■ 将来の住宅ローンの借り換えに備えておきたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
マイホームを購入する際、「住宅ローンのことはよく分からないし、後で借り換えもできるだろうから、とりあえずお得そうなのを選んでおけばイイや!」なんておっしゃる方もおられます。
たしかに先々の金利動向を予測することは非常に困難ですし、事前に「変動金利」と「固定金利」のどちらを選んでおけば最終的な返済総額が少なくなるのか、それを知る術はありません。
それに、「住宅ローンの借り換え」は、そんなに簡単なものなのでしょうか?
今回は、住宅ローンを借り換える際に気を付けたい、「金利タイプ別の有効性」と「注意事項」についてまとめてみました。
「後で借り換えればお得」って言われたけど大丈夫?
「まずは金利負担の少ない変動金利で住宅ローンを組んでおいて、もし金利が上がってきたら固定金利に借り換えるとお得ですよ。」って、住宅会社の営業マンに勧められたんです。
でも、コレって本当に大丈夫なんですか?
うーん、今の低金利が住宅ローン完済まで続けば返済総額が抑えられるので、お得といえばお得なんですが、コレばっかりは誰にも分かりませんし・・
そもそも金利上昇時に固定金利への借り換えが有効かどうか、そこに疑問が残りますね。
エッ、そうなんですか!
そういえば以前、「営業マンは変動金利を勧める人が多い」って教えてもらったのを思い出しました。
「営業マンが変動金利を勧める理由」の詳細へは、下記のリンクから移動できます。
「自分達でもマイホームが買える」とか、「総借入額を増やしても返済できる」と思ってもらいやすいので、変動金利を勧める営業マンが多いのも事実なんですが、
「住宅ローンの借り換え」さえすれば金利上昇時でも安心とは言い切れません。
と言うのも、住宅ローンの借り換えには様々なパターンがあり、その効果の度合いも千差万別だからなんです。
【金利タイプ別】借り換えが有効なシチュエーションとは?
一口に「住宅ローンの借り換え」と言っても、「元の金利タイプが変動金利なのか固定金利なのか」や「どの金利タイプに借り換えるのか」「借り換える時期の金利動向が上昇傾向なのか下降傾向なのか」などの状況によって、将来の返済総額に影響する有効性が大きく異なります。
なので、住宅ローンの返済総額の減額に有効な借り換えを行うためには、それぞれのシチュエーションで得られる効果を知っておくことが大切です。
それに、住宅ローン契約の前に「借り換えの有効なパターン」を知っておけば、より「現在の金利状況」や「今後のライフスタイル」を見据えた選択が可能となります。
では、住宅ローンの借り換えで考えられられるシチュエーションを金利タイプ別に見ててみましょう。
変動金利から固定金利への借り換え
「変動金利の住宅ローンを固定金利に借り換えよう!」と考えるタイミングの多くは金利上昇時でしょうから、景気が良くなり金利が上昇傾向にある場合を想定して考えてみましょう。
たしかに、「金利が低い間は変動金利にしておいて、金利が高くなりそうになったら固定金利に借り換える」という方法は一見有効そうに思えますが、そう簡単には上手くいかないようです。
と言うのも、金融機関にとってリスクの高い固定金利は、金利上昇時には変動金利に先立って上昇する傾向があります。
なので、変動金利が上昇する前の水準の金利で固定金利に借り換えることは、ほぼ不可能と考えておきましょう。
「金利変動の仕組み」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
変動金利から変動金利への借り換え
変動金利から変動金利への借り換えで考えられるシチュエーションは、現在返済中の住宅ローン(変動金利)よりも適応金利の低い「金融機関」や「金融商品」を見つけたときでしょう。
同じ変動金利であれば、「金利変動のタイミング」や「返済の条件」などはそれほど変わりませんし、適応金利が低ければ低いほどお得と言えるのですが、少し注意して欲しいことがあります。
と言うのも、借り換えによって発生する「事務手数料」や「保証料」といった「諸経費」が別途必要になることがあったり、「団体信用生命保険の支払い方法」や「繰り上げ返済時の手数料」などが変わってしまうこともあるんです。
適応金利だけでなく、他に必要な費用を含んだ返済総額をもとに借り換えを検討することが大切ということですね。
固定金利から固定金利の借り換え
固定金利から固定金利への借り換えの多くは、現在より低い適応金利への移行でしょう。
