■ 設計図面の種類やチェックポイントを知りたい人
■ マイホームを建てる住宅会社を探している人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
今回は、マイホームを建てるために欠かせない、仕様書と設計図面について解説しますね。
何だか難しそうですね・・
素人の私に、仕様書や設計図面なんて分かるかしら?
ちょっとしたコツが分かれば、意外と難しくありませんよ。
それに、仕様書や設計図面に何が書いてあるか分からないと、住宅会社を比較することも出来ませんし、
「自分達の要望がきちんと盛り込まれているか」や「使い勝手などの住み心地が良いか」を確認することは非常に大切です。
確かに、どんな家になるのか分からないと不安ですし、住み始めてから後悔したくありませんね。
頑張りますから、分かりやすく教えて下さいね。
仕様書と設計図面の特徴とチェックポイント
建物を建てるためには、様々な資料が必要です。
中でも、「仕様書」と「設計図面」は全ての建物によって違うので絶対に欠かせません。
※住宅会社によって「呼び名」や「書き方」が異なることがあります。
それぞれの仕様書や設計図面の特徴が分かれば、「自分が知りたいことはどの資料を見れば分かるのか」や「自分達の要望がどの様に実現するか」を簡単に理解できるようになれますし、更にチェックポイントを知ることで、
住宅会社選びも容易になりますし、マイホームが完成してから「こんなはずじゃなかった!」といったことも防げるようになります。
最初は取っ付き難いかもしれませんが、少し解るようになると、家づくりがより楽しくなりますよ。
基本設計図面の特徴とチェックポイント
基本設計図面とは、「建築主と設計者との打合せ」や「建物の概算見積りの算出」に使用される建物の基本となる設計図面です
◆外部仕上表(仕様書)
- 「基礎」や「外壁」「屋根」などの建物外部に関する「仕上げの仕方」や「材料の種類・メーカー名・品番・色・寸法」などが文章で記載されています
〇チェックポイント
- 建物外部で使用される材料・設備機器の「種類」「メーカー名」「品番」「色」「大きさ」などを確認をしましょう
◆内部仕上表(仕様書)
- 各部屋ごとの「床」や「壁」「天井」などの建物内部に関する「仕上げの方法」や「材料の種類・メーカー名・品番・色・寸法」などが文章で記載されています
〇チェックポイント
- 建物内部で使用される部屋ごとの材料・設備機器の「種類」「メーカー名」「品番」「色」「大きさ」などを確認しましょう
◆平面図(意匠図)
- 実際の建物の1/100や1/50で作成され、不動産チラシにも見られるような馴染みの深い建物図面です
- 建物各階の上から見た断面を図面化し、「各部屋の配置・寸法」や「扉や窓の配置・寸法・開閉の方向」「柱や筋交いの位置・寸法」などを記載されています
- 一般的に平面図は床から1mの高さで横に切った断面なので、「吊戸棚」や「化粧梁」「折り上げ天井」などは点線で表現されています
〇チェックポイント
- 扉や窓の「位置」や「種類・色・寸法」「開き方向」
- 引越し後に配置する予定の家具などを置くスペースがあるか
- 方位などによる「日当たり」や「風通し」
- 収納の「位置」や「広さ」
- 各部屋の「広さ」や「天井の高さ」「位置」
- 廊下や階段の「広さ」や「幅」
- ライフスタイルなどによる「生活動線」や「使い勝手」
- フローリングやタイルの「貼り方」や「方向」
- 階段や廊下の「広さ」や「幅」「手すりの位置」
- 玄関土間と床の段差の距離
◆立面図(意匠図)
- 建物外観の4面(東西南北)をそれぞれ図面化しています
- 建物の外から見た状態を図面化し、「外観のデザイン」や「屋根の形状・勾配」「窓や扉の位置・寸法」「外部仕上げの種類・メーカー名・品番・色・寸法」などが記載されています
〇チェックポイント
- 外観のデザイン
- 外壁の「種類」や「材質」「色」
- 屋根の「形」や「勾配」「材質」「色」
- 窓や扉の「位置」や「種類」「デザイン」「ガラスの種類(透明・非透明等)」「大きさ」「シャッターや雨戸の有無」
- 給気口や排気口の「位置」や「大きさ」
※エアコン室外機の近くに排気口があると効率が悪くなることがあります
◆断面図(意匠図)
- 建物をX軸とY軸で切り取った状態を図面化しています
- 建物の横から見た断面を図面化し、「各部屋の天井高さ・横幅」「階段の勾配・一段も高さ・幅」などが記載されています
〇チェックポイント
- 各部屋の「天井の高さ」
- 階段の「勾配」や「一段の高さ」
- 天井収納やロフトの「高さ」
◆配置図(意匠図)
- 「建物」と「土地」の上から見た状態を図面化し、「建物の敷地に対する位置」や「隣地との距離」「道路の種別・幅」などが記載されています
〇チェックポイント
- 隣地からの距離
- 「駐車スペース」や「庭の広さ」
- 敷地の道路に対する「高さ」
実施設計図の種類と特徴
実施設計図とは、現場で建物を建てるために必要な詳細な内容が記載されている設計図面です。
基本設計図よりも「細かい寸法」や「図面記号」などが記載されているので取っ付きにくいですが、より詳細な建物の内容を知ることが出来ます。
※図面記号は図面により表記方法が違いますが、一般的に図面に見本が表記されています。
まずは、それぞれの特徴を知っておきましょう。
