■ 断熱工事で押さえておきたいチェックポイントを知りたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
マイホームを建てるにあたって「夏の暑さ」や「冬の寒さ」を防ぐために、建物の断熱性能にこだわる方は少なくありません。
しかし、建物の断熱性能の向上には、「断熱材の種類」や「断熱工法」など、様々な条件が複雑に関係するので、
自分達家族の要望を叶えるために「何を採用するべきか分からない」という話をよく耳にします。
それに、住宅の断熱性能を向上させるためには、「断熱材の種類」や「断熱工法」以上に気を付けたいことがたくさんあるんです。
今回は、注文住宅で採用できる「断熱材の種類」や「断熱工法」だけでなく、「断熱工事のチェックポイント」や「本当に注意したいこと」についてご紹介します。
注文住宅で採用できる断熱材の種類
少し前まで一般的だった住宅の断熱材といえば、そのほとんどが「グラスウール」で、それ以外の断熱材を使うことは稀でした。
しかし、現在では「グラスウール」のような繊維系断熱材以外にも、「硬質ウレタンフォーム」や「フェノールフォーム」などの発泡プラスチック系断熱材の使用することも珍しくありませんし、
「羊毛」や「セルロースファイバー」といった、独自のメリットを持つ繊維系断熱材をマイホームに採用することもできるようになりました。
たくさんの種類の中から選べることは素晴らしいのですが、種類が多すぎると目移りしてしまいますし、
住宅会社も自社の建物で採用している断熱材のメリットばかり伝えようとする傾向にあるので、何を基準に選べばいいのか分からなくなってしまいます。
そのような時に決断の重要な決め手となるのが、自分達家族は「どんな暮らしがしたいのか」なんです。
それさえ事前に把握していれば、それぞれの「メリット」と「デメリット」を比較して、より「メリット」が多く、「デメリット」の少ない断熱材を選ぶ基準になるので、後々に取り返しがつかなくなるような後悔を回避できるでしょう。
それぞれを種類別に分けた断熱材の「メリット」や「デメリット」については、過去の記事で紹介していますので、そちらを参考にしてみてくださいね。
「断熱材の種類」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
注文住宅で採用できる断熱工法の種類
先程の断熱材の話とも似ているのですが、
これまで一般的だった戸建住宅の断熱工法といえば、建物の躯体(骨組み)にはめ込むように断熱材を設置する「充填断熱工法」しか見当たりませんでした。
しかし、現在では建物全体を包むように断熱材を設置する「外張り断熱工法」という断熱工法の採用も増えています。
この2つの断熱工法が持つ「メリット」や「デメリット」には相反する事柄が多いため、それぞれの違いさえ知っていれば、選ぶのにそれほど悩むことはないかもしれません。
もちろん、自分達家族がより「メリット」が多く、「デメリット」が少ないと思う断熱工法を選べばいいのですが、
マイホームの断熱性能にこだわる方にとっては、どちらかの断熱工法だけでは満足できない場合もあるでしょう。
そこで、「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」を同時に行う、ハイブリッドな断熱工法はいかがでしょうか。
扱っている住宅会社が数少ない上に、2つの断熱工法を同時に採用することになるので、コストアップは免れませんが、
それぞれの「メリット」と「デメリット」を補完しあうため、結果的に「高い断熱性能」を得ることが可能です。
「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」の「メリット」や「デメリット」などの詳細については、過去の記事で紹介しているので、そちらを参考にしてみてくださいね。
「断熱工法の種類」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
断熱工事のチェックポイント
では、気になる戸建住宅での断熱工事のチェックポイントを挙げてみましょう。
- 断熱材が隙間なく充填されているか
- 断熱材の脱落や欠損がないか
- 断熱材の「厚さ」や「種類」が間違っていないか
- 断熱材の取り付け忘れはないか(外気に触れる箇所を全て確認)
- 小さな隙間にも断熱材が施工されているか(サッシ周り・コンセント付近など)
- 断熱材の切断面の処理は適切か
- 防湿シートが破れていないか(防湿シートが必要な断熱材)
- 断熱材の「詰め込み過ぎ」または「密度不足」はないか(繊維系断熱材)
断熱工事のチェックでは、どうしても建物の壁部分にばかり目が行きやすいのですが、壁部分だけでなく、「屋根(天井)」や「床」の施工状況の確認も忘れてはいけません。
それに、建物の構造によっては「バルコニー」や「基礎」などの部分が外気に触れることもあります。
つい見落とされがちなのですが、外気に触れる部分の断熱施工を怠ってしまうと、断熱性能が著しく低下してしまうので、このチェック項目も非常に大切です。
断熱工事で最も大切なのは?ーまとめ
以前、建物の断熱性能を表す「Q値(説損失係数)」と「UA値(外皮平均熱貫流率)」について紹介しました。
「断熱性能を表す数値」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
その際に解説した通り、建物の断熱性を表す数値は、「実際の建物で計測」されるわけではなく、「机上の計算により算出」されます。
ここで注意が必要なのは、この計算は「建物の外気に触れる部分の全てに隙間なく断熱材が施工されている」という完璧なシチュエーションが前提となっているんです。
ということは、隙間などにより断熱材が充分に充填されていなかったり、断熱材の取付け忘れなど、「何らかの施工ミス」が万が一にも発生してしまうと、予定していた断熱性能を発揮できなくなってしまいます。
それどころか、断熱材の欠損は「室内の結露」や「躯体(骨組み)の結露」に繋がりやすく、建物の耐久性を著しく損なう原因になりかねません。
もうお分かりかもしれませんが、工場でシステマチックに管理されて作られる工業製品と違い、
建築現場で一つづつ手作業で作られる住宅では、実際の施工精度の良否が非常に大切となります。
というのも、「同じ種類・同じ厚さの断熱材」を「同じ工法」で施工したとしても、施工精度によっては、発揮できる断熱性能に著しい差が生じてしまうこともあるんです。
なので、「住宅会社の担当者」や「現場の職人達」に任せっきりにするのではなく、自分の目で確かめ、チェックすることを心掛けてください。
それに、住宅の「断熱性能」や「快適性」には、建物の「気密性能」や「換気計画」が密接に関係します。
いくら断熱性能ばかり向上させても、「気密性能」や「換気計画」がお粗末になってしまっては、本来の性能を発揮できません。
「マイホームでの快適な暮らし」を望むのなら、断熱性能だけにこだわるのではなく、「気密性能」や「換気計画」といった、様々な建物の仕様をトータルで考えるように心掛けたいですね。
実際に、現役建築士が一括資料請求を体験してみました。
体験談をレビューしてみましたので、興味がある方は読んでみてください^^
■ 注文住宅で採用できる断熱工法には「充填断熱工法」と「外張り断熱工法」がある
■ 予定していた断熱性能を発揮するためには断熱工事の施工精度が大切
■ 本来の断熱性能を発揮するには「気密性能」や「換気計画」も重要