■ 自然災害に対して安全性の高い暮らしを望んでいる人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
「マイホームの土地探しで最も気になるのは何ですか?」
こう尋ねると、大半の方が「土地の近隣環境」とおっしゃられます。
たしかに、「マイホームを建てる」ということは、「その土地の近隣環境を購入するのと同じ」とも言えるので、当然といえば当然です。
つまり、それは「ずっとこの土地で暮らし続ける」という強い意思の表れかもしれません。
ただ、少し気になることがあります。
と言うのも、「近隣環境」と仰る割に、「駅からの距離」や「街並み」など、「利便性」や「快適性」ばかり追求される方が多く、「土地の安全性」にまで意識されている方は少ないように感じます。
そう・・マイホームの土地探しで意外と見落としがちなのは、「地震」や「洪水」「ゲリラ豪雨」など、自然災害に対する「土地の安全性」なんです。
今回は、マイホームを建てる土地が「自然災害に対して安全性が高いかどうか」を調べるために有効で、なおかつ手軽な方法について紹介します。
気になる土地はハザードマップで自然災害の安全性を調べよう!
うーん・・たしかに僕が予算内の土地を見つけて最初に気にするのは、「駅から歩いて何分か」ですね。
条件が合えば実際に街並みを見に行くのですが、自然災害に対する安全性は二の次でした・・
土地探しでは、ご自身の要望に優先順位を付けるのは当たり前のことですし、目で見て判断しやすい近隣環境が気になるのも当然です。
しかし、ご家族の安全について考え、万が一の自然災害に備えておくことも一家の大黒柱としての努めなのではないでしょうか。
土地の安全性を調べるっていっても・・
それって、どうやって調べたらいいんですか?
手軽に土地の安全性を調べたいなら、その土地を管轄する役所にある「ハザードマップ」の利用がおススメです。
上の画像は、私の住む大阪府箕面市の地震防災ハザードマップなんですが、これを見れば巨大地震が発生した際の「建物全壊率(%)」や「緊急交通路」が一目瞭然ですし、地震に弱いとされる盛土地や溜め池を埋め立てた土地などの「人工改変地」の位置を知ることもできますよ。
他にも、河川近郊の土地の購入を検討されているのであれば、河川が氾濫した際に想定される「被害範囲」や「浸水の深さ」が記載されている「洪水ハザードマップ」を参考にしてみましょう。
なんだか役所って言われると敷居が高そうだし、ハザードマップなんて素人の僕に理解できるかなぁ~・・
それに、少し気になった土地くらいで役所に足を運んでいたら、いくら時間があっても足りませんよ。
たしかに、気になる土地を見つけるたびに管轄する役所に足を運んでいては、「手間」や「時間」がかかってしまうのは否めません。
そこで、インターネットを活用してみてはいかがでしょうか。
最近は便利な世の中になったもので、どの市町村のホームページでもハザードマップの閲覧が可能だったりしますよ。
インターネットでの検索ですか・・
役所のホームページって情報が多すぎて、なかなか見たいページにたどり着けないんですよね・・
へ~、そんなサイトもあるんだ・・これなら操作も簡単そうですね!
これから気になる土地を見つけたら、必ずハザードマップと照らし合わせてみます!
手軽に土地の履歴を調べるには古地図や土地台帳がおススメ
そういえば土地の地名って、「過去の用途や地形の特徴」が表されていることが多いって聞いたことがあるんですけど、
これも「土地の安全性」を知るために役立ちますよね。
たしかに、地名に「川」や「沼」などの水に由来する言葉がついている土地は、「水害の危険性」や「地盤が軟弱な確率」が高いと言われていますし、
逆に「山」や「丘」などの高い土地を表す言葉がついている土地は水害が起こりにくく、地盤も強固で安心と言われていますね。
たしかに一理ありますが、それだけ見ていれば安心とは言い切れませんよ。
どういうことですか?
なぜかと言うと、土地の地名だけでは過去の利用状況、つまり「土地の履歴」まで把握することはできませんよね。
例えば、購入を検討している土地が「過去に有毒物質などを扱っていた工場用地で、土壌が汚染されている可能性がある」と知っていたら、どうします?
知っていれば購入を見送る人が多いでしょうけれど、土地の契約を交わしてから気が付いては手遅れです。
たしかに土地勘のある地域なら、ある程度は分かるかもしれませんが・・初めての土地では見当もつきませんね。
ひょっとして、近所にお住まいの方々に聞き込みまでしないとダメですか。
それも一つの方法ですが、目的の土地の履歴を知るには、「古地図」や「土地台帳」を調べる、という方法があります。
「古地図」は役所の資料室や地域の図書館に置いてあることが多いですし、「土地台帳」は法務局で閲覧が可能なんですけど、手軽に調べるならインターネットを活用しない手はありませんよ。
「土地の候補がある程度絞れたら」、または「土地を探す範囲を決めてから」でもかまわないので、土地を購入する前に調べておきたいですね。
なるほど!そうすれば「土地の履歴」が調べられるんですね。
不動産会社と売買契約を交わす前に、必ずチェックしておきたいと思います。
補足ですが、古地図には「古い住宅地図」や「地形図」「火災保険特殊地図」といったものも含まれます。
これらの古地図は「目的の土地の履歴」だけでなく、周辺の土地の活用状況も知ることができるので、優れものですよ。
地盤の強い土地なら建築工事費の節約が可能!?ーまとめ
そうそう、土地の「自然災害に対する安全性」や「履歴」を調べることは、予期せぬ建築費用の増加を防ぐ役割もあるんですよ。
エッ!どういうことですか!?
追加オプション以外でも、家の建築費用が増加してしまうことがあるんですか!?
はい・・と言うのも、予期せぬ建築費用の増加の原因は土地に起因することが多いんです。
例えば地盤が弱いと地盤改良工事費用が追加で必要ですし、他の敷地よりも地盤が低ければ、水の侵入を防ぐための「造成工事」や「高基礎工事」に関わる費用が必要になるかもしれません。
地盤改良工事っていうと・・あの何百万円もするやつですか・・
そんな予算は資金計画に入っていませんよ~
それでしたら、地盤の弱い土地と知らずに購入してしまった場合、なおさら大変ですね。
もちろん、「ハザードマップ」や「古地図」で調べたからといって、必ずしも地盤改良工事が必要なくなるわけではありません。
しかし、地盤が良好な土地ほど地盤改良工事費が安くなる傾向があるので、地盤が強いに越したことはありませんよ。
家づくりの資金計画が大幅に狂っては大変ですもんね。
なにより、家族が安全に暮らせないんだったら、なんのためにマイホームを建てるのか分かりません。
これからは土地の「利便性」や「快適性」ばかりに気を取られずに、「自然災害に対する安全性」にも気を配って土地探しを頑張ります!
「地盤改良工事」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
■ 地域の地名だけを頼りに土地の安全性を判断するのは危険
■ 古地図を利用すれば目的の土地だけでなく周辺地域の履歴を知ることもできる
■ 土地の「自然災害に対する安全性」や「履歴」を調べることは予期せぬ建築費用の増加防止にも繋がる