■ コストパフォーマンスの良いマイホームを手に入れたい人
■ 家づくりで失敗や後悔したくない人
そうですね、同じコストダウンでも、
マイホームの間取りを決めた後に行う、建物の仕様に関してのコストダウンを紹介しましょう。
建物の仕様というと、
キッチンやお風呂なんかのことですか。
もちろん、キッチンなどの設備機器でもコストダウンは出来ますが、
他に、構造材や仕上げ材などにもコストダウンに繋がる要素がたくさんあるので、参考にして下さいね。
グレードを下げるばかりがコストダウンではありません。
こんにちは!建築士のしみゆうです。
あなたは建物の仕様と聞いて、どんな物が思い浮かびますか?
「断熱材」や「構造材の材種」などの建物の性能に関わる部材を想像される方もいれば、
「キッチン」や「お風呂」などの設備機器を想像する方もいるでしょう。
この様に、一口に建物の仕様と言っても、建物は様々な部材で構成されているので、コストダウンの方法も非常に多岐にわたります。
それに、コストダウンと言えば「単にグレードを下げれば良い」と思っている方も多いのですが、
状況によってはグレードを下げないコストダウンもありますし、グレードを下げてもコストダウンにならないこともあるんです。
もしも、それを知らずに建物のグレードを下げてしまっては勿体ないですし、それだけでなく「時間」や「労力」も無駄になるかもしれません。
今回は、せっかくの苦労が無駄にならないように、建物の仕様に関するコストダウンを具体例を交えながら紹介したいと思います。
建物の仕様で出来る18のコストダウン
仕様で出来るコストダウンは内容が被ることもありますが、具体例を挙げるために細かく分類を分けています。
(自分達の家づくりに役立ちそうなことから読んでもらうと、分かりやすいかもしれませんね。)
普通の構造材をそのままで化粧梁や化粧柱に使う
一般的に、木材の素地が見える「見せ柱」や「見せ梁」には化粧材と呼ばれる、高価ですが表面を加工して美しく仕上げた木材が使用されます。
ですが、化粧材の代わりに普通の構造材を使えばコストダウンすることが出来ます。
確かに、普通の構造材のままでは見栄えが良くありませんが、
「見せ柱」や「見せ梁」に使う構造材には丁寧にプレーナー(木材の表面を削る機械)をかけてもらえば、一般的な構造材の表面よりも綺麗に仕上がります。
(特に化粧材に濃い色の塗装をする場合は仕上げの程度も目立ちにくく、木材の節なども見栄えの良いものを使う様に選定してもらうことも出来ますよ。)
もし気になるなら、住宅会社の担当者にお願いして「化粧材」と「一般の構造材」のサンプルを比べておけば、マイホーム完成後に後悔することも無いでしょう。
断熱性能や気密性能を検討する
このコストダウンはグレードを下げるといったものではありません。
何故かというと、「断熱性能」や「気密性能」を下げてしまうと、マイホームの満足度が下がる可能性が高いからです。
なので、どちらかと言えば「性能の高い断熱材を使ったり」「気密性を上げる仕様を選ぶこと」をおススメします。
確かに建築費は多少アップしますが、長い目で見れば冷暖房による光熱費のコストダウンに繋がりますし、快適なマイホームを手に入れることで満足度が格段にアップするはずです。
玄関扉に親子扉を選ばない
玄関ドアに観音開き(左右の扉が開く)の親子扉を選ばなければ、10万円程度のコストダウンに繋がります。
親子ドアは見栄えが良いですし、両方の扉を開けると開口が広くなるので便利そうですが、
意外と両方の扉を開けることは少ないので、「親子扉は必要無かった」とおっしゃる方が多い様に感じます。
設備機器のメーカー指定を止める
「キッチン」や「お風呂」「トイレ」などの設備機器のメーカー指定を止めて、その住宅会社で一番コストパフォーマンスの良い設備機器に変更することでコストダウン出来ることがあります。
特別に取り入れたいメーカーがある場合は別ですが、最近の設備機器は昔に比べて性能がアップしているので、特別に使い勝手の悪いものは少ないと思います。
それに住宅会社によっては、一流メーカーの設備機器を特別価格で仕入れられることもあるので、メーカー指定をしなければコストダウンだけでなく、性能アップすることもありますよ。
設備機器はメーカー旧モデルの在庫を確認する
こちらも設備機器に関することですが、設備機器メーカーによっては1年や半年毎にモデルチェンジを行うことがあります。
