【地盤改良工事とは】工法別の費用とメリット・デメリット
こんな人におススメの記事です!
■ 地盤改良工事費用の相場について知りたい人
■ 地盤改良工事の工法別のメリットやデメリットに興味がある人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人

こんにちは!建築士のしみゆうです。

土地の地盤が軟弱だと、長期的な建物の重さによって部分的に地盤が下がってしまったり、

大きな地震の際には、地質によっては液状化を起こしてしまう可能性も少なくありません。

 

そのままの状態で建物を建ててしまうと、建物が傾いてしまうかもしれませんし、最悪の場合は住めなくなることも考えられるので、

現在では、そのような事態を未然に防ぐ為に、ほとんどの場合は地盤改良工事による地盤の補強を行います。

 

ですが、初めての家づくりでは地盤改良に関しての馴染みも薄く、工法などもご存知ないかもしれません。

今回は、地盤改良工事の工法別の「費用の相場」や「メリット」「デメリット」についてまとめてみました。

地盤改良工事とは

地盤改良工事には表層改良・柱状改良・鋼管杭などの種類があり費用の相場やメリット・デメリットが違う

現在では、建物の新築工事の際は、事前に地盤の強度を調べる地盤調査を行います。

「土地の地盤調査」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。

地盤調査の結果、「十分な地耐力(地盤の支持力)がない」場合は、地盤の補強をしなければ建物を建てることができません。

その際に、地盤の強度を高めるために行う工事を地盤改良工事と呼びます。

 

一口に地盤改良工事といっても、敷地の「地耐力」や「地質」、建てる建物の「大きさ」や「重量」などにより工事の方法は違います。

更に、地盤改良工事の費用となると、工法だけでなく、敷地の「道路状況」や「資材の搬入条件」も加味しなければいけないので、

戸建住宅の相場は約50~200万円となり、かなり金額の幅が大きくなってしまいます。

 

なので、まず最初に「工法別のおおよその費用相場」と「メリット」「デメリット」について解説したいと思います。

表層改良工法

地盤改良工事の中でも工事費用が安価な表層改良工法ですが、軟弱な地盤が地表から2m以内でなければ対応が困難となります。

杭を施工するのではなく、軟弱地盤の土とセメント系の固形材を混ぜ合わせ、転圧することで地盤の強化を図る工法です。

工事期間は建物の規模にもよりますが、ほとんどの場合は1~2日で完了します。

◇メリット

  • 工事費用が比較的安価
  • 他の工法に比べて小型の重機でも工事が可能
  • 地盤にコンクリートや石が混入していても施工可能

◆デメリット

  • 地盤改良面より地下水位が高い場合は対応できない
  • 勾配の強い地盤面では施工が難しい
  • 職人さんの技術により仕上がりの強度にムラができやすい

〇費用の相場

地盤改良工事の施工面積1坪(3.31㎡)あたり3万円程度が一般的

柱状改良工法(湿式)

