【家づくりのFAQ】意外と見落としがち!使い勝手のよい階段とは?
こんな人におススメの記事です!
■ 新築するマイホームの階段の使い勝手が気になる人
■ 使い勝手のよい階段にするための対処法を知りたい人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人

こんにちは!建築士のしみゆうです。

ブログの読者さんから、建築中のマイホームの階段に関するご相談をいただきました。

メールにてお返事させていただきましたが、同じ悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないので、ブログで紹介させていただきたいと思います。

読者さんからの相談・質問内容

フラット35Sの基準や、面積、間取りのバランスで直線階段を採用しました。なるべく緩やかて快適な階段を希望しています。

階段の寸法をもらったのですが、イマイチこの階段が良いのかわからないので、プロのご意見をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

 

「寸法」
傾斜    40.3 度
踏み面   227.5 mm
鼻の出   2.0 mm
蹴上    193.0 mm
階高    2895 mm
階段の長さ 3183 mm
15段登りきりです。

しみゆう

住宅会社から階段の「図面」や「寸法」を教えてもらっても、実際に体感することができなければ、上り下りしやすい階段かどうかは、プロでもない限り容易にはイメージできません。

 

特に、今までマンション住まいなどで、自宅の中に階段のない生活をしていた方なら尚更だと思います。

 

それに、マイホームの「間取り」や「デザイン」に気を配る方は多いのですが、階段の使い勝手まで気が回らず、見落としてしまうことが多いんですよね。

使い勝手のよい階段の基準とは?

戸建住宅で使い勝手のよい階段の基準

戸建住宅に於ける階段の「踏板の幅」や「蹴上の高さ」などの使い勝手に関することは、階段を上り下りする人の「身体的特徴」や「恐怖心」によって感じ方が異なるのはもちろん、「洗濯物などの荷物を持っている」場合など、階段を上り下りするシチュエーションによっても変わります。

更に、「建物の面積」や「間取り」「天井の高さ」などにも制限を受けることが多いので、「誰にとっても最高の階段」と言える万能で完璧な条件を導き出すのは不可能かもしれません。

 

ですが、一般的な戸建て住宅で階高(1階床から2階床までの高さ)が2,895㎜の建物であれば、14~16段で構成されることが多く、15段登り切りなら特段使い辛い階段ではありません。

それに、住宅業界での目安として、高齢者等に配慮した階段(品確法高齢者等配慮対策等級4・5)という基準があり、その条件である「蹴上寸法の2倍+踏面寸法=550~650㎜」を満たしていれば、「ご高齢の方」や「身体が不自由な方」でも使い勝手に大きな問題はないとされています。

 

今回ご相談の階段((193㎜×2)+227.5㎜=613.5㎜)は、この条件の中央値に近く、仮にご家族に「ご高齢の方」や「身体が不自由な方」がいらっしゃっても、

頻繁に階段を使わなければならないような間取りでなければ、「階段の段数」や「蹴上・踏面の寸法」に対しての不満は感じにくいと思います。

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直線階段で気を付けたいこと

戸建住宅の直線階段の計画で気を付けたいこと

ただ、少し気になるのが「踊り場がない直線階段」ということです。

階段で気を付けないといけないのは、「2階へ上がること」ではなく、「1階へ下りること」だと私は感じています。

 

と言うのも、階段で大きな事故に繋がりやすいのは、上る時よりも下りる時だからです。

「U字階段」や「L字階段」「踊り場のある直線階段」なら、もし階段を下りる際につまずいて落下しても、階段の一番上から一番下まで直線的に転げ落ちることはありませんし、

2階から階段を下りる際も、一番下の1階の床が見えないため、「恐怖心」を感じにくいというメリットがあり、「身体のこわばり」や「戸惑い」といった、事故に繋がりやすい状況に陥る危険性を緩和できます。

なので、様々な形状の階段の中でも、「踊り場がない直線階段」は事故が起こりやすく、場合によっては軽々しく扱えない危険性を伴う階段と言えるんです。

 

ですが、今回のように建物の「面積」や「間取りのバランス」で直線階段を採用したのであれば、階段の「形状」や「長さ」を変えてしまうと、使い勝手が大きく変わることになりますし、極端な場合、間取りの根本から考え直さないといけません。

それに、注文住宅では「間取りの検討中」や「各種申請状況」「工事の進捗状況」など、計画の進み具合によって、「工期」や「費用」に大きな影響が生じることもあるので、一概に計画の変更が最善策というわけではないように思います。

 