モデルチェンジ後は旧モデルの在庫が安く手に入ることがあるので、旧モデルを選べばコストダウンが出来ます。
頻繁にモデルチェンジをしている場合は、1つ前のモデルでも性能がほとんど変わらないことも多いですし、設備機器は15~20年以上使うことが多いので1つ位前のモデルでも満足度はそれほど変わらないのではないでしょうか。
使わない機能は無くす
最近は様々な物が多機能化していますが、機能が増えるとそれだけ値段が高くなります。
しかし、設備機器などのショールームでは多機能の商品を勧められますし、「様々な機能があった方が便利だから」とグレードの高い商品を選びがちです。
しかし、テレビなどの電化製品が良い例ですが、いくら多機能でも意外と使うのは基本機能だけだったりしますので、本当に必要な機能かを良く考えてから導入することをおススメします。
収納の扉を無くす
「部屋の収納」や「納戸」には扉を付けることが多いのですが、扉を使わなければ、その分のコストを無くすことが出来ますし、
目隠しが欲しければ「アコーディオンカーテン」や「ロールカーテン」などを使えば、かなりのコストダウンに繋がります。
見栄えが気になる場合は、来客がある部屋の扉は取り付けて、家族だけしか使わない部屋の収納の扉を無くすとコストパフォーマンスが良くなりますよ。
天井廻り縁や壁の見切り材を無くす
「天井廻り縁」や「壁の見切り材」を使用しない事は、造作材の削減になるのでコストダウンになります。
特に天井廻り縁は、高級感を感じる人もいますが、野暮ったい印象を与えることもあるので、好みに合わせて使用するかどうかを決めることをおススメします。
天井廻り縁などの見切り材を使わない場合は、部材と部材の隙間が気になることもありますが、
「クロス用コーキング」や「室内用コーキング」といった目地材を使えば、見栄えは変わりますが、隙間を目立たなくする代用品に使うことが出来ます。
それに、最近は目地材のバリエーションも増えているので、以前よりも目立たなくなっています。
室内の壁と天井の取りあい部分(接続部)に取り付ける造作材のこと
経年変化で起こりやすい壁クロスと天井クロスの隙間を、目立ちにくくすることが出来る
部材と部材の取り合い部(接続部)に取り付ける造作材のこと
素材が違う材料の接着面を隠したり、素材の厚みの違いによって出来る段差を隠すことが出来る
仕上げ材を統一して種類を減らす
使う場所によって、仕上げ材を変えてしまうとコストアップになります。
(仕上げ材によっては仕入れ数量が決まっているものもあるので、少ししか使わなくても大量に仕入れないといけないこともあり、予想以上にコストアップすることもあるんです。)
なので、仕上げ材の「色」や「形状」を統一すれば、無駄が少なくなりコストダウンに繋がります。
(住宅会社によっては過去の余った仕上げ材を保管していることもあるので、部材の指定を行わなければ、低コストで導入できるかもしれません。
住宅会社の担当者に、倉庫に保管している仕上げ材が無いか確認してみてはいかがですか。)
仕上げ材は量産品を選択する
内装の仕上げ材は「メーカー」や「素材」などにより値段が大きく違います。
大量生産の仕上げ材はコストの割に良質な傾向がありますし、材料が足りなくなっても手に入りやすいので、コストダウンに繋がります。
縁なし畳は使わない
意外かもしれませんが、縁なしの琉球畳などは普通の縁有り畳に比べて2~3倍の価格になることが多いんです。
他にも、畳は「芯に使われている材料」や「畳表の種類」によって価格差が大きいので、低価格の畳を使うことはコストダウンになります。
天然石風のタイルを使う
建築で使う建材の中でも、石材はかなり高額なものが多い部材です。
しかし、最近では石風の「タイル」や「新素材」も増えているので、石材の代わりに代替品を選べばコストダウンすることが出来ます。
それに、石材の中には大理石の様に「水」や「熱」に弱いものもあるので、代替品を利用した方が使い勝手が良いことも少なくありません。
「使う場所」や「使い方」によっては適材適所があるので、検討することをおススメします。
コストの低い材料を選ぶ
住宅会社の標準仕様が一番安価では無いことも多いので、安価な同等品を選ぶことでコストダウンを出来ることがあります。
