■ マイホームの間取りで計画で起きやすい失敗を防ぎたい人
■ 家づくりで失敗や後悔をしたくない人
こんにちは!建築士&FP技能士のしみゆうです。
「失敗は成功の母」ということわざがありますが、それは家づくりにおいても言えることで、
家づくりでも失敗から学ぶことは非常に多く、その対策も同時に学ぶことができるんです。
しかし、専門職にでも従事していない限り。一般的には家づくりに何度も挑戦できる人はかなり少数ですし、失敗してもよいと思っている人はほとんどいないでしょう。
では、数少ないチャンスの中で、失敗を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?
最も手っ取り早いのは、既に家づくりを経験した人達の失敗例から学び、同じ過ちを繰り返さないことだと思います。
今回は、家づくりの間取り計画でよくある失敗例を見ながら、どうすれば失敗しないのかを一緒に考えていきましょう。
間取りの広さに関する失敗と対処法
マイホームの広さに関する失敗と聞くと、「狭い家」を想像される方が多いかもしれませんが、「広ければ満足できる」というわけでもありません。
と言うのも、ただ広いだけでは移動の手間が増えるだけですし、せっかくのスペースも有効に使わなければ宝の持ち腐れになってしまうからです。
それに、「広いマイホームに憧れて、たくさん部屋を用意してみたけれど、使い道がなくて使っていない・・」なんて話も珍しくありません。
家づくりでは、「敷地」や「予算」などに制限があることも多く、限られたスペースを如何に有効に使うかが非常に重要になってきますし、狭いスペースでも有効的に活用すれば、高い満足度を得ることが可能です。
では、限られたスペースを有効に使うにはどうしたらよいのでしょうか?
その一つに、こんな方法があります。
まずは、間取りを計画中のマイホームの平面図に、新居で使う予定の家具を書き込んで下さい。
そして、新しい生活が始まってからの「生活動線」や「過ごし方」を想像しながら、有効に活用できそうなスペースを確認したり、無駄なスペースがないかチェックしてみましょう。
そうすれば、自分達家族の「価値観」や「ライフスタイル」に合った間取りの広さを知るきっかけになるので、現在計画中の間取りのままで打合せを進めるべきかどうかを判断できるようになります。
このように、どうすれば限られたスペースを有効活用し、使いやすい間取りになるか、というのを考えてみましょう。
生活動線に関する失敗と対処法
新しいマイホームに住み始めてから気付く失敗の一つに、「洗濯機から物干し場までの移動距離」や「お出かけする前の準備」「来客中の過ごしやすさ」といった、生活動線に関わるものがあります。
注文住宅では、平面図などの図面を見ながら間取りの打合せを行うため、距離感が掴みにくかったり、家具などの配置を意識せずに部屋の広さだけで検討してしまうと、このような失敗が起こりやすいのですが、実際はそれだけではありません。
と言うのも、間取りの打合せで生活動線に配慮しているつもりでも、想像しやすい現在の日々の生活だけを意識しがちなので、「来客があった時」や「子ども達の成長した後」「将来のライフスタイルの変化」など、思い描きにくい状況を見落としてしまうことが多いからなんです。
それに、朝のお出かけ前といった、家族全員の動きが活発になる時間帯は、それぞれの動線が交差しやすく、人によって準備の「順番」や「習慣」が違うため、「あんなに考えた間取りなのに、住みにくい・・」なんてことになりかねません。
では、どうすれば生活動線に関する失敗を防げるのでしょうか。
まずは、マイホームの間取りがある程度形になったら、住宅会社に縮尺が50分の1ほどの平面図を用意してもらいましょう。
次に、新居で使う予定の家具を平面図に書き込んで下さい。
そして、平面図の中で実際に生活する姿を想像してみましょう。
朝の準備をしたり、リビングでくつろいだり、キッチンで調理したり、
もちろん、「子どもたちが巣立った後」や「定年を迎えた後」の生活も忘れないで下さい。
このように現在は素より、未来のビジョンも踏まえて意識することで、具体的な新居での生活動線が想像しやすくなります。
