■ 注文住宅での外壁材選びで迷っている人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
ALCパネルと聞いてピンときた方は、かなり家づくりの情報収集が進んでいるのではないでしょうか。
まだまだ、注文住宅の外壁には「サイディング」や「モルタル塗り壁」の採用が多いのですが、木造でも外壁材にALCパネルを選ぶことができるんです。
それに、ALCパネルには大きなメリットもあるので、存在を知らないばっかりに検討材料から漏らしてしまうのは勿体ですよ。
今回は、木造住宅での外壁材としても選択可能な、ALCパネルの特徴やメリット・デメリットについてまとめてみました。
ALCパネルの特徴
ALCパネルとは、工場で軽量気泡コンクリートをパネル化したもので、主に鉄骨造のビルや住宅などに採用されることの多い外壁材なのですが、
薄型のALCパネルは木造住宅にも対応可能で、37㎜厚の旭化成の「ヘーベルパワーボード」などが有名です。
ALCパネルの主成分はセメントなので、コンクリートに近い性質を持っているのですが、多くの気泡を含んでいるため軽量で扱いやすいといった特徴もあります。
メリット
- 耐久性が高い
- 断熱性が高い
- 防火性が高い
- 遮音性が高い
- 火災保険が安くなる
デメリット
- デザインの種類が少ない
- 現場塗装なので見た目が単調になりやすい
- 導入コストが高い
- 吸水性が高い
- 表面強度が弱く欠けやすい
ALCパネルのメンテナンスについて
施工後50~60年もつと言われているALCパネルですが、メンテナンスの必要がないわけではありません。
内部に多くの気泡を持っているALCパネルは吸水性が高いので、表面の塗膜がなくなってしまうと性能が低下し、劣化速度も早まってしまいます。
なので、窯業系サイディングと同じように、定期的な現場塗装によるメンテナンスが欠かせません。
ですが、他の外壁材と比較して、「断熱」「防火」「遮音」などの耐久性はかなり高く、張り替えによるメンテナンス費用を抑えられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ALCパネルの採用がまだまだ少ないのは何故?ーまとめ
デメリットよりも多くのメリットを感じやすいALCですが、注文住宅での採用はまだまだ少ないのが現状です。
何故なのでしょうか?
まだ、一般に広く認知されていないという理由も大きいでしょうが、やはり意匠性の低さが影響しているように感じます。
木造用のALCパネルの厚さは35㎜以上と、窯業系サイディングの基準である14㎜と比べて2倍以上の厚みがあるので、複雑な形状の建物に対応できる施工業者が少ない、と言うのが現状です。
それに、現場塗装が必要なので、どうしても単一なデザインになり、その結果のっぺりとした印象を受けてしまう可能性も否めません。
更に、窯業系サイディングに比べてパネルのデザインパターンがかなり少ないので、そもそも好みのパターンがなかったり、選ぶ楽しみが半減してしまうのも選択肢から外れてしまう要因かもしれません。
しかし、以前は木造住宅でALCパネルを取り扱っている住宅会社は少なかったのですが、耐久性が高い(50~60年)というメリットもあり、中小の工務店などでも採用されるケースが増えてきました。
今後の施工棟数が増えれば新商品の開発も格段に進むので、これからの進展に期待したい外壁材の一つと言えるでしょう。
しかし、あまり施工経験のない住宅会社では採用できない可能性も高いので、マイホームの外壁にALCパネルの導入を検討している場合は、事前の確認を怠らないようにして下さいね。
■ メンテナンスフリーなわけではないが耐久性が高いので、将来的な張り替え費用が抑えられる
■ 意匠性が低いことが大きなデメリットなので、今後の進展に期待したい
■ 採用を嫌がる住宅会社もあるので、事前に確認しておくことが大切