■ マイホームを建てる住宅会社を探している人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
住宅会社からマイホームの見積りを貰ったが、「内容が違い過ぎて、どうしたら良いか分からない」とお困りではありませんか?
そうなんです。
初めて家を建てるので、何を意味しているか分からないし、書式も全部バラバラだし・・
確かに・・見積書には、決まった基準も無いので、私達プロが見てもすぐに判断することは困難ですからね。
それに、一つ一つ見ていては途方もない時間が掛かってしまいますし、余計に分からなくなると思います。
じゃあ、どうしたらいいんですか?
心配しないで下さい。
今回は、住宅会社に見積りを依頼する時の「秘訣」と「注意点」を解説しますね。
見積書の依頼のタイミングとコツ
ほとんどの方は、気になる住宅会社を幾つかピックアップして同時進行で、説明を聞いたり、要望を伝えたりしながらマイホームの基本プランを作っていくはずです。
そして、基本プランがある程度固まったら概算の見積りを作ってもらうという流れになるのですが、
概算見積りをお願いするのにも「タイミング」と「コツ」があります。
まず、タイミングですが、
お客さんを取り込むために、出来るだけ早く概算見積りを出したがる営業マンも多いのですが、基本プランが曖昧なままで概算見積りをしてもらっても意味がありません。
何故かというと、相見積り(数社の見積りを比べる)をするなら、ある程度は基本プランが出来ていないと比べることに意味が無いからです。
※「間取り」や「構造」「資材」など全ての仕様を同じにする必要はありません
それに、
「基本プランが曖昧なまま住宅会社と契約をしてしまい、要望を伝えていくうちにドンドン追加項目が増えてしまって予算を大幅にオーバー」なんていう失敗が多いんです。
なので、自分達の要望を伝えて「こんな家に住みたいな。」と思えるタイミングで概算見積りをしてもらいましょう。
(それに、その住宅会社の相場を早く知りたい場合は、自分達の基本プランではなく、その住宅会社の標準仕様で見積りを出してもらった方が参考になりますよ。)
それと、「こんなに良くしてもらったから・・」なんて考える必要はありません。
彼らはそれが仕事ですし、本当にあなたの事を考えてくれる営業マンなら焦らせることもありませんし、気のすむまで何度だって見積りを出してくれるはずです。
次に、概算見積りをお願いする際のコツですが、
新たなマイホームに引越すまでに必要な、全ての費用を含んだ見積りを作ってもらいましょう。
そうでなければ、無理のない支払いが出来るかどうかが分かりません。
もちろん、「必要かどうか分からない地盤改良工事」や「打合せの終わっていない外構工事」「正確な金額が算出できないローンの手数料や火災保険」などは予算という形で概算金額を加えてもらえば良いのです。
(予算部分の金額を見るだけでも、営業マンの気持ちが分かったりするもんなんです。
※詳しくは後述します。)
先程も申しましたが、住宅会社の見積りに決まった形式はありません。
「材料の数量や大きさ」や「人件費」などの記入がない一式見積りの場合もありますし、プレハブ工法のハウスメーカーのような部位別見積り(屋根や外壁といった部位ごとでまとめたもの)もありますし、工務店では先程の工種別見積りがよく使われます。
残念ながら、こちらに都合の良い書式で見積書を作ってもらうことは出来ませんが、
「別途工事の費用」や「建物に関わる諸費用」「住宅ローンや税金に関わる費用」だけでも、あなたが見て分かるように見積書を作ってもらいましょう。
(最近はパソコンも普及しているので、表計算ソフトで簡単に作れます。)
「マイホーム建設に必要な費用の内訳」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
なるほど。
でも、見積書の書式が違っても、比べる事が出来るんですか?
確かに、細かい部分を比べることは出来ませんね。
しかし、細かい部分を比べても意味がないんです。
なんでですか!
