
■ 自分達に合った家づくりの方法を探している人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
以前、建売住宅の「メリット」や「デメリット」などについてご紹介しました。
「そろそろ、マイホームを・・」と考え始めた時は、一番最初に注文住宅をイメージされる方も多いのではないでしょうか?
ですが、どんな注文住宅でも自分達の要望を全て叶えてくれるわけではありません。
住宅会社のビジネススタイルによって、「建物仕様の自由度」が前もって決められています。
そして、混乱を招かないように「建物仕様の自由度」によって違う名称で呼ばれています。
今回は、注文住宅の分類の中でも比較的ハードルが低いとされる、規格住宅の「メリット」や「デメリット」などの特徴について深く掘り下げてみたいと思います。
◆ このページの目次
規格住宅とは?
「建物仕様の自由度」によって呼び名が分けられていると言っても、はっきりした定義が決まっているわけではありません。
一応、住宅業界の一般としては、モデルとなる幾つかの間取りから建物を選択して、そのまま敷地にはめ込むように計画する注文住宅を「規格住宅」と呼んでいます。
更に、ほとんどの規格住宅では、「キッチンなどの住宅設備」や「フローリングなどの造作材」を含めた建物を構成する建材を選ぶ範囲もかなり制限されています。
規格住宅のメリット
建物の設計費のコストダウンになる
規格住宅での間取りの打合せは、住宅会社の担当者に自分達の要望を伝えて、「自分達に合った間取りをつくる」といった方法ではなく、
事前に準備された候補の中から、「自分達に合った間取りを選ぶ」といった方法になります。
なので、建物の建築に必要な「平面図」や「立面図」「構造図」といった設計図面も事前に準備されています。
そのため、設計図面を作成するための費用を削減できるので、建築費全体のコストダウンに期待できます。
間取りなどの打合せ時間が短縮できる
注文住宅を建てるためには「間取り」や「建物仕様」など、様々なことを決めないといけないので、事前の打合せに非常に多くの時間が必要です。
しかし、規格住宅では最初から建物の基本仕様が決まっていますし、選択できる範囲も絞られているので、建物の打合せ時間をかなり短縮することができます。
使い勝手の悪い間取りになりにくい
注文住宅の魅力の一つに、「自分達家族のライフスタイルに合わせた間取りが手に入る」というメリットがありますが、
その反面、「いざ住み始めたら使い勝手が悪い」や「汎用性が低いので、売却しようにもなかなか売れない」といったデメリットもあります。
しかし、規格住宅の間取りは様々な人達のライフスタイルに合うように、「汎用性の高い間取り」をコンセプトとして設計されていることが多いので、
「使い勝手の悪い間取りが少ない」といった特徴があります。
建物のコストパフォーマンスが高い
規格住宅では設計図面を規格化しているので、建物を構成する建築資材も規格化することができます。
そうすることで、建築資材の大量生産によるコストダウンだけでなく、
現場加工による端材(建築資材の切り無駄)の発生を最小限に抑えられるので、コストパフォーマンスの高い建物を手に入れることができます。
職人の技術差による品質のムラが少ない
規格住宅では、「設計図面」や「建築資材」の規格化により工場生産の部材が増加するので、現場での作業が減少します。
職人の技術差による「違い」や「ムラ」が出にくく、建物の完成度に一定以上の品質が期待できます。
工期が短縮できる
建築資材の工場生産により現場での作業が減少するので、一般の注文住宅より短い工期で建物が完成します。
規格住宅のデメリット
間取りの自由度が非常に低い
先程も申し上げましたが、規格住宅では事前に準備された複数の間取りから「自分達に合った間取りを選ぶ」ことになります。
準備された間取りの中に「自分達に合った間取り」があればよいのですが、気に入る間取りがない場合は、
部分的な間取りの変更が困難なので、一部の要望を諦めるか、別の住宅会社を探さなければなりません。
建物仕様の自由度が非常に低い
規格住宅では、建築資材の規格化も行っているので、「構造」や「性能」「設備機器」などの「建物仕様の自由度」や「選ぶ範囲」が決まっています。
なので、自分達のマイホームで叶えたい要望があっても、事前に用意されていなければ採用することはできませんし、
多少のオプション設定があっても、その中に自分達の求めるものがあるとは限りません。
高性能な仕様が少ない
コストパフォーマンスを高めるためには、大量生産による薄利多売が必要になるので、ほとんどの規格住宅は購買層の多い価格帯をターゲットとしています。
そのためには建築費用を抑えないといけないので、高性能な建物の「構造」や「性能」「設備機器」などの採用を控える傾向があります。
狭小地や変形地と相性が悪い
規格住宅では「敷地に合わせて建物を設計する」わけではないので、狭小地に入る間取りとなると選択肢の幅がかなり狭まりますし、
変形地となると、多くのデッドスペースが生じる可能性があります。
なので、敷地の有効活用が困難になってしまうかもしれません。
規格外の変更が割高になりやすい
規格住宅の中には、事前に準備された「建築図面」や「建物仕様」の変更が可能な場合もあるのですが、
規格外の変更を行うと、一般的な注文住宅と同じように設計費が必要になりますし、建築資材の大量生産によるコストダウンの恩恵を受けられません。
その結果、予想以上に変更費用が嵩んでしまい、規格住宅のメリットが最大限に活かせなくなってしまいます。
規格住宅が向いているのはどんな人?-まとめ

引用:http://www.freeq.jp
いかがでしたでしょうか。
注文住宅の一つの形態である規格住宅には、事前に「間取り」や「建物仕様」が用意されているので、手軽に注文住宅を手に入れることができますし、
選択できるパターンが限られているので、事前の「情報収集」や「家づくりの勉強」に必要な時間を節約することも可能です。
その反面、自分達の求める要望を全て盛り込むことが難しいので、一部を諦めないといけないかもしれませんし、
「世界で一つだけのマイホーム」を手に入れたい人にとっては、物足りないと感じてしまう家づくりの選択肢かもしれません。
しかし、近年では、様々な建材メーカーによる規格住宅も増えており、多種多様なコンセプトの建物が開発されています。
「コストパフォーマンスの高い注文住宅を手に入れたい人」や「建売住宅では物足りない人」「家づくりにかける時間を節約したい人」にとっては、都合のよい形態の注文住宅と言えるでしょう。
■ 大量生産によるコストパフォーマンスの高い建物を手に入れやすい
■ 他の注文住宅に比べて、短い期間でマイホームを手に入れることが可能
■ 自分達の要望を全て盛り込むことが難しいので、一部を諦めないといけない可能性が高い