※この記事では、住宅ローンの返済期間を決める最低限の基準や長期ローンのメリット・デメリットについて詳しく解説しています。
こんにちは!建築士&FP技能士の清水裕一(しみゆう)です。
突然ですが、住宅ローンで選択できる最長の返済期間(借入期間)は何年か知っていますか?
少し前までは、住宅ローンの金銭消費貸借契約日から契約者が80歳になるまで、もしくは35年のいずれか短い期間が返済の最長年数でした。
しかし、現在では多種多様な住宅ローンが発展していて、35年を超える返済期間の住宅ローンを選ぶことが可能になりました。
返済期間の長い住宅ローンを利用して借入総額を増やすことで、『今まで諦めていたマイホームに手が届くかも!』という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、漠然とした可能性を目の前に、何の計画もなく飛び付いてしまっては、悲惨な将来が待ち受けているかもしれません。
今回は、そんな危険性と可能性を兼ねそなえている、返済期間の長い住宅ローンを選ぶメリット・デメリットについて解説します。
金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)とは、将来の弁済を約束した上で、金銭を消費するために借り入れる契約のことである。一般的に、銀行や消費者金融等の金融機関等が貸主となって締結されることが多い。金消契約、ローン契約などと略称する。
消費貸借契約とは、借りたものそのものは消費することを前提に、借りたものと同じものを同じ数量を返却することを約束して、物や金銭を借りる契約のことであり、このうち、金銭の貸し借りを契約したものを金銭消費貸借契約という。
■ 長期ローンのメリット・デメリットを知りたい
■ 返済期間を決める最低限の基準を学びたい
住宅ローンの返済期間は最長何年まで選べるの?
エ~ッ!住宅ローンの返済期間は最長で35年じゃないんですか!?
そもそも住宅ローンって、35年を前提に計画するものだと思い込んでいました。
住宅会社や不動産会社の『少しでも高額な物件を買って欲しい。』という営業方針と、住宅購入者の『返済できる範囲で最高のマイホームが欲しい』という利害関係が一致しやすいので、
まず最初は、返済期間35年の住宅ローンをもとに資金計画を行うケースが多いのは確かですね。
ってことは、35年という年数に囚われず、自分達の都合で返済期間を設定してもイイんですね?
もちろん!
無理のない返済額であれば、借入期間が短いほど金利負担が少なくなりますし、借入総額を増やしたければ借入期間の長い住宅ローンを選択することも可能です。
じゃあ、最長で何年の住宅ローンがあるんですか?
現在では、住宅金融支援機構のフラット50をはじめ、返済期間が50年という長期の住宅ローンを扱う金融機関が増えています。
しかし、一般的な住宅ローンに比べて利用条件が厳しいことが多いので、下調べをしておいたほうがイイですね。
では、一例としてフラット50の主な特徴を紹介しておきましょう。
住宅金融支援機構 フラット50の主な特徴
- 最長50年の全期間固定金利(完済年齢の上限は80歳)
- 住宅ローン付きで物件の売却が可能
- 長期優良住宅認定の取得が必須
- 申し込み時の年齢は満44歳未満でなければならない(親子リレーは例外)
- 総返済負担率は年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下
- 借入額は100万円以上6,000万円以下、かつ住宅総予算の60%以内(フラット20・35併用による緩和あり)
- 親子リレー返済の選択が可能
- 保証人の必要なし
- 団体信用生命保険への加入義務なし
- 火災保険への加入義務あり
- 融資手数料などの諸費用は取扱金融機関によって異なる
- 保証料・繰上返済手数料なし
利用条件を見た感じ、それほどクリアは難しそうじゃありませんね。
返済期間の長い住宅ローンを利用すれば借入総額が増やせるから、諦めていたオプションが追加できるかも!