住宅会社を比べるために概算見積りを出してもらうんですよね。
それは、住宅業界の見積り方法があまりにも自由なので、
見積りの基準が曖昧ですし、その住宅会社がどの部分に利益を乗せているかも分からないからです。
見積りの細かい部分を比べても意味が無い!なんで?
先程、住宅会社の見積書に決まった書式が無いと言いましたが、
実は、利益の取り方も住宅会社によって様々なんです。
「全ての項目に同じ掛け率」で利益を取る住宅会社もあれば、「資材費には少な目、人件費には多め」といった住宅会社もありますし、「諸経費が利益の取りどころ」っていう住宅会社もあります。
それに、なにより利益率が大きく違います。
工務店は職人さんに直接施工を依頼するので中間マージンが少ないですが、ハウスメーカーのように、職人さんの間に工務店が関わる場合は中間マージンが大きくなってしまいますし、
なにより、「広告費」や「社員の人件費」が高い住宅会社は、利益率を高くしないと会社が維持できません。
(「利益率の低い住宅会社」と「利益率の高い住宅会社」では、2倍以上の差があることも珍しくありません。
どうせ同じ金額を払うなら、利益率の低い住宅会社で1ランク上の仕様でマイホームを建てたいと思いませんか。)
なので、「この住宅会社はこの部分が安い」や「あの住宅会社はこの部分が高い」なんて比べても意味がないんです。
それに、「他の住宅会社は諸経費が安かったから、同じ金額にして欲しい」と頼んでも、まず叶いません。
何故かというと、その住宅会社は諸経費で利益を取っていないから安いだけであって、頼んだ住宅会社が諸経費で利益を取っているなら、値引き出来るはずがありません。
もし安くしてもらっても、他の部分(打合せで追加になった部分など)で取り返されることがほとんどなので、結局値引きにならないことが多いんです。
余談ですが、
住宅会社によっても、どの部分で利益を取るか決まっている訳ではありません。
営業マンが独自の判断で見積書を作成していることも多いので、同じ住宅会社で「総建築費は同じ」でも「詳細部分は全然違う」なんてことがよくあります。
普通では分からないことが、いろいろとあるんですね。
もし、知らなかったら、営業マンの話を鵜呑みにしてしまいますね。
えっ!次回なんですか。
じゃあ、もう一度おさらいをしておきます。
ただ安いだけではない、適切な見積りを見極めるーまとめ
一口に見積りといっても、何が大切か知らないと只の数字の羅列になってしまいます。
先程、「予算部分の見積りを見れば、営業マンの気持ちが分かる」と言いましたが、どういうことかというと言うと、
予算部分(地盤改良工事・外構工事・諸経費など)を最小限で見積もれば建築費全体の合計が安くなるので、見積りの中身がよく分からないお客さんは、安いと勘違いするので契約してくれやすいんです。
なので、契約のことしか考えていない営業マンはこの様な見積りを出してきます。
ですが、こんな住宅会社と契約してしまうと、少し予定が狂っただけで大幅に予算をオーバーしてしまいますし、
もし、外構工事の予算が足りなければ、マイホームの「お庭」や「駐車場」が貧弱になってしまうのは当然です。
家づくりを建物だけでなくトータルで考えてくれる営業マンは、必要な予算も概算見積りに加算して提案してくれます。
ですが、このような営業マンの見積りは他に比べて高くなりがちなので、適切な見積りの判断が出来なければ気付かずに見逃してしまうかもしれません。
この様に、ただ安いというだけで住宅会社を決めてしまっては、後で後悔するのは目に見えています。
そんなことがない様に、必ず見積書には、新しいマイホームに引越すまでの全ての金額を記載してもらいましょう。
次回は、複数の住宅会社の見積りを上手に比べる方法をご紹介します。
■ 概算見積りには、引越しまでに必要な費用の全てを含んでもらうことが大切
■ 見積書の一つの項目で値引きをしてもらっても意味が無い
■ ただ安い見積りの住宅会社に飛びついてしまうと失敗しやすい