住宅会社によって、安く仕入れられる建材が違うことも多いので、住宅会社の担当者に相談してみてはいかがですか。
高級な仕上げ材は使う場所を考える
注文住宅を建てるのですから、「見栄え」や「性能」などの良い部材を使いたいことも多いと思います。
しかし、全てを統一する必要は無いので、高級な部材を使用する場所を最小限に抑えることでコストダウンすることが出来ます。
(「建材」や「部材」などの商品によって、仕入れ単位が違うことも多いので、せっかく仕入れた高級な商品は出来るだけ使い切るようにすれば、コストパフォーマンスの良いマイホームを手に入れることが出来ますよ。)
特注品ではなく既製品を選ぶ
家づくりでは、「キッチン」や「造作家具」「仕上げ材」など様々な商品の特別注文を行うことが出来ます。
しかし、ご存知の通り特注品は既製品よりも高額ですし、2倍以上の費用が必要なことも珍しくありません。
それに、最近は様々な商品が開発されているので、特注品を選ばなくても満足できる既製品が手に入ることも少なくありません。
インターネットなどで好みの既製品を見つけることは、コストダウンにも繋がることがあります。
塗装風や左官風の壁クロスを使う
室内の壁や天井に「塗装工事」や「左官工事」などを利用すると、どうしても大幅なコストアップになってしまいます。
今では、「塗装風」や「左官風」のクロスも増えていますし、何より安価です。
それに一昔前に比べて「風合」や「質感」も良くなっているので、代替品の使用を検討してみてはいかがでしょうか。
クロスのサンプルは取り寄せも簡単なので、実物を確認してから取り入れるかどうかの判断をすると良いでしょう。
施主支給を利用する
住宅会社に仕入れを依頼すると、どうしても中間マージンが発生してしまうのでコストアップに繋がってしまいます。
近年は、インターネットなどで様々な「情報」や「商品」が手に入るので、施主支給でコストダウン出来ることが増えて来ました。
しかし、施主支給の場合は施工費(工事費)が高くなったり、持ち込み費用が必要になる住宅会社もあるので、事前に担当者に確認しておきましょう。
住宅会社に安く使える建材を提案してもらう
一般的に普及している商品には「モデルチェンジ」や「廃版」などの理由で、旧モデルがかなり安価で出回っていることがあります。
そういった商品の情報は住宅会社に入ることも多いので、担当者に確認するとコストダウン出来るかもしれません。
上手にコストダウンをする秘訣とはーまとめ
仕様のグレードを下げるだけがコストダウンじゃないんですね。
それに、自分達が気にならない部分だけコストダウンの対象にすることも出来るんですね。
全ての住宅会社で通用する訳ではありませんが、
自分達の好きなように出来るのが、注文住宅の良いところですからね。
予算内で最高のマイホームが手に入るように、家族で話し合ってみます。
そうですね。
闇雲にコストダウンしてしまうと家づくりの満足度が下がってしまいますし、事前に家族で優先順位を決めておけば、打合せもスムーズに進むので良いですね。
建物の仕様で考えられるコストダウンの代表的なものを挙げてみました。
工夫次第では、マイホームの満足度を下げずにコストダウンすることも出来るんです。
しかし、自分達のマイホームの仕様が分かっていなければ工夫も出来ないので、建物の「仕様書」や「基本図面」を見てマイホームの仕様を知っておきましょう。
そうすれば、住宅会社の担当者との打合せもスムーズに進みますし、ご紹介したコストダウン以外の方法も見つかるかもしれません。
「仕様書や設計図面のチェック方法」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
それと、コストダウンの意思を伝えるのは、住宅会社との建築工事請負契約の前に行いましょう。
何故かというと、基本的に住宅会社の営業マンは契約をしてもらうことが目的なので、契約前の交渉は受け入れてもらいやすいんです。
それに、契約後の大幅なコストダウンは住宅会社の利益低下に繋がるため、トラブルの基になりやすいので注意して下さいね。
次回は、建物の工事で可能なコストダウンについてご紹介する予定です。
■ サンプルが見れるものは確認しておくことで失敗を防ぎやすい
■ 仕様に関するコストダウンは費用対効果を考えることが大切
■ 建築工事請負契約の前にコストダウンの意思を伝えれば受け入れてもらいやすい