初家さん・・悪い癖が出ていますよ。
たしかに借入期間を延ばせばマイホームの予算を増やせますが、メリットばかりじゃありませんよ。
手放しで喜ぶ前に、デメリットも知っておいてくださいね。
返済期間の長い住宅ローンのメリットとデメリット
- 借入期間を延ばすことで借入総額が増える
- 同じ借入総額なら月々の返済額を抑えられる
- 返済期間が長い
- 利息割合や諸費用の増加により返済総額が増加
- 固定金利では返済期間が長いほど適応金利が上昇
う~ん、借入総額が増やせたり、月々の返済が減らせるのは魅力的ですが・・
冷静に考えると、返済期間が長くなるのも、返済総額が増えるのも怖いなぁ~
にっちもさっちもいかなくなってからでは手遅れですもんね。
いいところに気が付きましたね。
長期ローンを選択する場合は、マイホームの総費用だけに固執するのではなく、返済中の暮らしを想定しておくことが非常に大切です。
それに、「家族全員のライフプラン(生涯設計)を基に住宅ローンの返済期間を決定する」というのが資金計画の本来の姿なのではないでしょうか。
たしかに、マイホームの建設にばかりお金をかけて、日々の暮らしを犠牲にするくらいなら、わざわざ持ち家にこだわる必要はありませんよね。
将来の暮らしについて、もっと家族全員で話し合ってみます。
あ、そうそう・・フラット50のような固定金利だけでなく、変動金利を採用した最長50年の住宅ローンも増えてきましたよ。
ですが、変動金利では返済総額が掴めませんし、適応金利の上昇度合いによっては未払い利息によるローン残高増加の危険性が非常に高いので、より慎重な返済計画を心掛けてくださいね。
長期間の住宅ローンを利用するなら建物の耐久性に注意!ーまとめ
返済期間の長い住宅ローンを利用する際は、これまで以上に注意して欲しいことがあります。
それは、建物の耐久性に関することです。
建物の耐久性?
将来のライフプランやお金に対してじゃないんですか?
もちろんライフプランや資金計画も大切ですが、それは住宅ローンを完済するまで建物に住み続けられることが前提ですよね?
というのも、国土交通省の調べでは、日本の木造住宅の平均寿命は約30年と発表されているんです。
つまり、もしも建物の耐久性能が低く、早い段階で住み替えや建て替えが必要になっては、どんな綿密な返済プランも意味を成しませんよ。
住宅ローンの完済までにマイホームがダメになるなんて考えてもいませんでした・・
でも、フラット50なんかは長期優良住宅認定の取得が必須なんだから、建物の耐久性の心配は必要ないんじゃ・・
たしかに長期優良住宅は、耐震性や維持管理などの耐久性に配慮された建物といえます。
しかし、認定を受けたからといって、必ずしも50年以上何の問題もなく住み続けられるかは疑問です・・
エ~ッ!
でも、建物の耐久性なんて言われても、建築の素人の私達にはハードルが高すぎますよ!
まずは、単に長期優良住宅認定を取得しているだけでなく、その建物の耐久性に対する住宅会社の工夫や理念にも目を向けるように意識してみてください。
慣れないうちは専門的で難しいかもしれませんが、不思議なもので『興味を持つうちに良し悪しの区別がつくようになった。』とおっしゃる方が非常に多いんです。
私達にどこまでできるか不安ですが・・
例えば、どんなことに気を付ければいいんですか?
まずは注文住宅の資料を集め、様々な建物の仕様や工夫を見るなど、家づくりの視野を広げることから始めてください。
そうすれば、「建物の見るべきポイント」や「自分なりの基準」が見えてくるハズです。
他にも、住宅会社探しの際に意識して耳を傾ければ、担当者の説明の端々から雰囲気が伝わってきますよ。
マイホームの費用や住み心地ばかり気にしていましたが、どれだけ住み続けられるかも重要なポイントですね。
今まで以上に視野を広げた家づくりができるよう、建物の耐久性にも気を配るようにします!
家づくりを成功させるためには、建物の耐久性に大きくかかわる構造や仕様に興味を持つことも大切です。
建物の知識を深めるには、注文住宅のカタログを比較するといいでしょう。
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■ 返済期間を伸ばすと月々の返済額の減少するが返済総額は増加する
■ 住宅ローン返済期間の決定は将来的なライフプランの見定めが重要
■ 建物の構造や仕様の耐久性は住宅ローン完済を基準に決定する
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