もし、想像しにくかったら、人に見立てた駒(50分の1なら15㎜四方位)を使って、平面図の上で動かしてみましょう。
もちろん、自分だけの駒でも参考になりますが、他の家族も同時に駒で再現すると、家族間での生活動線の交差にも気付けるので、効果的です。
それに、家族全員でワイワイ言いながら、それぞれが自分の駒を動かして間取りの検討を行うと、みんなで楽しみながら今の間取りの「利点」や「問題点」が見えてくるので、
何処をどうすれば「自分達家族にピッタリの間取りになるか」が分かりますし、何を優先すれば「住み心地のよい間取りが作れるか」というのが分かりますよ。
電気配線に関する失敗と対処法
考え抜いたハズなのに、住み始めてから感じる失敗として、「コンセント」や「照明スイッチ」などの電気配線によるトラブルが挙げられます。
住宅会社によっては、間取りの感覚が掴みやすい上棟後に実際の現場で電気配線の打合せを行うこともあるのですが、それでも失敗がないわけではありませんし、
実際の「広さ」や「生活動線」を想像しずらい平面図だけを使った卓上の打合せでは尚更です。
それに、後々「コンセント」や「照明スイッチ」などの電気配線を増やそうとした場合、追加の費用が発生するケースがほとんどなので、家づくりの終盤である電気配線の打合せでは、節約の意識が高まってしまう傾向にあり、
「まあ、そんなにたくさんコンセントがなくても延長コードを使えば問題ないし・・」と、自分自身を説得して、コンセントの追加を躊躇してしまう方も少なくありません。
ですが、同じ家に住み続けると、当初の予定とは違う位置に家具を配置したり、部屋の模様替えなどにより、予期せぬ場所に「コンセント」や「照明スイッチ」が必要になることも稀ではないでしょう。
建物が完成した後では、「コンセント」や「照明スイッチ」を取付けるのに多額の費用がかかるだけでなく、場所によっては取り付けられないことも珍しくありません。
このような失敗の対処法を幾つかご紹介します。
現在では、「照明のリモコン化」や「TVやインターネットのWi-Fi化」が進んでいるので、建築工事に頼らなくても、家電製品を買い替えたり、追加することで電気配線に関する不満を解消することができるようになりました。
しかし、便利な物が増えた現在でも、コンセントだけは「リモコン」や「Wi-Fi」で対処できないので、「ここには必要ないかな・・」と思っても、念の為に追加しておくことをおススメします。
特に、「リビングやダイニング・廊下などのコンセントからコンセントの距離が長くなりやすい場所」や「納戸などの日頃は電気製品を使うことの少ない場所」にコンセントがないと不便を感じてしまうことが多いので、電気配線の打合せの際に意識することを忘れないで下さいね。
ニオイに関する失敗と対処法
気になる人には我慢できない失敗談として、「ニオイ」に関する声があります。
「壁」や「天井」などで部屋同士を分離した間取りなら「ニオイ」が広がりにくいので、気になることも少なく、気になっても対処しやすいのですが、
開放的な「リビング」や「吹き抜け」などを取り入れたり、キッチンから階段が近い場合は、「ニオイ」が上階にあがりやすく、「ニオイ」が気になっても対処が難しいケースは少なくありません。
そんなニオイの対策には、換気扇の追加が効果的です。
と言うのも、現在の新築の建物は24時間換気が義務付けられているため、居室の全ての空気を2時間で換気する能力が備わっているのですが、これはシックハウス症候群の対策なので、必ずしも「ニオイ」に対して有効とは限りません。
なので、ダクトを利用した全室換気を導入したり、局所換気でも「ニオイが出やすい部屋」や「ニオイを気にしたくない部屋」に換気扇の追加を検討されると効果的でしょう。
特に強弱調整がついているものなら、シーンに合わせた調整が容易なので、「季節」や「状況」に応じた使い分けが可能です。
ですが、居室に排気口を取付けてしまうと、クローゼットなどの収納のニオイを部屋の中に引っ張ってしまい、逆効果になることもあるので、換気扇などの排気口は「クローゼット」や「収納」の内部に設置しておくことをおススメします。
明るさに関する失敗と対処法
