■ パワコンの特徴や設置場所選びの目安・注意点を知りたい人
■ パワコンの設置場所で失敗や後悔したくない人
こんにちは!建築士のしみゆうです。
売電価格は年々下落していますが、将来的なエネルギー問題の不安もあり、マイホームに太陽光発電システムの導入を検討する方が増加していると言われています。
さらに、最近はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の仕組みが広く浸透し始めたのか、「補助金も貰えるし一石二鳥!」といった声も頻繁に聞くようになりました。
太陽光発電システムの採用は、今後予想される電気料金の値上げ対策にもなるので、賢明な判断と感じる方が多いんですね。
しかし、そこで忘れてならないのが、太陽光発電に欠かせない「パワコンの設置場所を何処にするか」ということです。
というのも、パワコンの設置場所には一定の制限があるためか、説明が面倒なのか、「皆さんは洗面室に設置されていますよ」といった具合に、サラッと設置場所を決めようとする住宅会社が多いように感じます。
ですが、自分達のライフスタイルや価値観を踏まえた上で設置場所を決めないと、新居での生活が始まってから「もっと使い勝手や見栄えに配慮しておけばよかった・・」と後悔してしまうかもしれません。
図面上の打合せでは気付き難いのですが、意外とパワコンの存在感は大きんです。
それに、パワコンは簡単に位置を変えられる代物ではないので、工事が始まってから問題に気付いても、設置場所の変更を受け付けてもらえない可能性もあります。
今回は、太陽光発電システムを導入するなら知っておきたい、パワコンの特徴を紹介しながら、設置場所を選ぶ際の「目安」や「注意点」について解説します。
パワコンの特徴を知っておこう!
いいな~ZEH、我が家も検討中なんです!
でも、太陽光発電システムに、パワコンという機械が必要とは知りませんでした。
どんなことに注意して設置場所を決めたらいいのか教えてください。
かなり普及しているとはいえ、太陽光発電の採用が初めてなら、パワコンに馴染みがなくてもしかたありませんよ。
しかし、存在感の大きさが気になる人も多いので、設置場所には配慮しておきたいですね。
まず最初に、パワコンの特徴について紹介しますので、ご自身やご家族が気になりそうな項目があれば、チェックしておいてください。
発電時の稼働によるパワコンの挙動
パワコンはソーラーパネルの発電時のみ稼働するのですが、挙動には下記のような特徴があります。
- 直流電源を交流電源に変換する際に熱を発散する
- 「動作音」や「モスキート音(聞き取りに個人差がある高周波の音)」を発する
- 電源ONや発電量を知らせるランプが点灯する
パワコン稼働時の挙動はメーカーによって異なりますが、以前に比べて軽減傾向にあり、様々な対策を施された製品も発売されています。
パワコンの設置場所に関わる制限
パワコンの設置場所には下記のような制限があります。
著しく反する場所への設置は、保証が適応されないこともあるので注意が必要です。
- パワコン本体の上下(30cm程度)左右(5㎝程度)に空きスペースを設ける
- 湿気の多い場所(浴室扉の近辺等)を避ける
- 直射日光の当たる場所や温度変化の大きい場所を避ける
- 換気・風通しの悪い場所や温度上昇の著しい場所を避ける
- 振動や衝撃が大きく不安定な場所を避ける
太陽光発電システムのパワコンは繊細なので、温度や湿度などによる「発電効率の低下」や「動作不良」に配慮するのはもちろんですが、施工やメンテナンスに必要な「スペース」の確保も欠かせません。
そのため、設置に関する詳細については設計者や工事業者の検討が必要となります。