もともと金利の変動しない固定金利なのですから、より低い金利への借り換えにはメリットが大きく、デメリットが少ないので利用しない手はありません。
意外かもしれませんが、現在では住宅金融支援機構のフラット35からフラット35への借り換えだって可能なんです。
しかし、先程のように「事務手数料」や「保証料」などの「諸経費」が必要になることがありますし、「団体生命保険料の支払い方法」や「繰り上げ返済時の手数料」などが変わることもあるので、返済総額の比較を忘れないでください。
固定金利から変動金利の借り換え
固定金利から変動金利への借り換えには、様々なシチュエーションが考えられます。
主なものは、住宅ローン契約時よりも大幅に市中金利が低下し、「金利負担を大幅に減らすことができる」と判断したときでしょう。
他にも、月々の返済が苦しくなってしまい、「少しでも直近の返済負担を減らしたい」などという理由があるかもしれません。
ですが、将来の金利変動の予測がつかず、最終的な返済総額が読めないのが変動金利のデメリットなのを忘れずに、しっかりとした情報収集の上、先々のライフプランを見据えた返済計画を心掛けることが非常に大切です。
へ~!一口に住宅ローンの借り換えと言っても、本当にたくさんのシチュエーションがあるんだ・・
それに、それぞれ注意しないといけないことが違うんですね。
ほんの一部を取り上げただけなので、もっと詳しい情報を知りたかったり、実際に借り換えを行う前には、必ず金融機関へ問い合わせてくださいね。
ですが、「住宅ローンの借り換え」にはもっと高いハードルがあって、
「借り換え審査を無事パスして実際に借り換えられるかどうか」が重要なんです。
エ~ッ!
住宅ローンを組むことができたんだから、借り換えもスムーズにできるんじゃないんですか?
初家さんのように、「住宅ローンの借り換え」なんて簡単にできると思っている方も多いんですよね。
実際の借り換えは新規の住宅ローンを組むより審査の厳しい部分が多く、金融機関に断られることも珍しくありませんよ。
住宅ローン借り換えのハードルは高い!ーまとめ
住宅ローン借り換えのハードルが高いのは、住宅ローン契約当初からの「物件の資産価値」や「契約者の状況」などの変化によるところが大きく、
さらに審査基準も「新規の住宅ローン」より「借り換え」の方が厳しい金融機関が多いんです。
では、住宅ローンの借り換えが困難となる主な例を見てみましょう。
住宅ローン借り換え時の主な審査対象と注意事項
- 新築当初に比べて物件の資産価値が下落していることによる担保価値の不足
- 新規の借り入れに比べて審査基準が厳しいため審査対象外とみなされる
- 返済期間の延長によりローン完済時の年齢制限に引っかかってしまう
- 健康状態や就労状況・年収などの変化によって諸条件が審査基準に達しない
- 自動車ローンやクレジットカード限度額の増加によって返済負担率を超えている
中には、金融機関のリスクを減らすための「適応金利のUP」を受け入れることで、借り換え審査を通過できることもあります。
ですが、そんな場合は「適応金利をUPしてまで住宅ローンの借り換えを行うメリットがあるかどうか」を冷静に判断しなければなりません。
たしかに冷静になって考えると、夫の仕事や収入も変わってるかもしれないし・・
なにより、マイホームの資産価値がどうなってるかなんて、全く想像できませんね。
このように、「住宅ローンの借り換え」は単なる変更ではなく、全く新しいローンを組むと考えておきましょう。
もし将来的に借り換えを考えているなら、「マイホームの資産価値」はどうすることもできませんが、「健康状態や就労状況」などには気を付けておいてくださいね。
でないと、いくら有利な条件の住宅ローンを見つけても借り換えることができませんし、変動金利から固定金利に変更することさえできませんよ。
借り換え一つでも、いろんなことに注意しないといけないんだ・・
将来のことは予想できないことも多いですし・・やっぱり最初の返済計画が肝心なんですね。
その通り。安易に「返済が苦しくなったら借り換えればイイや!」と思っていては危険です。
必ず将来のライフスタイルの変化を加味した「資金計画」を心掛けてください。
それと、住宅ローンの借り換えでは細かい条件が変わることも多いので、金融機関の担当者からメリットやデメリットの説明を受けることも忘れないでくださいね。
■ 借り換える「パターン」や「時期」によって効果の度合いが異なる
■ 住宅ローンの借り換えはハードルが高く、新規申し込み以上と心得ておく
■ 安易な借り換えを想定した資金計画は非常に危険性が高い