「玄関が暗い」や「昼間でも照明が必要なリビング」といった、明るさに関する失敗をしてしまうと、光熱費が気になるだけでなく、家にいても「なんだか気分が晴れない」なんてことになってしまうかもしれません。
部屋を明るくするには、窓を大きくしたり、窓の数を増やすという発想になりがちですが、それだけでは様々な弊害が起きてしまうこともあります。
と言うのも、隣家との距離が近い住宅街では視線が気になることも多く、大きな窓を設置してもカーテンが開けられなくて明かりが取り入れなかったり、
窓をたくさん設置しすぎて、「落ち着かない」や「机や家具を置く場所がない」なんてことも珍しくありません。
このような失敗を防ぐためには、闇雲に窓を大きくしたり、数を増やすのではなく、それ以外の方法での対処が効果的となります。
例えば「透明ガラス」にこだわらず、「型ガラス(すりガラス)」を上手く使えば、カーテンを閉めなくても明かりが取り入れられる窓になりますし、
隣家などからの視線が気になるなら、明かりを取り入れやすく、視線の通りにくい、「天窓」や「高窓(天井に近い位置の窓)」の採用がおススメです。
他にも、「シャッターを閉めた状態で明かりや風通りが得られるスリットシャッター」や「目隠しの角度が変えられるルーバー面格子」なども明るさの調整に有効なので、マイホームへの採用を検討してみてはいかがでしょうか。
収納に関する失敗と対処法
収納に関する失敗と聞くと、「収納力が足りない」と思われがちですが、その他の失敗も意外と多いんです。
と言うのも、いくら収納力があっても適切な場所に収納スペースがなければ、片付けるのが億劫になってしまうので、「物を出しっ放しにしたまま散らかった部屋」という状況が生じやすく、
仮に無理やり片付けたとしても、取り出し難ければ再び使用するパターンは稀ですし、片付けたまま放置では家のスペースを占拠してしまうだけの無駄になりかねません。
なので、マイホームの間取りを計画する際は、ただ闇雲に収納力を増やすのではなく、適材適所に使いやすい大きさの収納を設置することが大切です。
「出かける前に準備する順番」や「帰宅した際の生活動線」「衣替えなどの季節利用」などを想像して、何処に収納があれば片付けやすく、しまいっ放しにならないかを考えてみましょう。
そうすれば、散らかりにくく片付けやすい間取りを手に入れられますし、使わない物のために貴重なスペースを占拠されることもありませんよ。
視線に関する失敗と対処法
間取りでの視線に関する失敗は、室内の明るさに関する失敗と相反することが多く、バランスが難しいのですが、
室内の視線に関しては、家族同士のプライバシーだけでなく、「来客時のお客さんの視線」や「宅配便などの玄関からの視線」にも注意して間取りを計画すると、新居に住み始めてからの失敗を防ぐことに繋がります。
外部からの視線に対しては、「玄関扉」や「窓」といった開口部の「大きさ」や「位置」が大きく影響するのですが、
「住宅営業マン」や「設計士」の中には、実際に建物を建てる敷地に足を運ばずに、敷地の「図面」や「写真」だけを見て間取りを考えたり、機械的に窓を配置するだけの人もいるので、
「プロに任せておけば大丈夫」といった意識では、思わぬ失敗を招くことがあります。
なので、「平日」や「休日」「朝」「昼」「夜」など、シチュエーションを変えて、マイホームを建てる敷地に数多く足を運んだり、実際の「隣家の窓」や「前面道路」からの視線を体感してから、「間取り」や「開口部」を計画することをおススメします。
外部計画に関する失敗と対処法
マイホームの間取りを計画する際、どうしても室内ばかりに目を向けてしまいがちですが、建物の外部計画にも注意しないと、根本的に生活しにくい家になってしまうことがあります。
例えば、室内のスペースを広くするために駐車場スペースを犠牲にしてしまうと、何度も切り返さないと車が停められなかったり、車を買い替える際にも大きさに制限ができてしまいますし、
せっかくキッチンに勝手口を設けても、通路が狭すぎては荷物を持って出入りしにくくなるので、結局使わなくなってしまった、という事例も少なくありません。
他にも、「休日のバーベキューに憧れて、広々としたウッドデッキを計画したのに、数回使っただけで荷物置場になってしまっている」なんてこともよくある話です。
