決まっていないことが多いのですが、前もって決まっている場合は相性も気にした方が良いでしょう
◆統率力
- 建物の工事が始まると現場監督が家づくりの主役になりますので、現場監督の段取りや腕前により建物の出来栄えが大きく左右されます
◆対応の速さ
- 建物の工事が始まると、建物はどんどん出来上がりますし途中で止めることは出来ませんので、自分の要望への対応が遅い場合は「要望を実現出来なくなってしまったり」「施工のやり直し」などが起こってしまいますので注意しましょう
建築現場の職人さん
◆技術力
- 建物の出来栄えは、それぞれの工事を担当する職人さんの腕前(力量)にも大きく影響します
※特に木造の場合は、大工の棟梁の腕前によるものが大きいと言えます
◆マナー
- 腕の良い職人さんは、言葉遣いや挨拶・服装・無駄口なども良い傾向があります
◆現場の清掃
- 腕の良い職人さんは仕事が良いだけで無く定期的に掃除をするので、現場を美しく保つ傾向があります
アフターサービス
◆定期点検
- 施主(お客さん)や建物のことを良く考えている住宅会社は、建物引渡し後のの定期点検(3ヶ月目・1年目・2年目など)にも力を入れています
◆不具合発生時の対応
- 売る事しか考えていな住宅会社は、不具合発生時の迅速さや丁寧さに欠けていて、連絡をしても何週間もほったらかしと言ったこともありますので、住み始めてから重要になります
◆過去の不具合症状の蓄積
- 施主や建物のことを考えている住宅会社は、過去の建築後の不具合から様々な工夫をして良い建物を作ろうとするので、不具合に対しても経験や知識があり、知識の蓄積も行っているものです
住宅会社を比較して実力を見極めよう!ーまとめ
とは言っても、全ての住宅会社を訪問して11の項目を確認するには、途方もない時間と手間がかかってしまいます。
なので、最初はインターネットなどから住宅会社の「情報」や「資料」を取り寄せましょう。
そして、自分に合いそうな住宅会社を3~5社程度ピックアップしてから、会社に訪問したり、展示場や見学会に参加することをおススメします。
(そうすることで、かなりの時間と手間の短縮が出来ます。)
住宅会社の展示場や見学会では、11の項目の中でも「情報」や「資料」から読み取れなかったことを中心に質問すると効果的です。
それに、住宅会社の中には、すでに建物の引渡しが完了し「暮し始めたお客さんの家」での見学会を行っていることもあります。
もし、その住宅会社で建物を建てたOB(お客さん)と話す機会があれば、いろんなことを聞いてみましょう。
住宅会社の建てた家に住んでいる人の「生の声」は、「家の住み心地」だけでなく「建築中のスタッフの対応」や「住み始めてからの対処」などの宝の山です。
あなたから積極的に話かければ、きっと様々なアドバイスもしてくれるでしょう。
※見学会を行っていない場合は、OBのお客様と面談出来ないか尋ねてみてはいかがですか。
こうすることで、あなたの「家づくり」はどんどん成功へ向かって進んでいきます。
そんなに難しく考える必要はありません、一つ一つクリアして行けば良いのですから。
■ 最初はたくさんの住宅会社の資料を集めて、3~5社の候補に絞ってから住宅会社を訪問すると「時間」や「手間」が短縮が出来る
■ 住宅会社に訪問した際は、資料などから判断できなかったことを質問すると効率が良い
■ 過去にその住宅会社を利用したOBのお客さんの話は、良し悪しを判断する宝の山