◆工事概要書(仕様書)
- 「工事場所」や「施主名」「構造」「床面積」「階数」などの工事を行う建物の情報が記載されています
◆建築設備表(仕様書)
- 「アルミサッシ」や「キッチン」「ユニットバス」「トイレ」などの建物に設置される設備機器の「メーカー名」や「品番」「大きさ」「色」「寸法」などが記載されています
◆特記仕様書(仕様書)
- 図面で表現しにくい、建物の施工に関わる「寸法」や「手順」「方法」「注意点」などを文章で記載しています
◆付近見取図(意匠図)
- 工事が行われる建物の「場所」や「方位」「道路状況」などを近隣地図を利用して記載しています
◆展開図(意匠図)
- 建物の「リビング」や「各部屋」「キッチン」「階段」「廊下」などの4面全ての壁(東西南北)の「仕上げ」や「設置する設備機器の種類・位置・寸法」のなどを図面化したもの
◆かなばかり図(意匠図)
- 建物の横から見た断面を図面化し、「構造」や「使用材料の・種類・位置・寸法」などの詳細が記載されています
◆天井伏図(意匠図)
- 建物各階の天井の上から見た断面を図面化し、「構造」や「使用材料の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆屋根伏図(意匠図)
- 建物の屋根を上から見た状態を図面化し、「構造」や「勾配」「使用材料の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆建具表(意匠図)
- 建物で使用される「建具(扉・襖・障子など)」の「取り付ける場所」や「メーカー名」「品番」「大きさ」「色」などの詳細が記載されています
◆外構図(意匠図)
- 外構(建物外部)の上から見た状態を図面化し「デザイン」や「使用されるエクステリアの仕様・位置・寸法」「植栽の種類・位置・大きさ」などが記載されています
◆基礎伏図(構造図)
- 建物基礎の上から見た状態を図面化し、「形状」や「寸法」「アンカーボルトの位置」などが記載されています
◆床伏図(構造図)
- 建物各階の床の上から見た断面を図面化し、「構造」や「使用材料の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆小屋伏図(構造図)
- 建物屋根の上から見た断面を図面化し、「構造」や「勾配」「使用材料の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆電気設備図(設備図)
- 建物各階の平面図に、「電気配線の経路」や「照明器具の位置」「分電盤の位置」「コンセント・スイッチ・インターホンなど電気設備の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆給排水設備図(設備図)
- 建物各階の平面図や配置図に、「給排水管の経路」や「メーター類・給湯器など給排水設備の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆ガス設備図(設備図)
- 建物各階の平面図や配置図に、「ガス管の経路」や「メーター類・ガス器具などガス設備の種類・位置・寸法」などが記載されています
◆空調換気設備図(設備図)
- 建物各階の平面図や配置図に、「給気口や排気口の種類・位置・寸法」や「冷暖房設備などの種類・位置・寸法」などが記載されています
※電気設備図に記載されることもある
住宅会社任せにしたら勿体ない!ーまとめ
凄くたくさんの種類があるんですね。
こんがらがってしまいそうです。
確かに、全ての設計図面を理解するのは難しいですが、職人さん達は設計図面を見て工事をするので、図面に記載されていないことは再現できません。
それに、建物が完成してから自分達の要望と違うことが分かっても、手遅れになってしまうので確認は大切ですよ。
そうですね。
自分達のマイホームなんですから、業者さん任せにしてはいけませんよね。
それに見慣れて来たからか、想像が広がってワクワクしてきました。
マイホームでの新しい暮しが想像できるようになったら立派なものです。
それに、打合せの段階なら変更も可能なので、もっと自分好みのお家にしましょうね。
普段から見慣れていない設計図面は理解しにくいので、つい敬遠しがちになってしまいます。
しかし、建物は設計図面にそって建てられるので「打合せでの勘違い」や「表記の間違い」があっては、希望通りのマイホームが出来なくなってしまいます。
もちろん、「設計担当者」も「現場監督」も細心の注意をはらっているのですが、絶対にミスが無いわけではありません。
自分のマイホームのことを一番よく分かっているのはあなたなので、基本設計図面だけでもチェックするようにして下さいね。
それに、最初は何となく設計図面を見てるだけでも、徐々に解るようになるものです。
設計図面が分かるようになれば、今よりもっと「具体的に叶えたい要望」や「新たな要望」が沸いてくるかもしれません。
将来的なマイホームの補修やリフォームの際にも設計図面は重要なので、今のうちから少しでも図面を見るようにしてみて下さいね。
■それぞれの図面の「特徴」や「チェックポイント」が分かれば理解しやすい
■ 職人さん達は図面を見て建物を建てるので、図面が間違っていたら大変なことになってしまう
■漠然と考えるよりも、図面を見ている方が良いアイデアが生まれやすい