戸建住宅では一番多いと言われている柱状改良工法ですが、軟弱な地盤が地表から2~8mでなければ対応が困難となります。

セメント系の固形材を地盤に注入し特殊な重機により軟弱地盤と混ぜ合わせることで、柱状の強化地盤を形成し建物を支える工法です。

工事期間は建物の規模にもよりますが、30本程度の杭であれば2~3日で完了します。

◇メリット

  • 比較的に小型の重機でも施工可能
  • 地盤の強度によっては、支持層(強固な地盤)がなくても強度を保てる

◆デメリット

  • 施工後は地盤を現状に戻すことが非常に難しい
  • 改良杭が残ってしまうので、土地の売買価格が下がる原因になることがある

〇費用の相場

建物の建築面積1坪(3.31㎡)あたり4~5万円程度が一般的

鋼管杭工法

戸建住宅では比較的に少ない鋼管杭工法ですが、軟弱な地盤が地表から30m以内であれば対応が可能です。

支持層に到達した金属製の鋼管により、建物を支える工法です。

工事期間は建物の規模にもよりますが、ほとんどの場合は1~2日で完了します。

◇メリット

  • 強度が高く、重量のある建物にも対応可能
  • 費用はかかるが、原状復帰することができる

◆デメリット

  • 支持層まで鋼管杭が届かなければ強度が保てない
  • 大型の重機が必要なため敷地状況によっては工事が出来ない
  • 工事中の騒音や振動が大きい

〇費用の相場

建物の建築面積1坪(3.31㎡)あたり5~7万円程度が一般的

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地盤改良工事の工法は選ぶこともできる

より地盤を強化する方法なら、住宅会社の提案以外の工法も選ぶことが可能

地盤調査の結果によっては、工事を余儀なくされると思いがちな地盤改良工事ですが、工法の選択は1つだけではありません。

表層改良工法が適応の場合は「柱状改良工法」や「鋼管杭工法」も選ぶことができるように、より高い地盤強度が保てる工法であれば問題ありませんし、

地盤調査の結果次第では、「セカンドオピニオン」や「地盤保証に加入する」といった方法を選べば、地盤改良工事を回避できることもあります。

「セカンドオピニオン・地盤保証」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。

例えば、

表層改良工法は建物の基礎よりも広い範囲の工事が必要なので、建物近辺の地盤を固めてしまいます。

 

なので、庭で根の深い樹木や植物を楽しみたい場合は、「建物基礎の変更」や「庭の土量を増やす」といった対応が必要になってしまいます。

しかし、「柱状改良工法」や「鋼管杭工法」に変更すればその心配はありませんし、

「セカンドオピニオン」や「地盤保証に加入する」といった方法が選ぶことが出来れば、地盤改良工事そのものの必要がなくなります。

 

このように、地盤改良工事の工法によっての「メリット」や「デメリット」を理解したうえで、「工事の有無」や「工法を選ぶ」ことが大切になります。

それに、近年は地盤改良工事の工法も増えてきました。

 

例えば、

セメント系固形材と土を混ぜ合わせると、「六価クロム」という発がん性物資が発生する恐れがあると言われています。

このようなデメリットを防ぐために、「表層改良工法」や「柱状改良工法」で用いるセメント系固形材の代わりに、砕石(細かく砕いた石)を用いる工法が開発されました。

 

更に、この工法は自然物である砕石を用いているので将来的な撤去の必要もなく、土地の売買価格を下げないとも言われています。

しかし、一般の地盤改良工事よりも高価ですし、敷地の条件によっては施工できないこともあるので、検討する場合は住宅会社の担当者に確認してみましょう。

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地盤改良工事は施工の確かさも大切ーまとめ

施工品質の低い工事に注意、地盤改良工事の効果が無いこともあります

マンションではありますが、2015年に三井不動産の建物が地盤沈下により傾いたというニュースが世間を騒がせたのは記憶に新しいと思います。

建物が傾いた原因は、地盤改良工事業者の施工した基礎杭が支持層に達していないために、「建物の重さに地盤が耐えられず圧密沈下をおこした」というものでした。

もちろん、施工業者の施工不良も問題ですが、簡単にデータを偽装できてしまうことも問題です。

 

データを偽装をした理由には、大きく分けて3つの原因が考えられます。

  1. 地盤改良工事は地面下の工事のため施工不良に気付きにくい
  2. 施工不良に気付いても、是正工事には長い期間と多額の工事費が必要になる
  3. 不動沈下などの問題が出なければ、ほぼ気付かない

このように、地盤改良工事は他の工事に比べて問題が表面化しにくく、施工不良も起こりやすいと言えます。

 

ここで注意して欲しいのが、

もし、地盤改良工事が必要となった場合は、「工事費用だけを参考にして工事業者を選ばない」ということです。

工事業者の「施工品質に関わる工事経験」や「地盤保証制度の加入状況」などにも目を向けることを忘れないで下さい。

「地盤保証制度」についての詳細へは、下記のリンクから移動できます。

地盤の問題は、万が一にも瑕疵(かし)があった場合に建物への被害が甚大となりますし、

「品確法による10年の瑕疵保険期間」も適用されないので、是正工事の費用も莫大になってしまいます。

軽く考えがちの地盤改良工事ですが、家づくりに失敗しないためには「費用の相場」や「メリット」「デメリット」を理解したうえで検討するのはもちろんですが、信頼できる工事業者を選ぶことも非常に大切です。

今回の問題解決と総まとめ
■ 工法によって、「費用の相場」や「メリット」「デメリット」が違う
■ 地盤の強度が保てれば、複数の工法から選ぶこともできる
■ 地盤の不具合は建物の被害も大きく、復旧費用も莫大
■ 工事費用だけでなく「工事経験」や「保険加入」も業者選定の目安にすることが大切
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