パワコンの設置制限はメーカーや機種によっても異なるので、上記は設置場所を検討する際の目安と考えてください。
さらに、設置制限ではありませんが、「発電された電気のロス」や「電圧上昇抑制(電圧が上がり過ぎると発電が自動的に止まる仕組み)」などを懸念し、ほとんどの太陽光発電メーカーでは、分電盤の近辺にパワコンを設置するように推奨しています。
分電盤とパワコンの距離による不具合の防止には、「使用するケーブルを太くする」といった方法もありますが、特別な理由がないのであれば、パワコンと同時に分電盤の設置場所を検討するといいでしょう。
パワコンを選ぶ際の注意点
この他にも、パワコンには様々な特徴があります。
メーカーや機種を選ぶ際にも役立つので、参考にしてください。
■価格差
パワコンの価格はメーカーより異なりますが、下記のような目安があります。
- 容量・・発電容量が大きくなるほど高額
- 効率・・発電効率が高くなるほど高額
- 設置場所・・室内型<屋外型<併用型 の順に高額な傾向がある
- 販売業者・・有名メーカーの製品ほど高額になりやすい
しかし、住宅会社の販売実績などにより価格に逆転現象が発生することがあるため、メーカーを選ぶ余地があるなら、相見積もりをおススメします。
■停電時の利便性
太陽光発電システムで作られる電気は、日頃はコンセントから利用できるのですが、災害等による停電時はコンセントへの電源供給がストップする仕組みになっています。
しかし、自立運転機能を持つパワコンなら、ソーラーパネルの発電時であれば、停電中でも自立運転コンセントから直接1500W程度の電力を得ることが可能です。
中には、自立運転機能のないパワコンもあるので、非常時の電源供給が必須であれば、念の為に確認しておきましょう。
■サイズ・デザイン性
パワコンのサイズはメーカーや発電容量により異なりますが、4.0KW用でも幅60㎝高さ30㎝奥行20㎝程度のものが多く、意外と大きな機械です。
そのため、予定していた棚や装飾品などが設置できなかったり、扉の開閉に干渉してしまうことがあります。
カラーバリエーションや外装デザインが少ないため、設置した際の見栄えにばかり注目しがちですが、使い勝手への配慮も大切なので、使い勝手を含めた見栄えの気にならない場所への設置を検討しましょう。
■ソーラーパネルの発電量とパワコンの容量のバランスに心掛ける
太陽光発電システムは、いくら発電量の大きいソーラーパネルを用いても、パワコンの容量以上の電気を発電することはできません。
そのため、ソーラーパネルの発電量を基準にパワコンを選ぶことが多いのですが、稀に勿体ないと感じるシチュエーションがあります。
それは、パワコンの容量が大きい割に、発電量の小さなソーラーパネルを採用している場合です。
というのも、太陽光発電システムのイニシャルコスト(初期費用)は、「ソーラーパネルの発電量」と「パワコンの容量」が同じ時に、最もコストパフォーマンスが高まります。
もし、パワコンの容量に余裕があるなら、ソーラーパネルの枚数を追加してはいかがでしょうか。
パワコンの設置位置を選ぶ際の注意点
今まで、太陽光発電を検討する際に、パワコンの設置場所なんて考えたこともありませんでした。
でも、様々な事に注意しておかないと、後悔しそうですね・・
打合せの担当者から適切な提案があれば助かるのですが、必ずしも太陽光発電システムに詳しいと限りませんからね。
「皆さん、こうしてますよ」といった具合におざなりだったり、「メリットやデメリットを説明してくれない(できない)」と感じたら、少し警戒した方がいいかもしれませんよ。
そんなこと言われても、私達のような素人では調べるにも限界があるだろうし・・
それに、問題に気が付かずに打合せを進めてしまうかもしれませんよね。
何か良い方法ないですか?