長々と戸惑わせるようなことも書いてしまいましたが、

私の意見としては、今回ご相談いただいた階段は、特に上り下りのしにくい階段ではないと思います。

ですが、建築工事中の今でも間に合う「直線階段のデメリットの対策」を建てておけば、より安心できるのではないでしょうか。

 

  • 利き腕側に手摺りがあると安心感を得られる
  • 階段を「上がる際」と「下りる際」では都合のよい手摺りの高さが違うので、下りる際の手摺りの高さを意識して「手摺り高さ」を決定する
  • 両側手摺りは910㎜モジュールだと階段幅が狭くなり過ぎて使い勝手が悪いので、階段を「下りる際の利き手側」に手摺りを設ける
  • 一般的な「一段手摺り」ではなく、「上下二段式の手摺り」を採用する
  • 将来的に手摺りの高さが変更できるように、事前に補強下地を広い範囲で仕込んでおく
  • 踏板に滑り止め加工を施す

上記のような方法なら、「間取り」や「階段の仕様」を変更することなく、「使い勝手の向上」や「恐怖感を緩和する」といった効果が得られると思うので、参考にして下さい。

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家づくりでは疑問を持つことが大切ーまとめ

家づくりで分からないことは質問することが大切

ご相談の内容から、かなり心配されていることが感じられたので、細かく説明しましたが、

人の身体は環境に順応しやすいので、万が一新居に住み始めた当初に違和感があっても、極端な不具合を除いて、住み続けているうちに慣れて気にならなくなることも珍しくありません。

ご相談いただいた階段の寸法に関しても、一般的な人であれば問題なく順応できる範囲なので、それほど心配する必要はないでしょう。

 

家づくりに取り組んでいると、次から次へと「疑問」や「悩み」が出てくると思います。

しかし、「日頃の忙しさ」や「調べることの面倒さ」もあり、なかなか行動に移せないことも多く、

「プロに任せておけば大丈夫だろう・・」と、つい放ったらかしにしてしまいがちです。

 

ですが、放ったらかしたままで解決できるような問題は少なく、家づくりのプロといっても、あなたの「疑問」や「悩み」を全て理解できるわけではありませんし、全ての人が満足できる完璧な家づくりのプランがあるわけでもありません。

それに、人任せで「満足できるマイホーム」が手に入るほど、家づくりは簡単ではないんです。

 

ご相談者さんのように、「疑問」や「悩み」を解決しようとする自発的な行動は、とても大切ですし、

それを一つ一つ解決することは、「満足できるマイホーム」を手に入れるために必要不可欠なプロセスと言えるでしょう。

 

それに、少しでも早く対処することは、家づくりにありがちな漠然とした不安を払拭できますし、トラブルを回避することにも繋がります。

なので、家づくりの「疑問」や「悩み」があれば、「住宅会社の担当者」や「家づくりを経験した知人」など、家づくりの経験者へ積極的に質問してみましょう。

もちろん、今回のご相談者さんのように、このブログに「お問い合わせ」や「メッセージ」をいただければ、私なりのご返答をさせていただきます。

お返事を頂きました

大変分かりやすい詳しいアドバイスをありがとうございます!

現在、着工しているため、最後の方にあるアドバイスを採用させていただくことにいたしました。

下りを意識した高さでの手すり設置をビルダーに依頼し、子供用の手すり設置も検討し下地を入れておいてもらうことにいたしました。

 

階段の寸法も、特に問題なさそうで安心しました。

このような、あるいみマニアックな質問は、ビルダーから納得できる答えが得られないので(15段上がりだから大丈夫でしょうとサクッと言われたのみ)、詳しく丁寧に教えていただいたことで非常に安心し、納得できました!

お忙しいところありがとうございます。

しみゆう

わざわざお返事までいただき、ありがとうございました。

 

たいへん嬉しく、励みになりました。

 

他の内容でも、家づくりの関する「疑問」や「悩み」があれば、遠慮なくご相談下さい。

 

私の経験を基にした返答なので、全ての人に役立つかは分かりませんが、お役に立てれば嬉しいです。

今回の問題解決と総まとめ
■ 戸建住宅では、「蹴上寸法の2倍+踏面寸法=550~650㎜」であれば、高齢者等に配慮した階段とされている
■ 階段で大きな事故に繋がるのは下る時なので、重点的な対策を忘れない
■ 階段の計画変更は、「間取り」や「使い勝手」に大きく影響する
■ 「失敗」や「後悔」を防ぐには、家づくりの疑問をできるだけ早く解決することが大切
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