■ 建築工事請負契約約款の内容が理解しずらい人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
約款(やっかん)という言葉をご存知でしょうか?
「携帯電話の契約」や「生命保険の契約」などの際に目にしたことがある人も多いと思いますが、
約款とは、契約書に記載されない詳細な条項が記載された書類です。
約款は細かい文字で書きこまれていますし、言葉遣いも難解なので、
つい読むのがおっくうになってしまい、後で読もうと思っていても結局内容を確認しないことが多いですよね。
「まあ、相手もプロなんだから確認しなくても大丈夫でしょ・・」と思っているかもしれませんが、
相手がプロだからこそ確認が必要なんです。
何故かと言うと、家づくりでのトラブルは甚大な被害になることがあります。
もし、あなたにとって都合の悪い内容に気付いていなくても、サインをしただけで「契約内容に了承した」ことになるので、
本来は受けるはずでなかった被害を被る事になりかねません。
今回は、建築工事請負契約約款の中でも、特に重要だと感じる事柄を簡単に要約してみました。
建築工事請負契約約款(やっかん)の6つのチェックポイント
建築工事請負契約約款には、30条前後の条項が記されています。
その中でも、特に注意しておきたい6つの条項を要約しましたので、必ず確認を行う様にして下さいね。
第三者の損害
建物の工事中に第三者(関係者以外の人や物)に損害を与えた場合の賠償に関しての条項です。
これらの賠償に関しては、損害を与えた者が賠償することが一般的なので、問題が無いかを確認しておきましょう。
施工一般の損害
「建築中の建物」や「建築資材などの工事材料」などに対しての損害に関する条項です。
これらの損害に関しては、住宅会社側が費用を負担するのが一般的なので、問題が無いかを確認しておきましょう。
損害保険
「工事中の建物」や「建築資材などの工事材料」などに対しての「火災保険」や「建築保険」「損害保険」に関する条項です。
住宅会社がどの様な保険に加入しているかを確認しておきましょう。
もし、保険が十分でないと、「天災などの自然災害」や「第三者による人為的な損害」があった場合に、全ての損害を発注者(あなた)が負担することになります。
瑕疵(不具合)の担保
「建物の隠れた瑕疵(かし)」に関する担保(保証)に関する条項です。
品確法で定められた「構造耐力」や「雨水の侵入」に関わる瑕疵は、建物の引渡しから十年間の保証が義務づけられています。
しかし、それ以外の瑕疵の保証期間については法令で定められておらず、住宅会社に任されています。
近年は二年間の保証を付けている住宅会社が増えて来ましたが、念のために確認しておきましょう。
「住宅瑕疵担保責任保険」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。
履行遅延及び違約金
住宅会社の都合で建物の工事が遅れ、契約期間内に引渡しが出来なかった際の違約金に関する条項です。
工事請負代金に対して年利14.6%以内で、引渡しの遅延日数による日割り計算により違約金の計算を行うのが一般的です。
約款によっては遅延日数1日につき、工事請負金額から工事の「出来高部分(完成部分)」や「搬入の終わっている建築資材」を減算した金額の4/10,000を違約金とすることもあります。
上記を参考にして、引渡し遅延時の違約金について確認しておきましょう。
発注者の中止権及び解除権
発注者が「どの様な条件で工事の中止や解除が出来るのか」や「その際の損害の賠償」などに関する条項です。
基本的に、自分に不利な事柄が無いかの確認が必要となります。
詳細については、国土交通省のHPの民間建設工事標準請負契約約款(乙)を参考にして確認しておきましょう。
約款の確認は自己防衛のために重要 ーまとめ
約款には、重要な契約の際に契約書だけでは記載しきれない様々な「決定事項」や「責任の所在」などの詳細な事柄が記されています。
もちろん、全ての条項を確認することが大切なのですが、法律の関する用語は慣れないと理解しにくいかもしれません。
なので、「建築工事請負契約約款を確認する際」や「詳しい内容を知りたい場合」は、比較的に言い回しも理解しやすい国土交通省のHPの民間建設工事標準請負契約約款(乙)を参考にすることをおススメします。
日本人の特徴なのか、言葉遣いが難解だからなのか、理由は分かりませんが約款の内容を確認する方が少ない様に感じます。
確かに、何もトラブルが無ければ問題無いのですが、トラブルが起きてからでは遅いのです。
なので、少なくとも契約に関することは事前に確認を行い、「疑問点」や「納得できない事」は解消しておきましょう。
そうして、初めてでも「失敗」や「後悔」することなく、理想の家づくりを楽しんで下さいね。
■ 建築工事請負契約約款は事前に確認しておくことが大切
■ 「疑問点」や「納得できない事」は契約前に解消しておく
■ トラブルが起きてから約款を確認していては遅い