建物内にパワコンの設置場所が見つからないのであれば、建物の外に設置するのも一つの手です。
では次に、パワコンを「屋内に設置する場合」と「屋外に設置する場合」のメリットとデメリットを紹介しますね。
先程のパワコンの特徴を思い出して設置場所を想像しながら、ご自身やご家族にとってメリットが多い方を選ぶといいですよ。
屋内型パワコン(室内に設置)のメリット・デメリット
◇メリット
- 屋外設置型に比べ安価
- サイズが小さい
- 発電効率低下の心配が少ない
- 経年劣化が抑えやすい
◆デメリット
- 設置スペースの確保が難しい
- 発電時の発熱や動作音が気になりやすい
- 停電時の使い勝手にも配慮が必要
- 内装デザインや装飾品との一体感を得にくい
屋外型パワコン(外壁に設置)のメリット・デメリット
◇メリット
- 設置スペースの確保が容易
- 発電時の発熱や動作音が気になりにくい
- デザイン性や使い勝手に関する配慮が軽減できる
- 追加の設置工事が比較的簡単
◆デメリット
- 屋内設置型に比べ高額
- 外部カバーなどによりサイズが大きい
- 経年劣化が早まりやすい
- 温度上昇に注意しないと発電効率が低下する
- 室内に自立運転コンセントを設ける場合は別途工事が必要
なるほど、屋内型は設置場所が問題になりそうですが、屋外型は価格と発電効率が気になるところです・・
わざわざパワコンの設置スペースを作るくらいなら、屋外型の方がいいかもしれませんね。
どちらにもメリットはありますが、デメリットにも注意してパワコンの設置場所を決めたいですね。
それと、家庭用パワコンの1台当たりの発電容量には限度(最大5.5kw程度)があり、容量が大きくなるほど、サイズも大きくなります。
とくに、発電量が5.5kwを超えるソーラーパネルを採用する場合は、パワコンが2台になることが多いため、設置スペースだけでなく、導入コストにも注意が必要ですよ。
住み始めて失敗に気付いても手遅れ!?ーまとめ
パワコンの設置場所もですが、屋内用と屋外用のどっちにするかも悩むなぁ~
でも、「途中で気が変ったから変更!」なんてムリですよね・・
「絶対できないか?」と言われれば、NOですが・・
工事の進捗状況によっては、かなり手間がかかるのは否めませんね。
それに、建物完成後の変更となれば、壁や天井を剥がしたり、電気配線経路の確保なども必要になるので、手間も費用も莫大になってしまいます。
そうなんですか!?
とてもじゃないけど、そんな費用は捻出できそうにありません・・
様々な家づくりを経験している「営業マン」や「設計者」なら、相談に乗ってくれるでしょうし、適切なアドバイスもしてくれるハズですよ。
もちろん、私に相談してくれても大丈夫です!
ありがとうございます。自分達だけで決めなくていいと思ったら、気が楽になりました。
いろんなことを聞くと思いますが、よろしくです!
パワコンは常に作動しているわけでなく、ソーラーパネルが電気を発電する際だけ電源が入るので、主な稼働は太陽の出ている時間帯となります。
そのため、同じ家族でもライフスタイルによって、「気になる人」と「気にならない人」に分かれやすいのですが、
「熱」や「音」「デザイン」といった感覚的な部分にも左右されるので、ご家族に「敏感な方」や「神経質な方」がいらっしゃるようなら、設置場所には特に配慮しておくことをおススメします。
それと、太陽光発電システムを採用する場合は、「買電用」と「売電用」の2つの電気メーターを設置しなければなりません。
打合せでは気付き難いのですが、電気メーターの存在感も2倍になるので、建物の外観デザインにこだわりたい方は注意が必要です。
というのも、電気メーターは屋外に取り付けるため、設置スペースに困ることは少ないのですが、電気使用量検針時の敷地内への立ち入りを防ぐ目的から、一般的には見通しの良い場所に設置します。
しかし、敷地内への立ち入りを許容できるなら、事前の打合せで電気メーターの位置を変更することも可能です。
余談ですが、太陽光発電システムを採用する場合は、専用ブレーカーが必要になるため、建物内に設置する分電盤も大型になります。
分電盤が大きくなるといっても、幅が10㎝程度伸びるだけなので、設置スペースに問題ないかもしれません。
しかし、タイトな設計では周囲の物に干渉する可能性もあるので、念の為。
■ パワコンは屋内用だけでなく、屋外用を選ぶことが可能
■ 工事完了後のパワコンの移動は手間も費用も莫大になる
■ 電気メーターや分電盤の設置場所にも配慮すると満足度がUP