広々とした敷地があれば、このような失敗も起きにくいのですが、土地にばかりお金をかけるわけにもいきません。
限りあるスペースを有効に使えるように、「何を優先すれば満足度が上がるのか」を意識しながら、じっくり間取りを考えてみましょう。
温度に関する失敗と対処法
マイホームの間取りを計画する際に、窮屈で狭い間取りを目指す方はほとんどいません。
限られたスペースを有効に使って解放感を得るためには、廊下を減らしたり、吹き抜けを採用したりすることが多いのですが、
そうすると、どうしても「夏暑く冬寒い家」になりやすく、結果的に多額の冷暖房費が必要になってしまいます。
室内の温度に関する失敗を防ぎながら、解放感の得られる広い空間を実現するには、建物の「断熱性能」や「気密性能」をUPさせるのが有効なのですが、
どんな住宅会社でも、お金さえかければ「断熱性能」や「気密性能」を高くできるわけではありません。
なので、室内の「解放感」と「快適性」を両立させたいのであれば、住宅会社を選ぶ際に建物の「断熱性能」や「気密性能」の確認を忘れないようにしましょう。
音に関する失敗と対処法
快適な生活を実現するためには、音に関しての失敗を防ぐことも重要です。
昼間は気付かないような小さな音も、静かな夜になると気になってしまうことも少なくありません。
特に、上階の「足音」や「活動音」は下階に響きやすく、騒音対策に失敗してしまうと家族の生活音に悩まされ続けることになってしまいます。
例えば、2階に子ども部屋を計画するなら、夜中に利用することの少ない「ダイニング」や「リビング」の上に配置したり、
「給湯機」や「食洗器」「洗濯機」などの作動音が気になる設備は、「寝室」や「リビング」から離すように工夫すると、音に関する失敗を防ぐことに繋がります。
他にも、マイホームの敷地が交通量の多い道路に面していたり、近所に大きな音を出す施設などがある場合は、
「断熱性能」や「気密性能」をUPすれば、外部からの音を防ぐ効果にも期待できるので、参考にして下さいね。
間取り計画では優先順位とプロの意見が大切ーまとめ
いかがでしたでしょうか。
「マイホームは一生で一番高い買い物」と言われるように、余程の経済力がない限り、失敗したからといっても簡単に建替えたり、買い替えたりすることはできません。
とは言え、一切の失敗を経験することなく、完璧な間取りを手に入れることは、「様々な経験を積み重ねたプロの建築士」でも困難です。
なので、「マイホームに何を求めるのか」「どんなマイホームに住みたいのか」を家族全員でよく話し合って、優先順位を付けてみましょう。
そうすれば、「どんなことに気を付けて間取りを計画すればよいのか」が見えてくるので、混乱することなく家づくりに取り組むことができます。
ちなみに、家づくりの計画を家族で立てるなら、LIFULL HOME'Sの家づくりノートがオススメです。
無料の資料請求で貰えるノートなのですが、情報が整理しやすく、なにより家族でワイワイ楽しみながら計画を立てられます。
LIFULL HOME'Sは資料の質も高くセールスも非常に少ないので、家づくりを始めるなら資料請求して損はありませんよ!
しかし、間取り計画では「思い込み」や「素人判断」による決断は危険なことも多く、とんでもない間取りになってしまうことも少なくありません。
それに、サラリーマンである「住宅営業マン」や「設計士」は、お客様の要望を真っ向から否定しづらく、デメリットがあるのを承知しながら説明しないこともあるので、
一点に無理な要望を詰め込むのでなく、たくさんの経験を積み重ねたプロの意見を取り入れる余裕を持つことも忘れないで下さいね。
■ 間取り計画に失敗しないために家族でじっくりと話し合う機会を設けよう
■ 自分達家族がマイホームで取り入れたい要望に優先順位を付けることが重要
■ 間取り計画ではプロの意見を聞く余裕も大切
注文住宅でよくある失敗を防ぐには、《新たな暮らしで重視したいのは何か?》を明確にしておくことが大切。
『できてないかなぁ〜』とお感じなら、手始めに「家づくりノート」を作ってみましょう。
理想の暮らしへの近道になること受け合いです。
具体的な「家づくりノートの作り方・書き方」については、この記事が参考になりますよ^^